2019年6月22日土曜日

Orvis(その3) Yellowstone 7 1/2 #5


久しぶりにMy favorite rodsを再開したいと思います。再開第1回は、オービスのイエローストーン、7フィート6インチ、5番です。

 この竿は、数年前にオークションで入手したものです。未使用ということでグリップには収縮フィルムが着いたままだったのですが、製造が1982年の10月と流石に35年以上も経過しているので、コルクの油分が抜けてスカスカの状態になっていました。
 そこで、先日の岩手釣行に持参し、ノースカントリーアングラーの加藤さんにグリップの交換をお願いしました。上の写真が交換前のオリジナルで、下の写真が交換後になります。


 自分で交換してもよかったのですが、できる限りオリジナルに忠実にレストアしたかったので、それに関して卓越した技術と知識を持つ加藤さんにお願いしました。
 結果は予想通り、いや予想以上で、オリジナルを忠実に再現したうえでグリップのコルクだけが新品に生まれ変わりました。


 グリップを交換するには、バットセクションのガイドとフッキキーパーを取り外す必要があるのですが、付け直したガイドのスレッドの色、スレッドの巻幅はもちろんのこと、コーティングもオリジナルと同様の一液性のウレタンを使用し、オリジナルの糸目の出方と同じになるようにコーティングの厚みが調整されています。


 当時のオービスのグラファイトロッドは、グリップの上部の紙巻のロゴが特徴で、端が浮いていることが多いのですが、これも綺麗に補修されていました。
 この竿が販売されていた当時、私は高校生でしたが、月刊フィッシングにティムコが掲載しているオービスの広告を見ては、この紙巻のロゴに憧れたものです。私と同年代のフライフィッシャーマンは、この当時の紙巻ロゴと赤いラベルのアルミケースのオービスグラファイトに今でも特別な思いを抱いている方が多いのではないかと思います。

 オービスのイエローストーンシリーズは、オービスのグラファイトロッドの歴史の中でもちょっと珍しい竿です。1983年に発表されましたが、翌1984年には名前がウェスタンシリーズに変更になり、イエローストーンの名前を持つ竿は1年間しか作られませんでした。確かこの7フィート6インチ、5番の竿は、ウェスタンになった年にラインナップから外れたように記憶しています。

 イエローストーン(ウェスタン)シリーズは、それまでのオービスグラファイトがブラウンのスレッドでラッピングされていたのに対し、スカーレッドのスレッドでラッピングされています。イエローストーンの名前で発売されていた竿だけが、どういう訳かグリップ先端のスレッドの巻き上げの長さが長くなっています。

 イエローストーン発売前からあるオービスのグラファイトシリーズ(のちのスーパーファインシリーズ)は、ローモデュラスグラファイトを使用し、オービスがフルフレックスアクションと呼んでいた、ロッドが全体に弧を描くスローアクションが特徴ですが、このイエローストーン(ウェスタン)シリーズは、その名の通りアメリカ西部の川をターゲットにした、当時のオービスとしては初めてのティップアクションの竿です。
 ローモデュラスのグラファイト素材を使用している点は同じですが、ティップがやや細く、バットがやや太めのファストテーパー気味に設計されており、従来のオービスグラファイトよりも、やや強めでよりティップ側から曲がるようになっています。
 といっても、ローモデュラスグラファイトの肉厚のブランクなので、現在の超ハイモデュラスのグラファイトを使った竿や、当時のセージやフェンウィックの竿に比べると、スローでしなやかです。

 この竿は、アベレージサイズのヤマメやイワナを釣るには、やや強い竿ですが、北海道の中小規模の渓流でニジマスやブラウンを釣るのに非常に適していると思います。私の師匠の北海道の菊地さんも、この竿を所有しており、フリースの竿に出会うまでは、良く使用されていたようです。


