2021年4月17日土曜日

原田竹竿 5'2"(その2)

 


 以前のブログで紹介した原田竹竿のバンブースピニングロッド、5フィート2インチがグラス・フェルールに進化して修理から戻ってきました。

 元々は旧タイプのバンブー・フェルール仕様だったのですが、ティップ・セクションとミドル・セクションの間のフェルールに不具合が生じたため、最新版のグラス・フェルールに修理してもらいました。


 グラス・パイプの雌フェルールにソリッド・グラスの雄フェルールを差し込む構造になっており、ウィンストンのバンブーロッドのように差し込み部以外がスレッドでラッピングされています。
 修理前のバンブー・フェルールのように、ティップ側が雌、バット側が雄になるのかと思っていましたが、メタル・フェルールと同様にティップ側が雄、バット側が雌になっています。これは竿を仕舞う際に各セクションの長さを同じにするためにこうなったそうです。


 さて、肝心のロッド・アクションの変化ですが、グラス・フェルールにすることにより、全体に若干硬くなったようで、1.5gのブラウニーのフローティング5cmでは少し軽く、3g弱のシンキング・ミノーがちょうど良いように感じました。

 私はフローティング・ミノーを多用しますので、渓流スピニング・ロッドは同じく原田さん作のレイチューン521の方が好みなのですが、如何せんこちらは1ピースと持ち運びに不便なので、進化したこの竿はこれからも活躍してくれると思います。


2021年4月10日土曜日

錦織則政「ザ・ヒストリー・オブ・バンブーフライロッド」

 


 今回もつり人社から発行されたバンブーロッド関連の書籍、「ザ・ヒストリー・オブ・バンブーフライロッド」を紹介します。

 この本は、筆者である錦織氏が過去のバンブーロッド関連の洋書を参考文献として、バンブーロッドの歴史をまとめたもので、つり人社の月刊「FlyFisher」に連載された記事に加筆修正したものです。

 その内容は、人類が初めて釣り竿を用いたことが確認される最古の資料から始まり、六角構造のスプリット・ケーンを確立した1870年代のハイラム・レナードの登場から、ハーディ、ペイン、トーマス、エドワーズ、ギラム、ギャリソン、ペゾン、ヤング、オービス、パウエル、ウィンストンといったメーカーの歴史が、豊富なモノクロ写真とともに約350ページにわたって綴られています。歴史のあるロッド・メーカーが対象となっていますので、1990年代以降に登場したメーカー、ビルダーは、エドワーズの四角ロッドの章の最後にかろうじてペア・ブランディンとデイナ・グレイが名前だけ登場するだけです。

 筆者の想像や所感は極力排除されており、豊富な引用文献に基づく史実が驚くほど詳細に記載されており、この1冊を読めば、1980年代までのバンブーロッドの歴史がほぼ全て分かるようになっています。各ページの下に記載されている注釈の数も半端なく多く、ロッドビルダー以外の登場する全ての人物についても解説されています。
 おそらく、これだけ多くの資料を基にこれだけ詳しくバンブーロッドの歴史を1冊にまとめた本は、世界的に見ても過去に例がなく、今後これ以上の本は出てこないのではないかと思います。この内容で価格が2,800円というのは、流石つり人社だと思います。
 
 ただ、この本は将に歴史の教科書のような内容で、ページ数も多いので、そういった本が苦手な方は、読み進めるのが大変かもしれません。例えば自分が興味のあるメーカー、例えばレナードならレナード、ヤングならヤングに関する章だけを読むのも良いと思いますし、それだけでも十分な満足感が得られると思います。

 この本の発行は2013年ですが、今でも入手可能です。

2021年4月3日土曜日

エド・イングル「Bamboo Makers」

 

 今回は2003年につり人社から発行されたエド・イングルの「Bamboo Makers」を紹介します。

 フライの雑誌社から「アメリカの竹竿職人たち」が1999年に発売された後、日本では空前のバンブーロッド・ブームが起き、日本でも雑誌で特集が組まれたり、書籍が何冊か発売されました。この本のその中の1冊です。

 「アメリカの竹竿職人たち」と同じく、この本で紹介されているメーカーは全てアメリカのメーカーであり、筆者が各メーカーの工房を訪ねて行ったインタビューを基にビルダーと竿を紹介しています。
 この本では16人のロッド・ビルダーが紹介されていますが、そのうち「アメリカの竹竿職人たち」と重複しているのは、ウォルト・カーペンター、グラン・ブラケット(当時R. L. ウィンストン)、マイク・クラークの3人だけです。日本ではあまり有名でないビルダーも多く紹介されていますので、参考になります。

