2019年1月19日土曜日

March Brown


 これまでお気に入りのフライということで、キャッツキル・スタイル・ドライ・フライついて、5回にわたって書いてきましたが、今回から具体的なフライパターンについて紹介したいと思います。
 第1回目は、キヤッツキル・スタイル・ドライ・フライの中から、マーチ・ブラウンを紹介します。

 マーチ・ブラウンという名前のフライは、キャッツキル・スタイルのマーチ・ブラウンが生まれる遥か以前から、イギリスでウェット・フライとして存在しましたが、現在ドライ・フライとして良く知られているパターンは、ハリー・ダービー(Harry Darbee)やアート・フリック(Art Flick)によって完成されたものです。

 フライの名前は、使用しているマテリアルに由来するもの、機能や特徴、色調に由来するもの、作者の名前に由来するものなど、様々ですが、そのフライがイミテートしている水生昆虫の俗称に由来するものも多くあります。マーチ・ブラウンもその1つです。
 欧米のフライ・フィッシャーマンは、例えばブルー・ウィング・オリーブや、ペール・モーニング・ダンといったふうに、似たような色調、サイズの複数の水生昆虫を総称して、俗称で呼ぶことが多いです。マーチ・ブラウンは、その名前の通りだと「3月に羽化する茶色っぽいカゲロウ」ということになりますが、3月に羽化しないカゲロウでも似たような色調のものは、マーチ・ブラウンと呼ぶようです。
 このフライが生みだされたキャッツキル地方では、主に早春に羽化するヒラタカゲロウの1種をマーチ・ブラウンと呼んでおり、日本だと色調は若干異なりますが、クロタニガワカゲロウが近いようです。

 私はフックサイズ#14のマーチ・ブラウンを3月下旬から4月中旬にかけて良く使用します。その理由は、視認性の良い色調、サイズであることに加え、私のホームグラウンドの渓では、この時期、カゲロウに限らずカディスも含めて、茶色っぽい色調の水生昆虫が多くハッチするためです。特に里川の釣りで川の周りの桜が咲く頃は、オオクママダラカゲロウのハッチ・マッチャーとして、このフライを使います。
 オオクママダラカゲロウは、アメリカではヘンドリクソンが非常に近く、これを模したフライはメスはヘンドリクソン、オスはレッド・クイルということになるのですが、私は視認性重視でマーチ・ブラウンを多用します。

 オオクママダラカゲロウとマーチ・ブラウンの各部の色は、厳密には同じではないのですが、フライというのは、ぱっと見た時に何となくそれっぽいというのが重要で、フライの各部の色を本物の水生昆虫の各部の色にできるだけ似せてとやっていると、むしろどんどん本物から離れていきます。
 キャッツキル・フライというのは、そのあたりがなんとも絶妙で、既存のパターンでほとんどの水生昆虫の色調をカバーできますし、アレンジするにしても、あまり多くを変更しない方が無難なようです。


 オリジナルのマーチ・ブラウンのボディは、レッド・フォックス等のファーで、一般的にはその代替として化学繊維のダビング材を使用しますが、私はグース・バイオットにアレンジしたものを良く使います。こちらの方が水切れが良く、濡れても水を吸収しないので、浮力が持続しますし、フライを乾かすのも楽です。グース・バイオットのボディは意外と強く、耐久性も問題ありません。

 マーチ・ブラウンのブラウンとグリズリーをミックスしたハックルは、日が差した水面では不思議と視認性が良く、これも私がこのフライが好きな理由の一つです。

2019年1月12日土曜日

Diamondback 7'6" #4-5


 昔のダイヤモンドバックのデッドストックのブランクが手に入りましたので、組み上げてみました。スペックは7フィート6インチ、#4、5番になります。

 ダイヤモンドバックは90年代の初め頃にスミスから販売されていた、マリエット・ダイヤモンドバックを2本所有していました(正確には現在も1本所有していますが、手放す予定)。1本は今回組んだ竿と全く同じ7フィート6インチ、#4、5番、もう1本は7フィートの#3、4番です。