2019年6月15日土曜日

Vermont Caddis


 今回は、カディス・パターンの中でも殆どの方がご存知ないと思われるバーモント・カディスを紹介します。

 このフライは、ご覧のとおりハーズ・イアーのボディにブラウンとグリズリーのハックルを巻いただけの、極めてシンプルなフライです。カディス・パターンはたいていの場合、トビケラの特徴であるテント状のウィングを模したダウン・ウィングが取り付けられていますが、このフライにはそれがありません。しかし、このフライは縦に長めに密にハックリングされたハックルと、ハーズ・イアーのシャギーなボディが、一目見た時にいかにもカディスらしい印象を与えています。
 私は、このフライをネット上でたまたま見つけたのですが、写真を見た瞬間に軽い衝撃を受けるとともに、このフライは釣れると確信しました。


 ダウン・ウィングが取り付けられたカディス・パターンは、我々が良く目にするトビケラが岩や木の葉にとまって羽を閉じた状態を表現していますが、このフライは飛行中や水面上でフラッタリングしている羽を広げた状態を表していると思います。実際に飛行中のトビケラは、このフライとそっくりなシルエットをしています。

 ネットで検索しても、このフライに関する情報は少ないのですが、フラッタリングさせて使う釣り方が紹介されていました。まだ試していませんが、下半分のハックルをカットして、スペント・パターンとして使用しても効果的ではないかと思います。

 タイイングのポイントは、ハックルを巻く範囲をシャンクの半分以上に長くとり、長めのファイバーを密にびっしり巻くことです。私はハックルを3枚巻いています。

 地味な色調ですが、水面に高く浮くのと、ブラウンとグリズリーのハックルの組み合わせは、意外と良く見えます。ハーズ・イアーのボディは、ドライフライ用のダビング材に比べて水を吸いやすいので、浮力の持続性は若干劣りますが、実際に使ってみるとそれほど気になりません。
 顆粒状のフロータントを使用し、しばらく使ってすこしフライがくたびれてきた方が、よりカディスっぽく見えます。

 カディスが沢山飛んでいる時はもちろんですが、耐久性のあるフライなので、鱒の活性が高く、良く釣れていてフライを交換するのが面倒な時に使用するのにも適しています。


2019年6月9日日曜日

Marshmallow Ant


 前回のパラシュート・アントに引き続き、アント・パターンの第2段として、島崎憲司郎さんのマシュマロ・アントを紹介します。

 パラシュート・アントは良く釣れる丈夫で使いやすいパターンですが、浮力が弱く、その持続性に欠けるのが弱点です。夏場の渇水した渓流では、さほど問題にはなりませんが、もう少し浮力が欲しい場合は、このパターンを使用することが多いです。

 シマザキ・フライは機能的かつ捕食対象である水生昆虫や陸生昆虫の特徴を上手くデフォルメした優れたデザインが特徴ですが、タイイングの容易さや量産性も考慮されています。このフライを始めとする一連のマシュマロ・パターンも、最初にフライのボディになるマシュマロ部分をまとめて作っておくと、フライを短時間で大量に巻くことができます。
 マシュマロ・アントのタイイングは、YouTubeのティムコのチャンネルで、実際にご本人がタイイングされているものが視聴可能です。

 マシュマロ・パターンは、大きなフライでも鱒に吸い込まれやすく、フッキングしやすいと言われていますが、アント・パターンのような小さいサイズでは、前回のパラシュート・アントと大差はないと思います。


2019年6月1日土曜日

Parachute Ant


 今回は、初夏以降に効果的なパラシュート・アントを紹介します。

 テレストリアル・フライとしてポピュラーなパターンなので、わざわざ紹介するまでもないのですが、カゲロウ、トビケラのハッチがひと段落した6月以降の夏場に非常に効果的なフライです。特に真夏に水温が高すぎてヤマメ、イワナの活性が落ちている時にこのフライを流すと、反応が明らかに違うように思います。

 ボディは重ねて巻いたスレッドをラッカー等でコーティングしたものや、ピーコックハールを巻いたもの、ビーズを使ったものなどありますが、私はタイイングの容易さと耐久性から、単純に黒のポリプロピレンのダビング材(フライライト)を使用しています。
 パラシュートポストは、オレンジやピンクを使った方が良く見えますが、あまり派手な色は使いたくないので、マシュマロファイバーのシナモンを使用しています。FLホワイトよりもシナモンの方が視認性は良いと思います。

