2020年6月28日日曜日
Hardy JLH(その4)Ultralite Disc
ハーディJLHの最終回は、ウルトラライト・ディスクのディスク・ドラグ機構について書きます。
ディスクドラグの心臓部であるディスクプレートは、本来裏面のドラグノブの中に内蔵されており、水やダスト、砂など異物の侵入を防ぐため密閉型になっています。そのため、クリックタイプのJLHウルトラライトに比べ、ノブの厚みが厚くなっています。
スプール内部にはローラータイプのワンウェイ・クラッチが内蔵されています。上の写真で、スプールシャフトが貫通する穴の内面に3つのローラーが見えていますが、このローラーのついた部品がワンウェイ・クラッチです。ローラータイプのワンウェイ・クラッチは、正転方向ではローラーがフリーに回転して、ローラーベアリングとして働きますが、逆転方向ではローラーが回転できないようになっており、文字通り一方向にしか回転できないベアリングになっています。
そのため、正転時(ライン巻き取り時)は、リール本体に装着されたスプールシャフトを軸にスプールがフリーで回転しますが、逆転時(ライン引き出し時)はスプールがシャフトに固定されます。
巻き手方向の変更は、スプール裏面のプレートの3本のマイナスネジを取り外し、ワンウェイ・クラッチをひっくり返して再装着します。
引き出し時はスプールとシャフトがロックされた状態でシャフトが回転し、ドラグノブ内に内蔵されたディスクプレートとの摩擦力でドラグがかかる仕組みになっています。
リール本体の内側には樹脂製のバネと爪が装着されており、スプール裏面のギアと噛み合うことにより巻き取り時、引き出し時ともにクリック音がでるようになっています。
以前このブログで紹介したマリエットMRもローラータイプのワンウェイ・クラッチを使ったディスクドラグを装備していますが、ウルトラライト・ディスクで使用されているワンウェイ・クラッチはベアリングメーカーの既製品だと思います。
このタイプのディスク・ドラグ機構は、大きなトルクには容量が足りないのでソルト・ウォーターで大物を狙うようなリールには不向きですが、部品点数が少なく軽量にできること、巻き手の方向が簡単にできるといったメリットがあるため、トラウト用のディスク・ドラグに適した機構だと思います。
2020年6月20日土曜日
Hardy JLH(その3)Ultralite Disc
ハーディJLHの3回目は、ウルトラライト・ディスクを紹介します。
ウルトラライト・ディスクは、JLHバーストックのディスク・ドラグ版で、後から追加されたモデルです。ドラグ機構以外はJLHバーストック、ゴールデンJLHウルトラライトと基本的に同じリールですが、なぜか名前からJLHが消えています。
上の写真の黒いリールがオリジナルのウルトラライト・ディスクで、ブラウンのリールがゴールデン・ウルトラライト・ディクスです。私のウルトラライト・ディスクはモデル後期のものなので、発売当時のモデルとはハンドルノブ、ディスクノブのディテールが異なります。
ブラウンのゴールデン・ウルトラライト・ディスクのサイズは#6、ブラックのウルトラライト・ディスクは#7です。私は#6にはWF-6Fを、#7にはWF-7Fを巻いて使用しています。
ウルトラライト・ディスクはリール本体背面中央のノブでドラグの強さを調整することができます。およそ3/8回転で最弱から最強まで調整できますので、瞬時にドラグを緩めたり、強めたりすることが可能です。強さの調整は9段階です。
最強でもフルロックにはなりませんが、このリールは基本的に淡水用のリールなので、十分な強度と言えます。
このリールに限らず、私の釣りではディスク・ドラグの恩恵を受けることはほとんどないので、クリックタイプのゴールデンJLHウルトラライトでも十分なのですが、極細ティペットを使ったミッジの釣りや、鯉釣りなど瞬時にドラグの強さを変えない釣りなのには、ディスク・ドラグは効果的です。また、バックラッシュが起きにくいのも、ディスク・ドラグの利点だと思います。
2020年6月13日土曜日
Hardy JLH(その2)Golden JLH Ultralite
ハーディJLHの2回目は、ゴールデンJLHウルトラライトを紹介します。
私はオリジナルのJLHバーストックを所有していないので、断定はできませんが、ゴールデンJLHウルトラライトとJLHバーストックは、カラー以外は全く同じリールだと思います。可変タイプのクリックを装備した、アウトスプールリールです。
クリックの強さは、リール本体背面中央にある大きなノブで調整することができます。クリック機構(ハーディではチェックと呼んでいます)は、おそらくサンビームと同じだと思います。
私が持っているのは、直径約70mmの#2/3/4と直径約76mmの#5です。私はラインに巻き癖が付きにくいように、ある程度バッキングラインを巻いて使用しますので、#2/3/4は3番ラインで、#5は4番ラインで使っています。
デザインは、サンビーム、プリンスなどの流れを汲んだいかにもハーディらしいものです。カラーは、ゴールデンブラウンとシャンパンゴールドの上品な組み合わせで、バンブーロッドにも良く似合うと思います。
本体のゴールデンブラウンは、全く同じ色を出すのが難しいようで、私のリールも微妙に色が異なります。
ライトウェイトシリーズや、マーキスシリーズなどに比べて、肉薄な設計になっており、その名の通り見た目はウルトラライトですが、同じサイズのライトウェイトシリーズと比べてそれほど重量は変わらないと思います。
このリールは、長い歴史のあるライトウェイトシリーズやマーキスに比べ、発売されていた年数が短かったため、ハーディのリールの中ではそれほどメジャーな存在ではないように思いますが、歴史あるハーディリールの流れを継承した最後のリールだと思いますし、デザイン的にも機能的にも大変優れたリールだと思います。
2020年6月6日土曜日
Hardy JLH(その1)
今回から数回に分けて、ハーディのJLHバーストックについて書きたいと思います。
JLHバーストックは、1990年代の前半、ハウス・オブ・ハーディ時代に新製品として発売されたリールです。JLHは、ハーディ一族でハーディ社の経営に関わった最後の人物、ジェームズ・L・ハーディの頭文字で、JLHバーストックは彼の引退記念モデルとして発売されました。
その名の通り、ハーディの量産カタログモデルとして、初めてバーストック材からの削り出しで製作されたリールと言われています。しかし、私の記憶では、JLHバーストックの数年前に発売されたソブリンが最初の削り出しリールだと思います。
オリジナルのJLHバーストックは、クリックの強さを調整可能なアウトスプールタイプのリールで、カラーはグレイでした。
私の所有しているリールは、JLHバーストックの派生モデルのゴールデンJLHウルトラライトと、ウルトラライト・ディスク、ゴールデン・ウルトラライト・ディスクです。ウルトラライト・ディスクでは名前からJLHが消えてしまっていますが、ディスク・ドラグとカラー以外は、JLHバーストックと同じリールなので、JLHシリーズということで、まとめて紹介させていただきます。
JLHシリーズはハーディ一族が関与した最後のリールで、このリール以降に発売されたカタログモデルは、デザインがそれまでのものとは随分異なったものになりました。JLHは、セント・ジョージに始まり、ライトウェイトシリーズ、マーキス、サンビーム、プリンス、ソブリンと続いてきたハーディの歴史の中で、ハーディらしい最後のリールだと思います。
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