 昔のダイヤモンドバックのブランクは、レナードのゴールデン・シャドウシリーズに使用されていたことで有名ですが、マリエット・ダイヤモンドバックはゴールデン・シャドウを意識した仕上げとなっており、オリーブ・グリーンのブランクに合わせてラッピングの色がグリーン調にアレンジされています。
 マリエット・ダイヤモンドバックは、日本の某有名カスタム・ロッド・ビルダーが組み立てていたと何かで読んだ記憶がありますが、非常に美しい仕上がりになっています。

 私が組んだ竿は、私の好みでラス・ピークを意識した仕上げにしています。


 今回組んだブランクは、マリエット・ダイヤモンドバックと全く同じオリーブ・グリーンのカラーですので、ラッピングはダークグリーンにゴールドの飾り巻きとしました。


 このダイヤモンドバックのブランクは、80年代の初め頃に設計されたものですので、比較的低弾性率のグラファイトを用いた肉厚のブランクになっており、現在のグラファイトロッドではほとんど見かけないスローテーパーのパラボリック・アクションの竿です。
 したがって、ゆっくりしたキャスティングストローク(ロングストロークという意味ではありません)で、スロースピードのラインを投げるのに適しています。非常に素直なアクションですが、初心者向けではなく、ある程度キャスティングができる人向きの竿です。バンブーロッドに慣れた人向きとも言えます。


 ラインは4、5番指定で、素振りすると5番のように感じます。しかし、実際にキャスティングしてみると、近距離は問題ありませんが、ある程度ラインを出すとタイトループのコントロールが難しくなるので、4番の方が向いていると思います。私はウェイトフォワードラインが好きなのですが、この竿に関してはダブルテーパーが向いていると思います。


 パラボリックで全体に張りのあるアクションは、ラス・ピークのグラファイト・ロッドに近いと言えますが、3番手ライン指定のラス・ピークが、どのライン番手でも破綻なくキャスティングできるのに対し、ダイヤモンドバックのライン番手の許容範囲は狭いように思います。


 ちなみに、7フィート#3、4番の竿は、3番を乗せても、かなり柔らかい竿で、良い型のイワナを掛けるとなかなかスリリングな竿でした。

追伸:
 同じ7フィート6インチ、#4、5番の新品ブランクがあと2本ありますので、カスタムメイドさせていただきます。今回のブログに掲載しているものと同じ仕様ですと4万円です。(手製の竿袋付き。ただしニッケルシルバーのリールシート金具は、ポケット&リングではなく、キャップ&リングになります。)
 ご興味のある方は、yoshiharu.rod@gmail.comまでメールでお問い合わせください。グリップ形状、リールシート、ラッピングスレッドの変更等、メールでご相談ください。

2019年1月5日土曜日

Catskill Style Dry Flies(その5)


 今回は、キャッツキル・スタイル・ドライ・フライを使った釣りについて述べたいと思います。と言っても、これから述べることの多くは、基本的に渓流でのショート・リーダーを使ったドライ・フライの釣りに共通することです。

 キャッツキル・フライではショート・リーダーを使用しますので、長いドリフトには向きません。ショート・リーダーでは、キャスティングの前に、鱒が定位しているであろう場所、フィーディングレーンをしっかり見極め、短いドリフトで鱒にフライを食わせることが重要です。適当にキャストして、だらだらと長い距離をドリフトするのではなく、ここに落として、ここでフライを食わせるというイメージをもってプレゼンテーションすることが重要です。

 次にプレゼンテーションですが、短いドリフトでもキャストしたフライライン、リーダー、ティペットがフライまで伸びきっていては、フライが水面に落ちた直後からドラッグがかかりますので、適度にスラックを作る必要があります。
 ピンポイントアキュラシーを落とさずに、ティペット、リーダーにスラックを作る一番簡単な方法は、プレゼンテーションでロッドティップを高い位置で止め、フライを空中で完全にターン・オーバーさせてから、フライを水面に落下させる方法です。スラックの大きさは、フライをターン・オーバーさせる高さで調整できます。ターン・オーバーさせる高さが低ければスラックは小さくなり、高ければスラックは大きくなります。高い位置でターン・オーバーさせるキャスティングは、バウンス・キャストと呼ばれる方法です。
 アップストリームで釣る場合は、この方法でほぼ対応できますが、アップクロスやクロス、ダウンクロスで流心をまたぐ場合などは、サイドキャストでターン・オーバーする前にラインを水面に落下させるU字キャストや、スリークウォーターでフライをターン・オーバーさせずにフライを落とす方法も使います。