 同じ時期の同じ渓流でも、その時の川の状態、鱒の活性によって、反応の良いフライは変化しますが、私の場合夏場ですと、未だ日が高いうちはアントパターン、日が沈んで光量が落ちてくると、エルクヘアカディスなどの高く浮いてより視認性の良いフライを使用することが多いです。

 蟻は栄養価が高いと聞いたことがありますが、ヤマメ、イワナが蟻を好んで捕食しているのか、夏場の明るいうちは水生昆虫の流下がないためか、夏場のアントパターンは、非常に効果的で、他のフライに神経質な出方をするヤマメ、イワナも、アントパターンにはゆっくりとした出方でガッツリフライを咥えていることが多いように感じます(実際は吸い込んでいるのですが・・・)。


2019年5月25日土曜日

ユスリカのハッチマッチャー


 シマザキ・パターン繋がりということで、季節はずれではありますが、今回はユスリカのハッチマッチャーを紹介します。

 このフライを私が初めて目にしたのは、「水生昆虫アルバム」の初版でしたが、初出は「フライの雑誌10号(1989年)」だと思います。かれこれ30年前に生まれた相当古いパターンですが、名前の通りユスリカのハッチに極めて効果的かつ機能的にも非常に優れたフライです。

 このフライの画期的な点は、鱒に見せたいミッジ・ピューパ部とCDCのインジケータ部を分離し、しかもそれを1本のフックの中で、今まさにユスリカがピューパの殻から抜け出す瞬間、あるいは抜け出せずに脱皮殻を引きずっている状態として表現しているところです。このような構造とすることにより、鱒に見せたいピューパの部分は水面下に理想的な角度でぶら下がり、人間が見たいインジケータの部分は水面上に出るわけです。

 この手のミッジ・ピューパのパターンとしてよくあるのは、通常のミッジ・ピューパのパターンのヘッドにCDCを取り付けたものですが、実際に使ってみると浮力が持続しなかったり、視認性が悪かったり、フライの姿勢が安定しなかったりします。
 このフライは、これらの欠点を見事に解決しており、流れがある程度速いポイントでも充分に使用可能です。

 また、私が感じるこのフライの最大の利点は、鱒に見せたいピューパの部分は、フックベンド部のみに巻かれていますので、1サイズ大きなフックを使用することができ、それは即ち1サイズ太いティペットを使用できるということです。これは、極小のユスリカを捕食している大型の鱒をミッジ・フライで狙う際に、釣り人にとって大きなアドバンテージになります。


 昔の湯原温泉の自然鱒釣り場では、12月以降ユスリカが大量にハッチし、それに伴いライズも沢山見られたので、このフライを使って良い釣りができました。
 また、2002年の11月に釣行したアメリカのサンワン・リバーの最終日、Upper Flatsの少し上流のプールで、ライズしているニジマスを片っ端からフッキングさせるという会心の釣りができた思い出のフライでもあります。

2019年5月18日土曜日

ピカイチ シンプル ニンフ


 前回のフェザント・テール・ニンフに引き続き、今回もニンフ・フライを紹介します。今回は、島崎憲司郎さんのピカイチ・シンプル・ニンフ(以下PSN)です。

 島崎さんのニンフ・パターンとしては、このフライとアグリー・ニンフの2つが有名ですが、私の経験ではPSNの方が良く釣れるフライだと思います。
 このフライは、フェザント・テール、ハーズ・イアー、ピーコック・ハールという理屈抜きで良く釣れる3種類のマテリアルから構成されており、特定の水生昆虫のニンフに似ているわけではありませんが、一目見た時の虫っぽさと生き物感が良く釣れる理由の1つだと思います。

 ニンフ・パターンでは、より本物の水生昆虫に似せるために、テールを付けたりレッグを付けたり、ウィングケースを付けたりしたくなりますが、このフライのミソはマテリアルの質感とシンプルなシルエットで、不特定の水生昆虫の幼虫や蛹を表現している汎用性にあると思います。
 PSNはマダラカゲロウのニンフにも見えますし、カディス・ピューパやラーバにも見えるので、いろいろなサイズを揃えておけば、季節や場所を問わず使用できます。


