2021年6月26日土曜日

Mario Wojnicki Catalog


 今回はマリオ・ウジニッキのカタログを紹介します。

 このカタログを入手したのは2003年で、確か当時未だマリオ・ウジニッキはウェブ・サイトを開設しておらず電子メールアドレスが分からなかったので、手紙を送ってカタログを送ってもらいました。

 このカタログもフリースの日本語版カタログと同じく写真が一切ないのですが、グリップとリールシートの形状が分かるイラストが載っています。
 カタログの内容としてはシンプルで、竿のテーパーデザインとホロービルド、フェルール、グリップ等の説明に続けて、バンブーロッドとグラスロッドの各モデル毎の簡単な解説が掲載されています。

 ページ数も少ないので、読み物としての面白みには欠けますが、手紙を送って直ぐにカタログが送られてきて大変嬉しかった思い出もあり、宝物の1つになっています。
 今はウェブ・ページで簡単に情報にアクセスできたり、連絡をとるのも電子メールですぐに返事がもらえたりと大変便利になりましたが、郵便で返事が来るのを心待ちにしたり、封筒の封を切るときのワクワクが無くなってしまったので、少し寂しく感じます。

2021年6月19日土曜日

Bjarne Fries Rods Catalog(その2)

 

 前回に引き続き、フリース・ロッドのカタログを紹介します。

 前回紹介したカタログは日本語で書かれたものでしたが、こちらは2001年に発行された英語版です。フリース・ロッドのカタログは、このカタログ以降にPDF版の2003年カタログが2002年に発行されましたが、私の知る限り印刷物としては今回紹介するものが最後のカタログだと思います。

 前回の日本語カタログとは異なり、このカタログではカラー写真も掲載されており、フリース竿の外観的な特徴が視覚的に分かるようになっています。当時の若いフリースの写真も見ることができます。
 このカタログが作製される前に、フリースは独自の竹フェルール「F.I.B.Hフェルール」を開発していましたので、このカタログでもその紹介がされています。
 それ以外は、日本語版カタログに掲載されていたフリース自身の文章を簡略化したものが掲載されています。

 日本語版カタログと比べると文章が大幅に減ってしまっているので、残念ながら読み物としては面白みに欠けます。2003年版のPDFカタログの方が文章が多く、各モデルの解説も載っているので、面白いと思います。

2021年6月12日土曜日

Bjarne Fries Rods Catalog(その1)

 

 ヤングとペインの再版カタログを紹介しましたので、今回はビヤーネ・フリースのカタログを紹介します。

 このカタログは1994年に発行された日本語版のカタログです。フリースの日本語版カタログとしては2版目のもので、当時フリース・ロッドを日本に紹介されていた菊地悦夫さんが中心になって、フリース、宮崎泰二郎さんと一緒に製作されたものです。

 カタログといっても、単に竿のスペックの紹介に留まらず、ヤングやペインのカタログのように、フリース、菊地さん、宮崎さんが「フライの雑誌」などに投稿された大変秀逸な文章がいくつも掲載さされており、読み物としても大変面白いものになっています。

 カタログはフリースの挨拶分に続き、「GENERAL INFORMATION ABOUT MY RODS」と題した、フリース自身によるフリース竿の概要説明があり、その中で竿のアクションについて述べているのですが、この文章を読むだけで、フリースがいかにバンブーロッドのアクションについて研究熱心で造詣が深かったかが分かります。
 各モデルの一覧で、アクションをテーパーデザインとロッドスピードに分けて表示しているところも画期的です。

 竿の各モデルの紹介は、そのほとんどが菊地さんが書かれたものだと思いますが、それそれの竿の特徴が大変分かりやすく説明されており、文章を読むだけで空想が広がりわくわくしてきます。
 写真は一切なく、全て文字からなるカタログですが、写真では分からない竿のアクションや機能的な特徴について大変詳細に書かれていますので、フリース竿と各モデルがどんな竿なのかが、非常に良く理解できるようになっています。

 私は「フライの雑誌」でフリース竿を知り、菊地さんに手紙を書いてこのカタログを送っていただきましたが、初めてこのカタログを読んだ時に大変感銘を受け、何十回読み返したことか分かりません。ヤングのカタログも読み物として大変面白いですが、バンブーロッドのカタログとして、これ以上のものはないのではないかと思います。また、単なるカタログの枠を越えて、バンブーロッド関連の書籍としても大変秀逸なものだと思います。

2021年6月5日土曜日

E. F. Payne Co. Reproduction Catalogs 1931-1951-1975

 

 前回のブログでは、ポール・ヤングの復刻版カタログを紹介しましたが、今回はペインの復刻版カタログを紹介します。
 このカタログも、ヤングの復刻版カタログと同じCentennial Publicationsから発行されたもので、確か同時に購入した記憶がありますので、同じ時期に発行されたものと思われます。

 この本には、1931年、1951年、1975年のカタログが収録されており、各年代のよるラインナップの違いや、各モデルのスペックの違いなどが分かるようになっています。
 3つのカタログの中で最も内容が充実しているのが、1951年のカタログで、竿のスペック、価格のページ以外に、エドワード・ヒューイット、ジョージ・ラブランシェ、ジョン・オールデン・ナイト等、著名なフライ・フィッシャーマンの寄稿文や、ペインの竿の解説に多くのページが割かれており、読みものとして非常に面白いものになっています。

 これらの中で私が注目するのは、アメリカでのパラボリック・ロッドの誕生に大きな役割を果たしたと言われるジョン・オールデン・ナイトのペインのパラボリック・ロッドに関する寄稿文です。この中で、リッツがパラボリック・アクションを偶然発見するきっかけとなった自転車事故の話に始まり、1936年のリッツの渡米とペイン社の訪問、ペインのパラボリック・ロッドの誕生が述べられており、ペインのパラボリック・ロッドを含む現在のパラボリック・アクションの竿は、平均的な釣り人にはキャスティングのタイミングが取りにくく扱いにくい真正パラボリック・アクション(true parabolic action)ではなく、セミパラボリック・アクション(semi-prabolic action)であると記しています。

 ギャリソンも自身のバンブーロッドのアクションをセミパラボリック・アクションと呼んでおり、私はペインのパラボリック・アクションの竿は振ったことはありませんが、ギャリソンの本やペインのカタログの記述から推測するに、ギャリソンのセミパラボリック・アクションとペインのそれはおそらく異なるものであると思っています。

 ちなみに、ここでジョン・オールデン・ナイトが述べているリッツの自転車事故のエピソードは、リッツのインタビュー記事と細かい部分が異なっています。また、アーネスト・シュイバードが伝えているものも、細かい部分が違っていたり、そもそもこの逸話自体が作り話であるというスペース・グレイ・ハックルの説もあったりして面白いのですが、これらについては、以前ブログで紹介した錦織則政氏の「ヒストリー・オブ・バンブーフライロッド」に詳しく述べられています。

 この本も絶版ですので、今入手しようと思うとかなりの高額になってしまっていますが、バンブーロッドの歴史を知る上で貴重な本だと思います。