 空気抵抗の大きなキャッツキル・フライをキャストするためにも、フライを狙ったピンポイントにキャストするためにも、ラインスピードはできるだけ遅い方が有効です。しかし、ラインスピードを遅くすればするほど、風の影響を受けやすくなります。
 そこで、空気抵抗の少ないタイトループが有効になります。
 強い向かい風の時は、ラインスピードを上げるよりも、ループを狭くしてサイドキャストする方が有効です。

 プレゼンテーション毎に、鱒が定位している場所、フィーディング・レーンを読んで、ピンポイントに正確にキャストし、短いドリフトで鱒をドライ・フライに食いつかせる釣り方は、大変集中力が必要ですが、狙った通りにフライに鱒が出た時は、非常に満足感が得られます。

 今回、私が紹介した釣り方は、そのほとんどが昔のフライ・フィッシングの教科書に当たり前に書かれていたものです。90年代に入ってからでしょうか、ロング・リーダー・ティペットの釣りがブームになり、リーダーの長さは異常なまでにどんどん長くなっていきました。ロング・リーダー・ティペットを使った釣りは、ティペットのトラブルも多く、空気抵抗の小さなフライしか使用できないので、使えるフライの種類も限定されます。そして何より、狙ったピンポイントにフライを1回でプレゼンテーションするのが、非常に難しいと思います。
 ショート・リーダーを使った釣りは、トラブルも少なく、ピンポイントにフライをプレゼンテーションするのが容易で、ライン、リーダー、その先のフライまでコントロールしているダイレクト感を味わうことができます。
 空気抵抗の大きなフライも使用できるので、良く見えるフライが使えます。私も釣り場や状況によっては、7Xのティペットに#20以下のドライフライを使った釣りもしますが、渓流の釣り上がりの釣りでは、#14、#12のキャッツキル・フライで十分、ヤマメやイワナは釣れます。#12のフライに4Xのティペットだと、バックキャストでフライを木に引っ掛けても、かなりの確率でフライを回収できます。

 今時、私のように7フィート6インチのリーダーで釣りをしている人はめったにいないので、私と初めて一緒に釣りをした方は、私のリーダー、フライを見て驚かれます。フライボックスにぎっしり詰まったキャッツキル・スタイルのドライフライを見て、自分も久しぶりに巻いてみようかなとおっしゃる人も多いです。
 でも、昔は短いリーダーで釣りをされていたベテランの方でも、リーダーを短くするのは、かなり勇気が必要なようです。

 釣り方の好みやスタイルは人それぞれですので、私もこの釣り方を決して強制したりはしませんが、もしこれまでのブログを読んで、興味を持たれた方がおられれば、一度騙されたと思って、ショート・リーダーにキャッツキル・スタイルのドライフライを使った釣りを試されることをお勧めします。
 仮に今までに比べ、釣れる鱒の数が減ったとしても(私はそうなるとは思いませんが)、きっと、なんと快適で楽しい釣りだと実感されることと思います。

2018年12月29日土曜日

Catskill Style Dry Flies(その4)


 今回はキャッツキル・スタイル・ドライ・フライを使用するのに適したタックルについて、述べたいと思います。

 このタイプのフライは、空気抵抗が大きなため、現在日本で主流となっているロングリーダー・ティペットは、キャスティング中にフライが回転してティペットが縮れてしまい使えません。適切な太さのショートリーダーを使用する必要があります。
 まず、ティペットの太さですが、これは昔から言われている3の法則が適用できます。3の法則とは、フライのサイズを3で割った値が適切なティペットのサイズというもので、例えばフライのサイズが#14であれば5X、#12であれば4Xが適切な太さとなります。
 リーダーの長さは、竿の長さくらいが適切です。これも昔のフライフィッシングの教書によく書かれていた原則です。私は7フィート6インチまでの竿を使うことが多いので、7フィート6インチのリーダーを使用しています。
 リーダーが新品の場合は、フライはリーダーに直結で問題ありません。フライを交換してティペット部が短くなってきたら、ティペットを継ぎ足します。私の釣りの師匠の菊地さんは、ティペットは10cmもあれば十分と言っていましたが、さすがに私はその領域には達していないので、50cmほどのティペットを継ぎ足しています。