 ノンウェイトで表層を流す使い方もできますが、私はレッド・ワイヤーをたっぷり巻き込んだものを使用しています。前回のフェザント・テール・ニンフは、主にサイト・フィッシングに使用しますが、PSNはある程度水深のあるポイントで、リーダーにヤーン・マーカーを付けてアップ・ストリームかアップ・クロスでブラインド・フィッシングで使っています。冬場ですと、PSNをシンカーの代わりに使用し、PSNのフックベンドにティペットを結んでミッジ・ラーバをトレーラーに結ぶ場合もあります。

 タイイングは、ソラックスを巻くときにマルチ・グルーを使うのがポイントで、マルチ・グルーを塗ったスレッドに、ステムからむしり取ったピーコック・ハールを少量タッチダビングし、その後にハーズ・イアーをタッチダビングし巻いていきます。この方法を用いると、ハーズ・イヤーを後からピック・アウトしなくても、ガードヘアやファーが飛び出し、自然な感じに仕上がります。

2019年5月11日土曜日

Pheasant tail nymph


 今回はニンフ・フライの中から、ハーズ・イアー・ニンフと並んで世界で最も有名なフライである、フェザント・テール・ニンフ(以下略してPTN)を紹介します。

 PTNはフランク・ソーヤー(Frank Sawyer)が発明した所謂ソーヤー・ニンフの中でも最も有名なフライです。ソーヤー・ニンフの特徴は、使用するマテリアルが少なく簡単に巻けること、シンプルですが水生昆虫の特徴を良くとらえたシルエット、そして優れた機能性の3つだと思います。

 フランク・ソーヤーのオリジナルのPTNでは、フライの名前の由来になっているフェザント・テール(雉の尾羽)とスレッドの代わりを兼ねたコパ―ワイヤの2つのマテリアルしか使用しません。フェザント・テールはサイズの問題から、大きなサイズは巻けませんが、そのファジーな色調に加えて、フライを巻いた時にフリューが立ち上がって水生昆虫の何ともリアルな質感を表現してくれます。またソラックスにぐるぐる巻きにされたコパ―ワイヤ―は、ウェイトの代わりになるとともに、フライにきらめきを与えるアクセントにもなっています。

 PTNがフェザント・テールとコパーワイヤーを使ってスリムに作られているのは、水生昆虫の形状を模擬するためだけでなく、機能的な理由があります。
 オリジナルのPTNはウェイトを巻き込まないので、フライの質量は小さいのですが、比重(体積当たりの重量)の大きなフライです。併せてスリムなシルエットなので、水の抵抗が小さく、着水後スムーズに沈下してくれます。そのため、見えている鱒を狙う時に、鱒の目の前にフライを上流から流し込みやすいという利点があります。

 私は渓流でヤマメ、アマゴ、イワナを釣る時は、ドライフライしか使わないので、ニンフは管理釣り場でしか使用しないのですが、PTNはニジマスが自然繁殖していることで有名な湯原温泉のニジマス釣り場で、見えている鱒をサイト・ニンフ・フィッシングで狙うのに良く使っていました。
 オリジナルのPTNのタイイングや、ソーヤ―・ニンフの使った釣りについては、平河出版社から出版されている「フランク・ソーヤーの生涯」という単行本に詳しく載っています。フランク・ソーヤ―関連の本は何冊か読みましたが、釣り人目線では、私が読んだ本の中では、この本が一番役に立つと思います。シャルル・リッツがソーヤーの釣りについて書いた文章も掲載されており、非常に参考になります。

 PTNはコカゲロウなどのスリムなカゲロウのニンフのイミテーションとして効果的ですが、アカマダラカゲロウやオナシカワゲラのニンフとしても使用できます。また、#20以下サイズは、ミッジピューパやラーバのイミテーションにもなると思います。
 私が良く使用するのは、#18と#20です。