 「アメリカの竹竿職人たち」と最も異なる点は、筆者がそのメーカーの竿で実際にキャスティングしたり、釣りをした感想が書かれているので、その竿の機能的な特徴がある程度分かります。
 また、メーカーの紹介以外に、初めてバンブーロッドを購入する人へのアドバイスや、バンブーロッドの手入れ、バンブーロッドに適したライン、バンブーロッドを作りたい人に向けた道具の紹介や材料、道具の購入先、書籍の紹介も書かれています。

 この本も現在入手困難な状況ですが、つり人社のウェブ・サイトを見る限り絶版にはなっていないようです。

2021年3月27日土曜日

Shima Nets(その2)

 

 前回に引き続き、今回もシマ・ネッツのネットについて書きます。前回のブログで少し触れた、私にとって最初のシマ・ネッツである煤竹+黒柿のネットです。

 このネットは2010年に嶌さんにオーダーして作っていただいたものですが、フレームに使用する煤竹が非常に炭化の進んだものであったため加工時に割れやすく、何度も作り直しを行っていただいた曰く付きのネットです。
 そのため完成までに半年ほどかかりましたが、届いたネットは期待以上に素晴らしいものでした。


 フレームの素材は煤竹、グリップの素材は黒柿で、ともに日本で古くから珍重されてきた素材です。オーダーの際に茶道具のイメージでデザインをお願いしたのですが、正にわびさびを感じさせる仕上がりです。グリップにはフレームの先端から30.3cm(尺)の位置にニッケルシルバー製のドットが入っています。嶌さん曰く「茶室に夜空に浮かぶ銀月」のイメージです。ネットの素材も無理を言ってシルクにしてもらっています。

 このネットが出来上がってから10年間、大物狙いの釣り以外は常にこのネットを使ってきましたので、転んだりぶつけたりで擦り傷や打痕だらけです。その分愛着も一層深まり、お気に入りのネットになっています。
 使い込んだ分、より渋い風合いとなり、これはこれで良いのですが、新しいネットを入手したので、煤竹ネットには少し休んでもらい、嶌さんにレストアをお願いしている最中です。
 どんな新たな出会いが待っているのか、非常に楽しみです。


2021年3月20日土曜日

Shima Nets(その1)

 

 新しいランディング・ネットを購入したので、お気に入りの本の紹介を中断して紹介したいと思います。シマネッツさんのfcmちりめん梅です。

 シマネッツのネットを購入するのは2本目で、1本目はフレームに煤竹、グリップに黒柿を使ったオーダー品でした。このfcmは、いくつかあるシマ・ネッツを代表するモデルの1つで、フレームに竹尺を使っているのが特徴です。


 名前にある「ちりめん」は、シマネッツのもう1つのオリジナルデザインで、フレームの内側に文字通り「ちりめん(縮緬)」を貼ったものです。このネットでは梅柄のちりめんが貼ってあるので、「ちりめん梅」です。


 グリップの材質は、嶌さんによると神代楢ではないかとのことです。瘤や縮杢などの派手さはありませんが、とても落ち着いた雰囲気です。


 嶌さんは本業がデザイナー(?)なので、作られるネットも捻りが効いているというか、他のネットにはない独特のセンスを感じます。綺麗な杢目の素材を使って、工芸品的なネットを作られる方は日本に数多くいらっしゃいますが、嶌さんのようにアートと言えるような作品を作ることができる方は、非常に少ないと思います。

2021年3月13日土曜日

阪東幸成「MOSTLY BAMBOO」

 


 今回は前々回紹介した「アメリカの竹竿職人たち」の著者である阪東幸成さんの最新作、昨年12月に発売されたばかりの「MOSTLY BAMBOO」を紹介します。

 この本は「アメリカの竹竿職人たち」の続編といっても良い内容で、「アメリカの竹竿職人たち」がタイトルの通りアメリカの竹竿職人の工房訪問記であるのに対し、日本のフライロッド・メーカーの工房訪問記となっています。あとがきにも書かれているように、この本の目的は、海外のフライ・フィッシャーマンに日本のロッド・メーカーを紹介することであり、そのため全編英語で書かれていますが、日本の読者のために、日本語訳版もしっかり付録としてついています。