 竿はリーダー、ティペットほど重要ではありませんが、空気抵抗の大きなフライを正確にキャストするためには、スロースピード・タイトループのキャスティングが必須ですので、ハイモデュラスのグラファイトロッドよりも、バンブーやグラスの方がより適していると言えます。

 ハイスピード・タイトループ、スロースピード・ワイドループという表現は、耳にされたことがあると思いますが、スロースピード・タイトループは耳慣れない表現だと思います。私は師匠の菊地さんからこの表現を教わりましたが、最初は良く理解できませんでした。この意味については、次回のブログで述べたいと思います。

 次回は、キャッツキル・スタイル・ドライ・フライを使った釣りについて述べたいと思います。

2018年12月22日土曜日

Catskill Style Dry Flies(その3)


 今回は、キャッツキル・スタイル・ドライ・フライのタイイングについて、述べたいと思います。

 前回述べたように、このタイプのフライのメリットを最大限に活かすには、フライを高く浮かせる必要がありますので、フライのプロポーションが非常に重要です。上の写真のように、ハックルの先端とフックベンド、テールの先端の3か所で水面に接するようにフライを巻く必要があります。

 最近の日本の雑誌に掲載されているキャッツキル・スタイル・フライの写真を見ると、ハックルが短すぎるものが多いようです。ホワイティングを代表とするジェネティックハックルは、ハックルファイバーが短いものが多く、#14や#12サイズのキャッツキル・スタイル・フライに適したハックルがほとんど生えていないものが多いことが原因の1つと思われますが、最も大きな原因は、多くのフライ・フィッシャーマンが、このタイプのフライを使わなくなったためだと推測します。私は雑誌でこのように巻かれたフライを見るたびに、このフライを巻いた人はこのフライ使ったことがないのだろうなと思います。


 ハックルの長さとテールの長さが適切でないと、3か所で水面に接することができず、フライは高く浮かないばかりか、沈みやすくなってしまいます。

 昔のフライタイイングの教科書や雑誌には、キャッツキル・スタイル・フライの適切なプロポーション(各部の長さ)が必ず載っていたものですが、最近はあまり見かけることがありません。
 標準的は各部の長さは、テール、ウィングがシャンクと同じ、ハックルはゲイプの幅の1.5~2倍です。
 フライを巻く際に、ハックルケープからハックルを選んで抜きますが、標準的なハックルサイズに対し、選んだハックルが長めだったり、短めだったりする場合は、テールの長さを微調整します。逆にテールを取り付けた際にテールが長めだったり、短めだったりした場合は、とりつけるハックルファイバーの長さを微調整します。具体的には、ハックルが長めの場合は、テールを短め、ハックルが短めの場合は、テールを長めにします。

 ハックルはできるだけ短い範囲に、密に巻くことが重要です。私は得に浮力の持続性を重視するウルフパターンやハンピーでは、ハックルを3枚巻きますが、キャッツキル・スタイル・フライでもしっかり浮かすためには、2枚は巻く必要があります。
 1枚のハックルに対して、ウィングの前後で最低4回転ずつ、2枚のハックルで合計16回転は巻きます。
 ハックルが多すぎると、フッキングが悪くなるのではと考える人もいるかもしれませんが、心配無用です。フッキングしないのは、ドリフトの問題です。

 テールはフライをしっかり支えるため、たっぷりした本数をとりつける必要があります。ちょっと多すぎるかなというくらいが適量です。

 適切な量のマテリアルを使用し、適切なバランスで巻かれたキャッツキル・スタイルのフライは、水面に高く浮くため、大変視認性が良く、浮力が持続し、しかも高い耐久性を持ちます。

 エルクヘアカディスなどに比べると、フライを巻くのに格段に時間がかかるので、釣り場でフライを背後の木などに引っ掛けてロストした際のショックは大きいのですが、浮力が持続するため、フライを頻繁に交換する必要がなく、ストレスなく釣りができますし、美しく巻かれたフライで美しい鱒を釣るのは、より大きな喜びと満足感を与えてくれます。