 PTNには、フランク・ソーヤ―のオリジナル・パターン以外に、ソラックスにピーコック・ハールを用いたアル・トロースのパターンや、ウィング・ケースに使用したフェザント・テールを折り返してレッグにしたもの、ウィング・ケースにフラッシャブーを用いたものなど、様々なバリエーションがあり、どれも効果的なフライです。

 私も以前はオリジナルのフランク・ソーヤーのパターンに加え、これらのバリエーションも使用していましたが、雑誌で備前貢さんのPTNパターンを見て以来、もっぱら備前さんのパターンを使用しています。
 備前さんのPTNは、ソーヤーのオリジナルに近いのですが、アブドメンはフェザント・テールを巻き付けるのではなく、フックシャンクの背中にフェザント・テールを折り返して、コパ―ワイヤ―でリビングして巻き留めています。この方法だと、ボディーを細く仕上げることができますので、アブドメンは細く、ソラックスはポッコリという、メリハリの利いたシルエットが作れます。



2019年5月4日土曜日

TITE LINE DRY-FLY


 今回は私が使用しているフロータントを紹介します。タイトライン社のドライ・フライです。

 このフロータントを使用するまでは、私もご多分に漏れず、ティムコのシマザキ・ドライシェイクを使用していました。しかし、私の釣りの師匠である北海道の菊地さんにこのフロータントを教えてもらってからは、かれこれ20年以上これを使い続けています。

 このフロータントは顆粒状のフロータントで、ドライシェイクと同じくフライを乾燥させるためのシリカゲルと撥水性の成分から構成されているようです。ドライシェイクはシリカゲルとフッ素系と思われる撥水性の粉末が粒子のサイズの違いで明確に判別できますが、ドライ・フライは区別がつきません。

 ドライ・フライも最近はドライシェイクのように、フライをボトルの中に入れて蓋をしめ、ボトルをシェイクして使うタイプの容器でも販売されていますが、私は、もともとの使い方である、手のひらに乗せたフライに粉末をふりかけ、反対の手の指でフライに粉末を揉みこむ使い方をしています。
 処理を終えて手の平に残った粉末は、捨てることになりますが、ごく少量の粉末で十分な撥水性をフライに与えることができます。フロータント処理の度に新しい粉末を使用すること、フロータントを指で揉みこむことに加え、シリカゲルの成分が多いようで、フライを乾燥させる能力もドライ・シェイクに比べて優れています。

 昔、同じようなタイプのフロータントに、シーデル800というものがありましたが、ドライ・フライはシーデル800の会社の社長の息子が作ったと、以前何かで読んだ記憶があります。

 以前菊地さんのお宅で、ドライシェイクを始め様々なフロータントを施したフライをコップの水の中に強制的に沈めるテストを行い、浮力を比較したことがありますが、このドライ・フライがもっとも撥水性が強く、浮力の持続性も優れていました。


 このようにフライを乾かす、浮かせるといった性能面では非常に優秀なフロータントですが、欠点は手にフロータントが着くので、グリップが白く汚れてしまうのと、川の水で洗ったくらいでは手についたフロータントが完全にとれないので、釣りの帰りに車を運転する際に、ハンドルにごくわずかですがフロータントが付着することです。

 使用方法ですが、私はフライを交換したときは、まずペースト状のフロータント(C&Fデザインのパワーフロート)をフライに塗り込んだのちに、ドライ・フライを揉みこんでいます。ペースト状のフロータントは、リーダー、ティペットにも塗っておきます。ペースト状のフロータントを先に塗っておくのは、ドライ・フライが取れてしまった時の保険ようなもので、他のフロータントでも液体フロータントでも良いと思います。
 釣りをしていると、フライの浮力が落ちてきますので、フォルス・キャストで水を切り、残った水分をクロスに吸収させて取り除いたのち、ドライ・フライを揉みこみます。鱒を釣るとフライが完全に濡れてしまいますので、フライの水分除去を念入りに行ってから、ドライ・フライを揉みこみます。


