2020年9月26日土曜日

Hardy Marquis(その4)Gold Marquis


 マーキスの最終回はゴールドマーキスです。

 ゴールドマーキスは1981年に当時のチャールズ皇太子とダイアナ妃の成婚を記念して、日本でのみ販売された限定モデルです。サイズは#4、#5、#6の3種類が発売されました。私のリールは、#5と#6です。
 #5にはWF-4Fを巻いて使用しています。直径3インチ(約76mm)ですので、7フィート6インチのバンブーロッドにマッチするサイズです。上品なゴールドカラーは、バンブーロッドにも良く似合います。


 ハーディ・ブラザース時代のリールなので、本体の刻印は「Made by Hardy Bros Ltd England」、ケースは黒ジップケースです。「Limited Edition For Japan」の刻印もされています。


 1981年というと、私がまだフライフィッシングを始める前で、当時はアングラーズ・リサーチ社がハーディとコートランドの代理店を務めており、月刊フィッシングのハーディの広告を眺めては、ハーディのリールに憧れていました。まだ日本のフライフィッシングの黎明期ともいえる時代でしたが、このリールやオービスの昔のグラファイトロッドを手にすると、その頃の古き良き時代が蘇ります。

2020年9月19日土曜日

Hardy Marquis(その3)Silver Marquis


 マーキスの3回目は、シルバーマーキスを紹介します。

 シルバーマーキスは、スプールがシルバーフェイスと同じポリッシュシルバーのリムとシルバーの組み合わせで本体がシルバーのモデルです。
 オリジナルのシルバーマーキスは、コータックが代理店を務めていた1980年代に限定生産されたものですが、前回のシルバーフェイスと同様に、イナガキが代理店時代に復刻版が発売されています。


 左のマーキス#5がオリジナルの限定生産モデル、右のマーキス#6が復刻版です。
 オリジナル限定生産モデルと復刻版は、基本的に同じリールですが、ディテールが異なります。まず、本体の「MARQUIS」の文字が、オリジナルでは円弧状に刻印されているのに対し、復刻版では直線状に刻印されています。ライン番手を示す数字もオリジナルは数字の前に「#」が付いていますが、復刻版ではありません。また、オリジナルが「Made by Hardy Bros Ltd England」と刻印されているのに対し、復刻版では「Made by House of Hardy Ltd England」となっています。これらの特徴は、前回のシルバーフェイスでも同じです。
 また、製造された年代に応じて、復刻版のフットの方がオリジナルよりも厚くなっています。
 リールケースは、オリジナルが黒のレザーケースに対し、復刻版はブルーのジップケースです。


 ちなみにハウス・オブ・ハーディ時代までのハーディリールのラインキャパシティは、実際よりもバッキングの量を多くカタログに書かれていることが多いのですが、マーキスはナロースプールなのでカタログに表記されているラインキャパシティ自体も少なくなっています。私はマーキス#6以上のサイズでは、モデル名と同じ番手のウェイトフォワードのフローティングラインを巻いて使用していますが、マーキス#5ではWF-4Fを巻いています。これからオールドマーキスの購入を検討されている方は、得にダブルテーパーを使用する場合は注意された方が良いと思います。

2020年9月12日土曜日

Hardy Marquis(その2)Silver face


 マーキスの2回目は、シルバーフェイス・マーキスです。

 このシルバーフェイスというのは後々になって呼ばれるようになった通称で、スプールがシルバー、本体がガンメタルのものを指します。
 マーキスは発売当初、このカラーコンビネーションが標準でしたが、1980年代に日本向けに後に通称シルバーリムと呼ばれるスプールが本体と同じガンメタルにシルバーのリムのモデルが発売され、その後それが標準カラーとなります。このシルバーリムと区別するために名付けられたのが、シルバーフェイスという通称です。
 マーキスはハウス・オブ・ハーディ時代の終わりに、シルバーリムからリールフット以外は全身ガンメタルに変更され、これがオリジナル・マーキスの最終モデルとなります。

 マーキスはハウス・オブ・ハーディ時代に、ラージ・アーバーの流行に伴い製造中止となりますが、数年前にマーキスLWTと名前を変えて復活しています。このマーキスLWTは、シルバーリムを継承した外観となっていますが、ラッチカバーがスリースクリューになり、プラスチックのシャフトカバーがなくなるなど、オリジナルのマーキスとは随分趣の異なるリールになっています。


 マーキスの歴史を複雑にしているのは、ハウス・オブ・ハーディ時代に復刻された、シルバーフェイスとシルバーマーキスの存在です(シルバーマーキスについては次回のブログで紹介します)。

 今回のブログの写真の2台のマーキスは、私が所有しているシルバーフェイスですが、ともにハウス・オブ・ハーディ時代に復刻されたものです。
 ハーディは、イナガキが代理店を務めていた1990年代後半から2000年代にかけて、カスカペディア、ブグレー(ボーグル)、パーフェクト、セントジョージJrといった往年の名機を復刻させました。シルバーフェイス・マーキスも、その中の一つでした。

 オリジナルのシルバーフェイスは、ハーディ・ブラザーズ時代に販売されていたものなので、本体の刻印は「Made by Hardy Bros Ltd England」となっていますが、復刻盤では「Made by House of Hardy Ltd England」となっています。また、表面処理が微妙に異なるのか、ガンメタルカラーの本体の質感もオリジナルと復刻版では若干異なります。


2020年9月5日土曜日

Hardy Marquis(その1)


 今回から数回に渡り、ハーディの代表作であるマーキスについて紹介します。

 マーキスはハーディのリールの中では比較的新しいモデルですが、製造開始は1969年ですので、かれこれ50年以上の歴史があります。
 もともとマーキスは、アメリカのサイエンティフィック・アングラーズ社のOEMとして設計、製造されたもので、アメリカでは同社からシステム・シリーズとして販売されていました。アメリカ以外の国ではハーディがマーキスの名前で販売しており、発売当初はシステム・シリーズと区別するため、ラッチカバーがハーディのトレードマークである王冠になっていました。

 マーキスは、2、3番ライン用のマーキス2/3からマーキス・サーモン#3まで、ハーディリールの中でも最も幅広いサイズ構成となっており、このことからもこのリールが当時のハーディの主力製品であったことが窺われます。
 マーキスは、当時のラインナップの中では、ライトウェイト・シリーズの下記に位置するモデルで、ハーディのリールの中では比較的お手頃な価格設定となっていました。

 日本でも、ハーディのライトウェイト・シリーズ、オービスのCFOと並び、1970年代から1980年代にかけて最も人気のあったリールの1つでした。

 マーキスは、ポリッシュ加工されたスプールリムが外観上の特徴ですが、高級感のあるスプール側とは対照的に、本体側は大変シンプルで、シャフトカバーがプラスチックであったりと、コストダウンを図ったと思わせる作りになっています。しかし、マーキス・ファンにはこのややチープさを感じさせるところも魅力の一つになっているようです。
 また、クリック音も、ライトウェイト・シリーズに比べて、ガリガリと大きく粗野な印象ですが、これも逆にマーキスの魅力の一つとなっています。