 タイトルの「MOSTLY BAMBOO」が示すように、紹介しているロッド・メーカーのほとんどは、個人のバンブーロッド・ビルダーですが、ファーガス、カムパネラ、ソリッド・オクタゴンといったグラファイト、グラスロッドメーカーも含まれています。

 章毎にテーマを決めてメーカーを紹介していく構成や、巻末にメーカーの作例がカラー写真で紹介されているところ、実際にメーカーの工房を訪問し取材した情報を元にまとめているところなど、「アメリカの竹竿職人たち」と同じ手法がとられています。
 阪東さん自身が撮影した本編中のモノクロ写真は、相変わらず素晴らしいです。巻末の
作例の構図は「アメリカの竹竿職人たち」とほぼ同じで、その竿の外観上の魅力が良く伝わってきます。

 他の阪東さんの著作と同様に、その文章は大変面白く、この本もあっという間に読み終えてしまいます。ただ、1つのメーカーあたりのページ数が「アメリカの竹竿職人たち」に比べると少なく、メーカーごとにテーマを絞って書かれているので、そのビルダーや竿の特徴が分かりにくくなっているように思います。
 また「アメリカの竹竿職人たち」では、各ビルダーの個性、人となりが、多少の脚色も含めてあからさまに描かれており、そこが一番の醍醐味となっていましたが、この本では同じ日本人という遠慮もあってか、そのあたりが少しあっさりしているように感じます。

 「アメリカの竹竿職人たち」と同じく、この本でも阪東さん自身がそのメーカーの竿を振ったり使ったりしたインプレッションがほとんど書かれていないので、その竿のアクションや性能的な特徴は、あまりよく分かりません。もっともこれは阪東さんが意識的にそうしているのかもしれません。

 前回紹介した「バンブーロッドのいま」では、ビルダー自身が何を意識して竿を作っているのか、どんな竿を目指しているのか、といったことをかなりの長文で語っていますので、そのビルダーの竿がどんな竿なのかは、そちらの本の方が良く理解できると思います。

 とは言え、この本がフライロッド関連の本として世界的にみても極めて面白い本であることは間違いなく、村田ロッド、角宏ロッド、前川ロッドといった歴史のあるビルダーから、バムロッド、竹本ロッド、ソリッド・オクタゴンといった革新的な新進気鋭のビルダーまでを紹介している点で、日本のフライロッドの現在を知ることのできる、非常に価値のある本だと思います。

2021年3月6日土曜日

渡渉舎編「バンブーロッドのいま」

 


 バンブーロッドに関する本の紹介の2回目は、渡渉舎から2007年に発行された「バンブーロッドのいま」です。

 前回紹介した「アメリカの竹竿職人たち」が、アメリカのバンブーロッド・ビルダーに焦点を絞った内容であるのに対し、この本は日本のバンブーロッド・ビルダーを中心に47人へのインタビューを書き起こしたもので、2007年当時の日本のバンブーロッド・シーンに焦点を当てたものとなっています。

 収録されているインタビューは、日本のビルダーが20人、海外のビルダーが1人(ビヤーネ・フリース)、フェルール職人が1人(ハリキ・フェルール)、アマチュア・ビルダーが2人、釣り業界関係者が3人、バンブーロッド愛好家が19人、その他が1人の計47人で、702ページにもおよぶ超大作です。

 ビルダーのインタビューでは、バンブーロッドを作り始めたきっかけから、竿作りの工程、どんな竿に影響を受けたか、どんな竿を目指しているかが、などがビルダー本人の口から語られており、本を読むだけでそのビルダーの竿がどんな竿なのか、更にはそのビルダーの技量まである程度想像がつくようになっています。

 この本も前回紹介した「アメリカの竹竿職人たち」に負けず劣らず大変面白く、興味のあるビルダーを中心に何度も読み返しましたが、特にビヤーネ・フリース、中村羽舟さん、島崎憲司郎さんのところは、本当に何度も何度も繰り返し読みました。

 残念ながらこの本も絶版となっており、新品で入手することはできませんが、日本のフライ・フィッシングの歴史に残る名著だと思います。

2021年2月27日土曜日

阪東幸成「アメリカの竹竿職人たち」

 


 今回からバンブーロッド関連の書籍を紹介したいと思います。第1回目はフライの雑誌社から発行された阪東幸成さんの「アメリカの竹竿職人たち」です。

 発行されたのは1999年ですが、この本をきっかけに日本で空前のバンブーロッド・ブームが起こったといっても過言ではないと思います。この本を読んで、アメリカのバンブーロッド・ビルダーにバンブーロッドを注文された方も多いと思います。私もこの本を予約購入した数年度に、マリオ・ウジニッキとボブ・サマーズに直接竿を注文しました。