 ドライ・フライは昔は写真のような小さな容器で売られており、この容器はフロータントを少量ずつ取り出せて便利だったのですが、最近は詰め替え用の大きな容器とドライシェイクタイプの2種類が販売されています。私は詰め替え用の大きな容器のものを購入して、昔の容器に詰め替えて使用しています。新たにこのフロータントを試してみたいと思った方は、百均に行けば、旅行用に化粧品やシャンプーなどを小分けで持っていくための、似たような容器を入手することができますので、これに詰め替えて使用することをお勧めします。

 フロータント処理の方法上、局所的にフロータント処理を施すことはできませんが、私はキャッツキル・パターンやエルク・ヘア・カディスなど、水面に高く浮くフライを好んで使用しますので、そのようなフライ・パターンには、非常に効果的なフロータントです。

2019年4月27日土曜日

Red Fox


 ライト・ケイヒル、グレイ・フォックス、マーチブラウンといったキャッツキル・スタイル・ドライ・フライのボディには、もともとはレッド・フォックスのファーが使用されていました。先日、このレッド・フォックスのスキンを入手しました。

 購入先は、皆さんご存知、フライ・タイヤ―備前貢さんのB's Fly Worksです。
 備前さんがブログに書かれているように、オリジナルのキャッツキル・ドライ・フライには、レッド・フォックスのお腹のファーをボディ・マテリアルとして使用するのですが、今回購入した顔と足のスキンにも、ぴったりな色調のファーが生えています。


 このあたりは、備前さんのブログに作例つきで詳しく書かれていますが、ライト・ケイヒルにぴったりなクリーム色から、グレイ・フォックスのややグレーがかったクリーム色、マーチ・ブラウンの小麦色まで、フライに応じて選択することができます。
 ファーの根元のグレイも、グレイ・ウルフやアダムスなどに使えそうです。


 私はフライを巻く際に、必ずしもオリジナルのフライに使用されていたマテリアルを使用しないといけないということはないと思いますし、そういうこだわりもありません。ウェットフライやサーモンフライなど、今ではオリジナルのマテリアルが入手困難な場合もあります。
 ドライ・フライのボディなどは、動物のファーを用いるよりも、ポリプロピレン等の化学繊維のダビング材を用いた方が、吸水性がなくて、比重も軽く、機能的に優れていると思います。しかし、化学繊維のダビング材を用いるよりも、ナチュラルのファーを用いた方が、より生命感が出るように感じます。

 話は少しそれますが、ハーズ・イヤーや、オポッサム、ラビットなど、ナチュラルのファーをスキンから切り取って袋詰めにしたダビング材が市販されています。レッド・フォックスのダビング材というのは、見たことがありませんが、これらのファーについては、ダビング材として市販されているものよりも、スキンで購入した方が、手間はかかりますが、品質も優れており、フライの仕上がりも良くなります。ハーズ・イヤーなどはその典型です。


 野生動物の毛皮を所詮は趣味でしかない毛ばりの材料として使用していると、動物愛護団体の方から睨まれそうですが、フライを巻くのに使用する毛皮の量など、マフラーやコートに使用される量に比べれば、たかが知れているでしょうし、今回購入した1枚と2足分あれば、私がこれから使う一生分のフライを巻けると思います。

2019年4月20日土曜日

Elk Hair Caddis


 今回は日本のフライフィッシングにおいて定番中の定番であるエルク・ヘア・カディスを紹介します。
 このフライは皆さん良くご存じですので、今更紹介するまでもないのですが、私がフライを巻くときに注意していることや、使い方について述べたいと思います。

 まずタイイングについてですが、このフライは単純な形状であるが故に、エルクヘアの種類や量、ハックルの長さなど、巻く人の個性が出るフライだと思います。
 私の場合、フライがなるべく高く浮くように、また浮力が持続するように、エルクヘアの量は少なめに、ハックルはやや密に巻いています。
 エルクヘアについては、最初はブリーチした太目のカウエルクを極々少ない本数取り付けていました。しかし、千切れやすく、数匹釣るとスカスカになってしまうため、いろいろ試した結果、今はカウエルクよりも細く、ナチュラルでも色が白に近いブルエルクを多めに取り付けています。ナチュラルのブルエルクはブリーチしたものに比べるとかなり強く、使っていて少々千切れたとしても本数が多いのでボリュームを保ってくれます。特に私は顆粒状のフロータントでフライをゴシゴシと揉みますので、エルクヘアの耐久性は重要なポイントです。