2018年12月15日土曜日

Catskill Style Dry Flies(その2)


 今回はキャッツキル・スタイル・ドライ・フライの特徴と利点について書きたいと思います。

 キャッツキル・スタイル・フライの特徴と利点をまとめると以下のようになります。

(1)水面に高く浮く
 正しいプロポーションで巻かれたキャッツキル・スタイル・フライは、ハックルの先端とフックベンド、テールの先端の3点で水面と接するので、水面上に高く浮きます。これは、このフライの最大の特徴の一つで、以下の利点を生み出します。

(2)視認性が良い
 キャッツキル・スタイル・フライは、水生昆虫に似せた地味な色ですし、パラシュートパターンのようなインジケーターとなる派手な色のポストも持たないので、視認性が悪いと思われる方が多いと思います。ところが、フライの色にもよりますが、高く浮いたキャッツキル・スタイル・フライは、実は非常に良く見えます。

(3)沈みにくく、浮力が持続する
 水面に高く浮くということは、水と接触している面積が少ないので、フライが水流に巻き込まれにくく、沈みにくいことを意味します。また、フライが水を吸収しにくいため、浮力が持続します。

(4)鱒の目をごまかしやすい
 水面に高く浮いたフライは、フライがトラウトウィンドウの外側にあっても内側にあっても、鱒の目がら見てシルエット、色、大きさが曖昧なので、鱒をだましやすいという利点があります。

(5)優れたハッチ・マッチャーになりうる
 私は、キャッツキル・ドライ・フライを(2)、(3)の利点を活かして、瀬の釣り上がりに使用することが多いのですが、これらのフライは状況によっては、(4)と合わせて、優れたハッチ・マッチャーにもなります。
 もともとキャッツキル・スタイル・フライのそれぞれのパターンは、オーセブル川などキャッツキル地方でハッチする水生昆虫も模したものがほとんどで、日本の渓流にも同じような外観の水生昆虫が生息しています。具体的な例は、個別のフライの紹介の際に、示したいと思います。

(6)狙った場所に正確に、自然にプレゼンテーションしやすい
 これはデメリットからくるメリットといいますか、逆説的な理由になりますが、キャッツキル・スタイルフライは空気抵抗が大きいので、現在日本で主流となっている細くて長いリーダー・ティペットが使えません。そこで、短くて太いリーダーティペットを使い、スローラインでキャスティングすることになるので、必然的にアキュラシーが上がります。スローラインでプレゼンテーションされた空気抵抗の大きなフライは、ターンオーバー後、まるで本物の水生昆虫のように、ふわりと水面に落下します。

(7)耐久性に優れる
 キャッツキル・スタイル・フライは、エルク・ヘア・カディスやCDCダンなどに比べ、タイイングに時間がかかるというデメリットがありますが、これらのフライはその繊細な見た目とは異なり、非常に丈夫で、鱒を何匹釣っても壊れることがありません。私は顆粒状のフロータントでゴシゴシフライを揉みますが、そのような使い方をしても、フライは壊れることはありません。フライを木に引っ掛けたり、合わせ切れをしたりして無くさない限りは、1本のフライをいつまでも使い続けることができます。
 また、1日使ってくたくたになったフライも、家に帰ってヤカンの蒸気に充ててやれば、ほぼ元の状態に復活します。

(8)ドライフライらしい繊細さと上品さを持つ
 これまで述べてきた実用的な理由以外に、私がこれらのフライを多用する理由の一つに、これらのフライが、大変美しく、伝統的でいかにもドライフライらしい繊細さと上品さを有することが挙げられます。キャッツキル・スタイル・フライが生まれて以降、世界中で沢山の優れたハッチマッチャーや機能的に優れたフライパターンが生み出されましたが、伝統的なキャッツキル・スタイルのフライは、機能一辺倒でないエレガンスを有していると思います。
 これは、私がフライロッドの中でも特にバンブーロッドを好むのと共通するところがあると思います。優れたバンブーロッドは、決して過去の遺物やノスタルジーではなく、機能的に優れるとともに、釣りをより充実したものにしてくれる存在です。

 上記したような利点を生み出すためには、バランスのとれたプロポーションにタイイングする必要があります。次回は、キャッツキル・スタイル・ドライ・フライのタイイングコツについて書きたいと思います。

