2023年3月25日土曜日

Graydon R. Hilyard 'BOGDAN'

 

 前回はvom Hofeについて書かれた本を紹介しましたが、今回はBogdanです。

 Edward vom Hofe社が1950年にその歴史に幕を下ろした後、ちょうど入れ替わるように登場したのがBogdanです。ともに両軸受けタイプのフライリールですが、vom Hofeがハードラバーのプレートにニッケルシルバーのバンドを溶接したリム、ニッケルシルバーのピラーという構成に対し、Bogdanではアルミ合金の削り出しの一体型のフレームに、アルミのプレートをネジ止めするという構成となっており、大幅に軽量化が図られています。

 この本は単にBogdanのリールについて書かれた本ではなく、イギリスから移民としてアメリカに渡ったBogdan家のルーツから始まり、Stan Bogdanがどのようにして歴史的な名機となるサーモン・スチールヘッドリール、トラウトリールを生み出していったか、Stan Bogdanの交友関係などBogdanの全てが掲載されています。
 貴重なサーモンリールの全てのプロトタイプの写真や、Stan BogdanがOrvisのために製作したCFOのプロトタイプの写真も掲載されています。

 この本はフライフィッシング関連の書籍の発行で有名なFrank Amatoから2006年に出版されたものですが、Bogdanだけでこれだけ立派な1冊の本を出版できるアメリカのフライ・フィッシングの文化はやはり凄いと感心させられます。

2023年3月19日日曜日

Ted Bingham 'THE CELEBRATED REELS OF Edward vom Hofe'

 

 今回はTed Bingham著の「THE CELEBRATED REELS OF Edward vom Hofe」を紹介します。

 この本は文字通りEdward vom Hofe社のリールについて書かれた本で、2007年に発行されました。私の所有しているものは231部のみ限定出版されたハードカバーのものですが、ネットで調べたところソフトカバー版も出版されていたようです。

 ヴァン・ホフと言えば、両軸受型フライリールの元祖として大変有名ですが、この本ではPEERLESSやPERFECTIONなどのフライリール以外にもバスやソルトウォーター用の両軸受型キャスティングリールも掲載されています。
 また、ヴァン・ホフ一族とEdward vom Hofe社の歴史、ヴァン・ホフリールの機構と機能、リールの材質、特許についても記載されており、これ1冊でEdward vom Hofeの全てが分かる内容となっています。
 ほとんど全てのリールの写真が掲載されているのですが、モノクロ写真なのが唯一残念な点です。

 Edward vom Hofeのリールは大変高価で、そう簡単に入手できるものではありませんので、量軸受型リールのマニアの方やハンドメイドでリールを製作されている方には、大変参考になる本だと思います。

2023年3月11日土曜日

David Stanley 'The Hardy Book of The Reel'

 

 今回もハーディに関する書籍の紹介です。David Stanley著の「The Hardy Book of The Reel」です。

 この本は前回の「Hardy Brothers」に比べるとさすがに掲載されているリールの数は少ないですが、それでも約60のモデルが136ページに渡りオールカラーで紹介されています。
 2010年に発刊された本で、これまでに紹介した本とは異なり、2010年までに発売された新しいリールや復刻版のリールも掲載されています。戦後のライトウェイトシリーズやマーキスなどのお馴染みのリールも載っているので、親しみやすい本です。

 ブログを書くにあたり調べてみたところ、この本は2015年に改訂版が発刊されており、出版元のThe Medlar Press社のウェブサイトから購入できるようです。

2023年3月4日土曜日

John Drewett 'Hardy Brothers THE MASTERS THE MEN AND THEIR REELS 1873-1939'


 前回のお気に入りの本で紹介した「THE DUNKELD COLLECTION」に引き続き、今回もHardyについて書かれた本を紹介します。John Drewett著の「Hardy Brothers THE MASTERS THE MEN AND THEIR REELS 1873-1939」です。

 この本は1998年に発刊されたもので、600ページ近くあるオールカラーの大変立派な本です。
 本のタイトルの通り、ハーディーのリールについてだけでなく、ハーディー一族や初期のHardy brothers社で働いていた技術者や職人についても、一人一人ページを割いて記述されています。

 リールに関しては、パーフェクトより以前に製造していた最初期のリールから、フライリールだけでなく、スピニングリール、マルチプライヤーのベイトキャスティングリール、ソルト・ウォーターのビッグゲーム用リール、トーナメントキャスティング用のリールまで、ありとあらゆるリールが紹介されています。一部現物のないリールは文章だけの紹介となっていますが、おそらくハーディが製造したほとんど全てのリールが網羅されているのではないかと思います。

 前回紹介した「THE DUNKELD COLLECTION」とは異なり、それぞれのモデルについて大変詳しく記述されており、例えばパーフェクトについては、バリエーションも含めて45ページにわたって解説されています。他の本や雑誌では目にしたことがない、パーフェクトのプロトタイプ(表紙のリール)も現物の写真が載っています。

 付録にはハーディのカタログのリストや主なリールが製造されていた期間、それぞれのモデルがサイズ別に何年に何台製造されたかまで載っており、初期のハーディーリールに関する書籍としてはこれ以上詳しいものはないと思います。

 私が発売時に新品で購入した時も高価な本で、今は「THE DUNKELD COLLECTION」以上にプレミア価格となっていますが、戦前のハーディ・リールのファンにとっても必携の本だと思います。