 ボディ・ハックルは短すぎても長すぎてもフライの浮き方や浮力の持続性に影響しますが、キャッツキル・パターンに比べると許容範囲は広いです。


 エルクヘア・カディスはダウン・ウィングに取り付けたエルクヘアがキャスティング時に空気を整流する効果があるので、ロング・リーダー・ティペットでもキャスティングしやすいフライですが、ショート・リーダーで使用する際は逆に注意する必要があります。向かい風以外の時は、投射性が良すぎてリーダー、ティペットが伸びきった状態で着水し、フライが着水したとたんにドラッグがかかりやすくなります。そのため、以前のブログで書いた空中でフライを完全にターンオーバーさせ、ティペットにスラックを入れてフライを着水させるプレゼンテーションを、より意識して行う必要があります。

 エルクヘア・カディスは、カディス・アダルトの優れたイミテーションフライですが、ボディをピーコックハールで巻けば、テレストリアル・フライになりますし、ボディ、ハックルの色とフックサイズを変えれば、ミドリカワゲラやオナシカワゲラなどのストーンフライのイミテーションとしても使用できます。まだ20番以下のフックサイズに巻けば、ユスリカのイミテーションにもなります。
 この汎用性は、裏を返せば鱒にとって「水面を流れる何某かの捕食できるもの」全般をイミテーションしていると言えますし、実際に釣り上がりのサーチング・パターンとして、季節や釣り場を問わず、良く釣れるフライです。極端な話ですが、エルクヘア・カディスを色違いで10番から20番までフライボックスに揃えておけば、日本の釣り場ですとシーズンを通じてたいていの場合は、困ることはないと思います。

 キャッツキル・パターンは沈んでしまうと、鱒がフライを咥えることはまずありませんが、エルクヘア・カディスは、どういう訳かフライを沈めても釣れます。私はめったに行いませんが、例えば雨の日でドライフライがすぐに沈んでしまうような時に、エルクヘアカディスをウェットフライとして使うという裏技もあります。


2019年4月13日土曜日

Humpy


今回はウェスタン・フライの中からハンピーを紹介します。

 ハンピーは、テール、ウィング、ボディのシェル・バックに獣毛を用いたフライですので、他のウェスタン・フライ同様に浮力に優れるという特徴があります。

 ハックルを縦に巻いたパターンの中でも、コロッとしたバルキーなシルエットを持つので、私はテレストリアルを意識したフライとして使用しています。写真のフライは、ボディにピーコック・ハール、ハックルにブラウンというコーチマンと同じマテリアルの組み合わせですが、よりテレストリアルっぽさが表現できていると思います。
 小さなサイズにバランス良く巻くのが難しいこともありますが、私は#12のフックに、良く浮かせるためにハックルを3枚巻いたものを使用しています。

 ハンピーはボディマテリアルやカラーの違いで、様々なパターンがありますが、私は写真のもの以外では、ボディをイエローのフロス、テール、ウィング、シェル・バックをナチュラルのディア・ヘア、ハックルを茶色に染めたグリズリーで巻いたイエロー・ハンピーや、ボディを赤のフロス、テールをムース・ボディ、ウィングをホワイト・カーフ・テール、ハックルをコーチマン・ブラウンで巻いたロイヤル・ハンピーを良く使用します。

 写真のフライやロイヤルハンピーのように、テール、シェル・バック、ウィングを異なるマテリアルで巻いたパターンもありますが、イエロー・ハンピーのように、これらの部位を全てディア・ヘアもしくはエルク・ヘアで巻くのが基本で、折り返して巻きとめたシェル・バックをたすき掛けで2つに分けて、そのままウィングにします。
 ウィングを適切な長さに仕上げるには、最初にヘアを適切な長さで巻き留めることが重要になりますが、タイイングが楽しいフライでもあります。

 ハンピーは、時には1匹鱒を釣っただけで、シェル・バックが千切れてバラバラになってしまいますが、そうなってもフライへの鱒の反応は変わらないようです。