2018年12月8日土曜日

Catskill Style Dry Flies(その1)


 今回から数回に分けて、私の好きなフライパターン、キャッツキル・スタイル・ドライ・フライについて書きたいと思います。

 キャッツキル・スタイル・ドライフライ(以下キャッツキル・スタイル)は、アメリカ東部のニューヨーク州キャッツキル地方で生まれた伝統的なフライパターンの総称です。その多くは、シャンクに垂直に巻かれたコックハックル、ハックルファイバーのテール、ウッドダックやマラードダックのフランクフェザーを束ねたバンチウィングを外観上の特徴としています。
 フライパターンとしては、ライトケイヒル、マーチブラウン、グレイフォックス、アダムス、クイルゴードン、バイビジブルなどが有名です。
 日本では、昔から雑誌やカタログでスタンダード・パターンと称されることが多かったため、今でもこのように呼ぶ人が多いですが、この表現は文字通り「標準的なフライパターン」となり、定義が非常にあいまいですので、このブログではキャッツキル・スタイルと呼ぶことにします。

 キャッツキル・スタイルのフライは、誰でも知っている有名なパターンばかりですが、昔からフライをやっている人でも、もう長い間巻いていない、使っていないという人がほとんどではないでしょうか。まして、最近フライを始めた人は、巻いたことも使ったこともないという人が多いと思います。

 多くの人が、キャッツキル・スタイルのフライは、回転してティペットが縮れる、見えにくい、ドラックがかかりやすい、沈みやすい、今時こんなフライでスレたヤマメやイワナは釣れない、というネガティブなイメージをもっていると思います。

 ところが、正しいプロポーションで巻かれたキャッツキル・スタイルのフライを、適切なタックルで使用すれば、ティペットは全く縮れませんし、良く見え、ドラックがかかりにくく、良く浮き、しかも極めて耐久性が高く、どんなシチュエーションでも通用するとは言いませんが、今でも十分に良く釣れるフライなのです。そして、これらのメリットが、私がこれらのフライが好きで多様する理由です。

 次回からキャッツキル・スタイル・ドライ・フライのメリット、タイイングの注意点、適切なタックルと使い方について、数回にわたり述べたいと思います。

2018年12月1日土曜日

ufm Trout Stinger BORON TSS-64 Ti


 番外編第3回は、ufmウエダのトラウト用スピニングロッド、トラウト・スティンガーTSS-64 Ti、6フィート4インチ、2ピースを紹介します。


 この竿は、本流でのミノーイング用に購入したもので、主にザウルスのブラウニー7cm(フローティングング)との組み合わせで使用しています。ブラウニー7cmは重量が2.5gと非常に軽いのですが、この竿は適度なしなやかさを持っていますので、充分にロングキャストが可能です。


 ウエダのトラウト用スピニングロッドの中で最も上位モデルのサーフェス・トゥイッチャーSTSシリーズは、過剰ともいえるくらい弾性率の高い素材を使用しているため、ロッドの反発するスピードが極めて速く、キャスティングのフィールが良くないのですが、このトラウト・スティンガーは適度な弾性率の素材を使用しているので、比較的しなやかでキャスティングしやすい竿になっています。



 ウエダの竿は細身で比較的柔らかいのが特徴ですが、この竿も同様で本流の太い流れで尺を超えるヤマメ、アマゴを掛けると、やり取りがなかなかスリリングです。
 この竿も含めウエダの竿の欠点は、ガイドの数が少ないことだと思いますが、これも大きな鱒を掛けた時に、竿のパワーを充分に生かしきれない要因になっていると思います。

 ウエダは残念ながら数年前に会社が無くなってしまいました。多くの釣具メーカーが製造拠点を人件費の安い海外に移転するなか、ウエダは最後まで国内で生産を行っており、ブランクの製造に高い技術を有し、竿の仕上げも丁寧で、ユニークな竿を数多く作っていただけに、非常に残念です。

2018年11月23日金曜日

CASKET Revolution RB48MLS


 今回は、ロッドビルディングについて投稿します。
 弟からの依頼でカスケットのグラファイト渓流スピニングロッド、レボリューションRB48MLS、4フィート8インチ、2ピースを組み立てました。

