2021年4月24日土曜日

DICK SPURR 'CLASSIC BAMBOO RODMAKERS PAST AND PRESENT'

 


 今回はディック・スパーの「クラシック・バンブー・ロッドメーカー パスト アンド プレゼント」を紹介します。

 この本はアメリカで1992年に発行されたもので、そのタイトルの通り古くはジム・ペインから新しいところでは、ペア・ブランディン、マリオ・ウジニッキまで、45名のバンブーロッドビルダーが紹介されています。
 そのうち26人は、1992年当時現役のロッドビルダーです。以前紹介した「アメリカの竹竿職人たち」で紹介された14人のビルダーのうち、12人がこの本でも紹介されており、阪東氏もビルダーの選定にあたっては、この本を参考にしたのではないかと予想します。

 本の構成としては、一人のビルダーにつき見開き2ページで、うち1ページがビルダーの白黒写真、もう1ページにそのビルダーのバックグラウンドと竿の紹介が文章で書かれています。解説が一人あたり1ページと少ないですが、どんなビルダーなのかを知るには必要十分な情報が記載されています。紹介されているビルダーの数が多いところが、この本の良い点だと思います。

 これ以前にバンブーロッド・メーカー(ビルダー)を紹介した本としては、Martin J. Keaneの「Classic Rods and Rodmakers」が有名ですが、1976年発行と古く、紹介されているビルダーも新しいところでゲイリー・ハウエルズまでですので、それ以降のビルダーも数多く紹介されている点で、非常に参考になる本です。

 この本は絶版になっているので、今入手しようと思うとかなりのプレミア価格になってしまっていますが、マニアの方にとっては入手する価値の十分にある本だと思います。

2021年4月17日土曜日

原田竹竿 5'2"(その2)

 


 以前のブログで紹介した原田竹竿のバンブースピニングロッド、5フィート2インチがグラス・フェルールに進化して修理から戻ってきました。

 元々は旧タイプのバンブー・フェルール仕様だったのですが、ティップ・セクションとミドル・セクションの間のフェルールに不具合が生じたため、最新版のグラス・フェルールに修理してもらいました。


 グラス・パイプの雌フェルールにソリッド・グラスの雄フェルールを差し込む構造になっており、ウィンストンのバンブーロッドのように差し込み部以外がスレッドでラッピングされています。
 修理前のバンブー・フェルールのように、ティップ側が雌、バット側が雄になるのかと思っていましたが、メタル・フェルールと同様にティップ側が雄、バット側が雌になっています。これは竿を仕舞う際に各セクションの長さを同じにするためにこうなったそうです。


 さて、肝心のロッド・アクションの変化ですが、グラス・フェルールにすることにより、全体に若干硬くなったようで、1.5gのブラウニーのフローティング5cmでは少し軽く、3g弱のシンキング・ミノーがちょうど良いように感じました。

 私はフローティング・ミノーを多用しますので、渓流スピニング・ロッドは同じく原田さん作のレイチューン521の方が好みなのですが、如何せんこちらは1ピースと持ち運びに不便なので、進化したこの竿はこれからも活躍してくれると思います。


2021年4月10日土曜日

錦織則政「ザ・ヒストリー・オブ・バンブーフライロッド」

 


 今回もつり人社から発行されたバンブーロッド関連の書籍、「ザ・ヒストリー・オブ・バンブーフライロッド」を紹介します。

 この本は、筆者である錦織氏が過去のバンブーロッド関連の洋書を参考文献として、バンブーロッドの歴史をまとめたもので、つり人社の月刊「FlyFisher」に連載された記事に加筆修正したものです。

 その内容は、人類が初めて釣り竿を用いたことが確認される最古の資料から始まり、六角構造のスプリット・ケーンを確立した1870年代のハイラム・レナードの登場から、ハーディ、ペイン、トーマス、エドワーズ、ギラム、ギャリソン、ペゾン、ヤング、オービス、パウエル、ウィンストンといったメーカーの歴史が、豊富なモノクロ写真とともに約350ページにわたって綴られています。歴史のあるロッド・メーカーが対象となっていますので、1990年代以降に登場したメーカー、ビルダーは、エドワーズの四角ロッドの章の最後にかろうじてペア・ブランディンとデイナ・グレイが名前だけ登場するだけです。

 筆者の想像や所感は極力排除されており、豊富な引用文献に基づく史実が驚くほど詳細に記載されており、この1冊を読めば、1980年代までのバンブーロッドの歴史がほぼ全て分かるようになっています。各ページの下に記載されている注釈の数も半端なく多く、ロッドビルダー以外の登場する全ての人物についても解説されています。
 おそらく、これだけ多くの資料を基にこれだけ詳しくバンブーロッドの歴史を1冊にまとめた本は、世界的に見ても過去に例がなく、今後これ以上の本は出てこないのではないかと思います。この内容で価格が2,800円というのは、流石つり人社だと思います。
 
 ただ、この本は将に歴史の教科書のような内容で、ページ数も多いので、そういった本が苦手な方は、読み進めるのが大変かもしれません。例えば自分が興味のあるメーカー、例えばレナードならレナード、ヤングならヤングに関する章だけを読むのも良いと思いますし、それだけでも十分な満足感が得られると思います。

 この本の発行は2013年ですが、今でも入手可能です。

2021年4月3日土曜日

エド・イングル「Bamboo Makers」

 

 今回は2003年につり人社から発行されたエド・イングルの「Bamboo Makers」を紹介します。

 フライの雑誌社から「アメリカの竹竿職人たち」が1999年に発売された後、日本では空前のバンブーロッド・ブームが起き、日本でも雑誌で特集が組まれたり、書籍が何冊か発売されました。この本のその中の1冊です。

 「アメリカの竹竿職人たち」と同じく、この本で紹介されているメーカーは全てアメリカのメーカーであり、筆者が各メーカーの工房を訪ねて行ったインタビューを基にビルダーと竿を紹介しています。
 この本では16人のロッド・ビルダーが紹介されていますが、そのうち「アメリカの竹竿職人たち」と重複しているのは、ウォルト・カーペンター、グラン・ブラケット(当時R. L. ウィンストン)、マイク・クラークの3人だけです。日本ではあまり有名でないビルダーも多く紹介されていますので、参考になります。

 「アメリカの竹竿職人たち」と最も異なる点は、筆者がそのメーカーの竿で実際にキャスティングしたり、釣りをした感想が書かれているので、その竿の機能的な特徴がある程度分かります。
 また、メーカーの紹介以外に、初めてバンブーロッドを購入する人へのアドバイスや、バンブーロッドの手入れ、バンブーロッドに適したライン、バンブーロッドを作りたい人に向けた道具の紹介や材料、道具の購入先、書籍の紹介も書かれています。

 この本も現在入手困難な状況ですが、つり人社のウェブ・サイトを見る限り絶版にはなっていないようです。