 この本は当時アメリカに赴任中の阪東さんが、14人のビルダーの工房を実際に訪問し(ゲーリー・ハウエルズのみ訪問を断られたため電話インタビュー)、その体験を1冊にまとめたものです。この本以前にもアメリカではバンブーロッドの書籍が何冊も発売されていましたが、この本では収録された各ビルダーとの対話を通じて、そのビルダーの性格や人となりを浮き彫りにしているところが、非常にユニークな点で、それまで名前を知っていても謎に包まれていたビルダーが実在する1人の人間として、何を考え、どんな思いで竿を作っているのかを知ることができます。まるで自分がその場に居合わせているかのようなライブ感覚が本当に素晴らしく、読者はぐいぐいと引き込まれてゆきます。
 また、そのビルダーのバックグランドに関連して、レナード、ペイン、ウィンストンといったアメリカのバンブーロッド・メーカーの歴史にも触れています。

 阪東さんはプロのライターではありませんが、文章も大変面白く、むしろいちバンブーロッド・ファンの視点で書かれているのが、この本を面白くしている要因の1つだと思います。また、写真の素晴らしさも特筆すべきものがあります。

 ただ1つ残念なのは、この本では竿の外観上の特徴や構造については触れられていますが、その竿のアクションや性能に関する記述はほとんどなく、どんな性格の竿なのかはこの本を読んでも良く分かりません。バンブーロッドは自分で実際にキャストしてみないと、本当のところは分からないですし、竿のアクションの好みは人それぞれですので、阪東さんもそのあたりは敢て書かなかったのかもしれません。

 この本が発行されてから20年以上経ちましたが、この本に収録された14人のビルダーのうち、既に亡くなったり、リタイヤしたビルダーもいますし、当時若手であったマリオ・ウジニッキやペア・ブランディンも既にかなりの高齢になっています。本の最後に各ビルダーの作例とともに竿の価格が掲載されていますが、現在の価格に比べると非常に安価であったことにも驚かされます。

 残念ながらこの本は随分昔に絶版となってしまいましたが、日本語で書かれたバンブーロッドの本としては、間違いなく歴史に残る名著であり、この本を読んだことのないフライ・フィッシャーマンのために、フライの雑誌社には是非再版を希望します。

 阪東さんは数年前に自身で「ふらい人書房」という出版社を興され、昨年12月に日本の竹竿職人に焦点を当てた「MOSTRY BAMBOO」という書籍を発行されました。この本についても、今後紹介したいと思います。

2021年2月20日土曜日

沢田賢一郎「究極のフライフィッシング 達人の世界」

 


 今回も沢田賢一郎氏の著作、「達人の世界」を紹介します。

 この本は1993年に発刊されたものです。以前紹介した沢田氏の「フライキャスティングテクニック」同様、この頃になると沢田氏は自社から書籍やビデオを発売するようになっており、この本も自社の発行所である「TULCHAN BOOKS」から発行されています。

 この本は、いかにもアンチ沢田派の方が毛嫌いするようなタイトルのため、アンチの方は決して手にする本ではないと思いますが、内容はいたって客観的かつ常識的なものです。
 前回紹介した「渓流のドライ・フライ・テクニック」では、渓流のドライ・フライフィッシングに特化して書かれたものですが、この本はフライ・フィッシング全般について、重要な技術、ノウハウ、コツが、沢田氏特有の語り口で書かれています。

 沢田氏の文章は非常に簡潔で分かりやすく断定的です。この断定的な語り口も、アンチの方が沢田氏を嫌う理由の一つなのかもしれませんが、経験に基づいた論理的なものなので、説得力があります。「渓流のドライ・フライ・テクニック」同様、目から鱗の落ちる内容が数多く収録されています。

 この本もサワダがなくなってしまった今となっては、新品で入手することはできません。写真が少なく文章がほとんどの本ですが、あっという間に読み切ることができますし、読み物としても面白い本だと思います。

2021年2月13日土曜日

沢田賢一郎「渓流のドライ・フライ・テクニック」

 


 今回は沢田賢一郎氏の「渓流のドライ・フライ・テクニック」を紹介します。

 この本は1986年に山と渓谷社から発行されたものです。沢田氏というとウェット・フライのイメージが強く、その関連の書籍を数多く執筆されていますが、この本を読むと氏がドライ・フライの釣りにおいても卓越した技術と経験をお持ちであることが良く分かります。