 さて、いつものようにスパインを出してグリップのコルクの接着から始めようとしたのですが、いきなり問題が発生。このカスケットのブランクは、どうも塗装にラッカーを使っているみたいで、アルコールやエポキシのうすめ液で塗装が溶けることが判明しました。私はブランクの汚れを拭き取ったり、組み立て中にブランクに付着した接着剤等を拭き取るのにアルコールを使いますし、ラッピングのエポキシコートは、特に1回目のコートはうすめ液でかなり薄めたものを塗りますので、このままでは組み立てられません。
 そこで、アルコールを使ってブランクの塗装をすべて落としてから、アルコールに溶けないウレタン塗料を使って、塗装をすることになりました。
 この塗装を落とすという作業は、綺麗に仕上がっているものを取り除くという、いわば後ろ向きな作業ですので、竿を組み立てるという前向きな作業とは異なり、なんとも精神的に疲れるものです。


 リールシートは、いつも使っているAndrew's Fishingのものです。私がお店で厳選した手元にある在庫の中から、弟に現物を見て選んでもらいました。金具もシルバー、ゴールド、ガンメタルの3色の中からガンメタルを選択してもらいました。



  レボリューションシリーズは、2ピースのバットセクションよりもティップセクションが長いワン&ハーフになっています。フェルールがバットにこれだけ近いと、アクションにほとんど影響を与えないと思いますので、ワンピースに近いキャスティングフィールが得られるのではないかと想像します。


 現在のカスケットの竿は、グリップが着脱式になっています(正しくは3ピースということになるのでしょうか・・・)。カスケットの完成品の竿は、グリップにレアウッドを使用した大変高価なものとなっており、希少なウッドを使ったグリップを複数の竿で使いまわせるように配慮したもののようです。
 グリップはボロンを使ったシャフトを購入して組み立てるようになっています。ボロンシャフトは、竿の長さ別に数種類発売されており、この竿に使用したシャフトは5フィート前後の数種類のブランクに適合するようになっています。従って、各ブランクのバット側のフェルールの外径は共通になっており、この竿ではフェルールの手前でブランクがかなり急激なスウェルバットになっています。

 ティップ径はかなり細く、バットまで全体的にかなり細身の竿ですが、かなり弾性率の高い素材を使用しており、ティップから曲がり始めるかなり固めのファストアクションになっています。3.5g以上のシンキングミノーに適しているように思います。
 これだけ細身でスローテーパーでも、パワフルなファストアクションの竿が作れるのは、正に高弾性のグラファイト素材のなせる業だと思います。


2018年11月17日土曜日

原田竹竿 5’2”


 お気に入りの竿の番外編第2弾は、原田竹竿のバンブースピニングロッド、5フィート2インチ、3ピースを紹介します。

 原田竹竿の原田克己さんは、大阪在住のロッドビルダーで、現在は真竹を使ったフライロッドを中心に製作されていますが、渓流ルアー用のスピニングロッドやベイトロッドも製作されています。前回紹介したレイチューンのターゲットも原田さんの手によるものです。

 この竿を作製してもらうにあたり、レイチューンの上原さんにターゲットシリーズの中で1.5gくらいのフローティングミノーから3gくらいまでのシンキングミノーまで使用するのに最適な竿を尋ねたところ、ターゲット503、5フィート、3ピースが最も適しているという回答をいただきました。ターゲット503はトンキンケーンを素材としたメタルフェルールの竿ですが、この竿はターゲット503のテーパーをベースに、素材はトンキンケーンのまま、長さを5フィート2インチに延長し、原田さんお得意のバンブーフェルールで作製してもらいました。


 ターゲット521がティップアクション気味のプログレッシブアクションであるのに対し、この竿はティップが太目のスローテーパーにデザインされており、よりバットに近い箇所から曲がり始めるパラボリック気味のプログレッシブアクションにデザインされています。全体に曲がるアクションにより、1.5gのフローティングミノーがキャスティングでき、バットで負荷を受けるので、3gくらいのシンキングミノーでもキャスティングできるようになっています。
 1.5gのフローティングミノーをキャストする際、ターゲット521はティップが仕事をしますが、この竿は竿全体が仕事をします。全体的にターゲット521よりもパワーがあるので、軽量フローティングミノーを投げる際は、ミノーの重量だけでは竿の曲がりが足りず、キャスターがストロークで竿を曲げてやる必要がありますので、軽量ミノーを投げるにはターゲット521の方が向いていると思います。


 軽量フローティングミノーからシンキングミノーまで使用可能なオールマイティーな竿であるのに加え、3ピースで携帯で便利なため、渓流の状況が分からないような場合や遠征時に便利です。

 私は軽量フローティングミノーが使いやすいターゲット521の方が好みですが、私の友人は、この竿の方がキャスティングしやすいと言っています。このあたりは、使用するルアーと好みの問題だと思います。


2018年11月10日土曜日

Ray Tune Target 521


 これまでお気に入りのフライロッドを紹介してきましたが、今回はその番外編ということで、ルアー用のバンブースピニングロッド、レイチューンのターゲット521、5フィート2インチを紹介します。

 私は本格的にフライフィッシングを始めて以降は、基本的にフライフィッシングオンリーで釣りをしてきましたが、7年ほど前から数年間、渓流のルアーフィッシングに熱くなっていた時期がありました。フライオンリーの人間がルアーをやってみると、新しい発見があったり、フライにはない楽しさがあったりして、ルアーにはルアーの面白さがあるのですが、それはまた別の機会に紹介したいと思います。

 渓流のルアーを始めて最初の頃は、現在主流となっているシンキングミノーの釣りに適したグラファイトロッドを使っていたのですが、渓流ルアーの中でも特にフローティングミノーを使った釣りが気に入ったこともあり、フローティングミノー用の竿ということで出会ったのが、このバンブーロッド、レイチューン ターゲット521です。


 レイチューンは香川在住のハンドメイドルアービルダー、上原徹也さんのブランドで、ハンドメイドバルサミノーや最近ではインジェクションのプラスチックミノーも販売されています。フローティングミノーの釣りが好きな上原さんが、軽量なバルサ製のフローティングミノーの釣りに適した竿を求めて完成したのが、このターゲット521です。竿の共同開発者であり作製は、原田竹竿の原田克己さんです。


 ターゲットには現在4種類のモデルがあり、この521は最初に開発されたモデルですが、ターゲットのラインナップの中で最もフローティングミノーに適した竿です。フローティングミノー専用といっても良いと思います。

 バンブーロッドは、素材の自重で竿が曲がるので、自重が軽く弾性率が高いグラファイトロッドに比べ軽量なフローティングミノーが投げやすいという特性を持ちます。
 ターゲット521は、ティップから順に曲がっていくプログレッシブ・ティップアクションにデザインされており、1.5g程度のバルサフローティングミノーでもキャスティングが容易になっています。シンキングミノーももちろん使用できますが、キャスティングやアクションを加えるのが快適に行えるのは、2.5gくらいまでだと思います。


 この竿の大きな特徴は、ワンピースであることです。ワンピースは持ち運びが不便というデメリットがありますが、フェルールがないため、非常にスムースなアクションで、キャスティングしてみると竿が曲がる際、復元する際にエネルギーの伝達に継ぎ目がなく、フェルールの着いた竿にはない独特のフィーリングがあります。

 軽量なフローティングミノーのキャスティングを最も重視したしなやかな竿のため、あまり大き鱒には向いていないように思いますが、尺ヤマメ、尺イワナには充分対応できるバットパワーは有しています。

 クラシックな雰囲気を持つバンブー素材の竿ですので、カーディナル3やミッチェル308などのクラシックリールにナイロンラインの組み合わせがマッチしているように思われるかもしれませんが、私はシマノの当時最新の超軽量リールにPEラインの組み合わせで使用しています。フェルールがないこと、リールシートに軽量なアルミを使用していることから、バンブーロッドとしては非常に軽量ですし、バンブーロッドはミノーにアクションをつけたり、フッキングややり取りの際に、ティップへの入力を竿自身が吸収しますので、伸びの少ないPEラインが向いているように思います。

 持ち運びは確かに不便ですが、私の好きなフローティングミノーの釣りで非常に軽快な釣りができますので、この竿は何本か所有している渓流スピニングロッドの中でも特に気に入っている竿です。