 本の内容は、タックルからキャスティング、季節や釣り場に応じた釣り方、釣行記と、渓流のドライ・フライの釣りに関し一通り網羅されたものになっています。この本の中で沢田氏はナチュラル・ドリフトとプレゼンテーションの重要性、それを実現するためのキャスティングの重要性を強調しています。

 この本が発行された後、80年代の終わり頃から、ロングリーダー・ティペットの釣りが流行り始め、雑誌も書籍もビデオも渓流のドライ・フライの釣りというと、ライトラインのロングリーダー・ティペット一辺倒になってゆきました。しかし、この本ではナチュラル・ドリフトをロングリーダー・ティペットではなく、プレゼンテーション技術、キャスティング技術で実現することを説いています。
 そのため、ティペットはフライのサイズに応じて十分コントロール可能な太さと長さのものを使用する必要があるとしています。また、フライロッドについても、日本の渓流のドライ・フライの釣りでは、7フィート6インチ、5番の竿が最も汎用的であり、5番、6番ラインでソフトなプレゼンテーションが出来ないという釣り人は、キャスティング自体に問題があると書いています。

 それ以外にも、フライの選び方や1投目の重要性、合わせなど、あまり雑誌や他の書籍で書かれていない非常に基本的なことが沢田氏独特の語り口で書かれており、非常に参考になります。

 紹介されているフライ・パターンに関しては、ほとんどがイギリスのものやそれを基にした沢田氏のオリジナルです。氏の巻くドライ・フライはウェット・フライやサーモン・フライ同様、大変美しいのですが、スペントウィングのものが多いのでフライ・パターンに関しては、私はあまり参考にしませんでした。

 沢田氏はプロショップサワダのオーナーであり、自社ブランドのタックルを販売されていたので、この本で紹介されているタックルも自社ブランドやサワダが代理店を務めていたペゾン・エ・ミッシェルだったりします。そこがアンチ沢田派の方が沢田氏を嫌う理由の1つかもしれませんが、この本には、沢田氏が多くの経験を積み重ねて辿り着いたと推測される、目から鱗が落ちる内容が数多く散りばめられており、渓流のドライ・フィッシングの教科書として、極めて優れた本だと思います。

 この本も残念ながら既に廃刊となっており、新品で入手することはできませんが、自分の渓流のドライ・フライの釣りを基本に戻って見直してみたいとお考えの方に是非お勧めしたい本です。

2021年2月6日土曜日

シェリダン・アンダーソン、田渕義雄「フライフィッシング教書」

 


 今回はシェリダン・アンダーソンと昨年亡くなられた田渕義雄さんの共著、「フライフィッシング教書」を紹介します。

 私がこの本を入手したのは1991年ですが、その時点で既に18刷でしたので、日本のフライフィッシングの入門書としては異例の大ベスト・セラーだと思います。初版が1979年ですので、私よりも少し上の世代の方にはおなじみの本ではないでしょうか。

 この本はシェリダン・アンダーソンの「CARTIS CREEK MANIFESTO(カーティス・クリーク宣言書)」を田渕義雄さんが翻訳した第1部と、田渕義雄さん著の「日本のカーティス・クリークのために」と題した第2部、「わがカーティス・クリークのほとりで」と題した第3部からなります。
 第1部は、シェリダン・アンダーソンのユーモアにあふれたイラスト中心の初心者向けの入門書で、必要最小限の内容となっています。全くの初心者にとっては、一度に多くの情報を得ても理解できないので、このくらいの内容がちょうど良いのかもしれません。日本の釣りに合わない部分や、専門用語については、田渕さんが注釈を入れています。

 第2部は、第1部で足りない部分を補う形で、日本の釣りに合わせたタックルからキャスティング、釣り方、フライ・タイイングまで、かなり詳しい入門書となっています。
 第3部は田渕さんの釣行記です。
 
 1979年に発刊された古い本ですので、その内容、特にタックルや釣り場に関する情報は、ノスタルジックなものになっていますが、基本的な技術については今でも十分通用する内容です。むしろ2000年以降にフライ・フィッシングを始めた方にとっては、フライ・フィッシングの基本を学びなおすのにちょうど良いのではないかと思います。

 この本は現在品切れで入手できなくなっていますが、出版元の晶文社のウェブ・サイトには掲載されていますので、絶版にはなっていないようです。フライフィッシングの偉大な入門書として、今後も版を重ねて出版され続けるものと思います。