2022年11月26日土曜日

McFarland Spruce Creek 6'8" #3(その2)

 

 McFarland Spruce Creek、6フィート8インチ、3番、3ピースが完成しました。

 グリップはラス・ピークタイプのリール・シート一体型のシガー。ご依頼者のリクエストで全長はコルク17個分の215mm、最大径は細めの22mmです。


 リール・シート金具はREC社製、ニッケルシルバーのポケット&リングです。REC社から取り寄せていますが、円安でかなり高くなってしまったので、来年は国内でオリジナルを製作予定です。


 グリップ上部はスレッド巻き上げ。今回はGUDEBRODの209 golden rodを使用し、blackのピン・ラインを入れています。ロッドエンドから30.3cm(=1尺)の位置にメジャリング・ラップ入りです。


 ショートロッドは硬くなりがちなので、全体に曲がりやすいようにスローテーパーでデザインされたものが多いのですが、この竿はファスト・テーパーの強目の竿になっており、ラインを通すスペースが狭い小渓流で、超ショートストロークのサイド・キャストでタイト・ループが作りやすい竿になっています。3番ロッドながらバットも強めなので、障害物の多い藪沢で大きな岩魚を岩に潜り込まれないように、フッキングしたら一気に引きずり出す、そんなイメージの竿です。


 Mcfarlandのグラスロッド・ブランクを使ったカスタム・メイドロッド製作をご希望の方は、yoshiharu.rod@gmail.comまでお問い合わせ下さい。お好みの使用にてカスタム・メイド致します。

2022年11月19日土曜日

McFarland Spruce Creek 6'8" #3(その1)

 

 McFarlandのSpruce Creek、6フィート8インチ、3番、3ピースを製作しています。

 この竿はMcFarlandのSpruce Creek Parabolic 7フィート2インチ、4番の作製を依頼いただいた方のリピートオーダーで、グリップ、リールシートはラス・ピークタイプ、長さはコルク17個分の215mm、最大径22mmと前回と同じご指定です。


 今回はスレッドの色を変更し、GUDEBRODのナイロンAスレッドの209、golden rodにしています。グリップ先端は巻き上げで、blackのピン・ラインの飾り巻き、ロッド・エンドから30.3cm(1尺)の位置にメジャリング・ラップ入りです。


 スレッドを巻いた状態では上の写真のような色ですが、エポキシをかけるとブランクが透けて、ブランクとほぼ同色になります。下の写真は1回目のエポキシ・コートが終わった状態です。


2022年11月12日土曜日

KAKUHIRO ROD B69(その2)

 

 前回のブログではこの竿の入手の経緯と特徴について紹介しましたので、今回は竿のディテールを紹介します。


 グリップは先端に向けてテーパーのついたシガータイプで、小振りで径が大変細いのが特徴です。先端はスレッド巻き上げになっています。スレッドは緑がかったゴールドのようななんとも言えない渋い色調です。


 リールシート金具は、擬宝珠(ギボシ)をモチーフにしたオリジナルデザインのキャップ&リングです。シート・フィラーはメイプルが人気とのことでしたが、私は栃にしました。ストリッピング・ガイドはオリジナルはスネーク・ガイドですが、ホールを多用するのでカーボロイをつけてもらいました。


 フェルールは白銅のパイプを使ったオリジナルで、大変軽量です。フェルールには通常ロウソクの蝋などのワックスを塗ることが多いですが、角宏さんのお勧めは金管楽器用のグリスで、私は角宏さんが使っているものと同じヤマハのスライドグリスを使用しています。
 最近のKAKUHIRO RODは一部のモデルを除いて4ピースが標準で、Two Tipです。フェルールが軽量なため、4ピースでも持ち重りはありません。角宏さん曰く4ピースがアクションに悪影響を与えることはなく、むしろフェルールの数が多いことがメリットになっているとのことです。

 ちなみにKAKUHIRO RODはブランク、竿袋、ロッド・ケースのどこにも竿のモデルやスペックが書かれていません。唯一ブランクにシリアルNoが記入されているのみです。そのため、竿のモデルとスペックは、オーナーと製作者のみが知っている秘密ということになります。

2022年11月5日土曜日

KAKUHIRO ROD B69(その1)

 

 久しぶりのお気に入りの竿の紹介は、野中角宏さんのB69、6フィート9インチ、4番、4ピースです。B69は3番が標準ですが、これは特別に4番で作っていただいた竿です。

 角宏さんとは関西のフライ関係の展示会でご一緒することが多く、竿を振ってしまうと欲しくなるのは分かっていたので、振ってみたいのを我慢していつも横目で見ていました。しかし昨年12月の展示会で同じテントを二人で共有することになり、ついに我慢できず振らせていただくことになりました。
 角宏さんは展示会にいつも沢山の竿を持参されており、その中から私がよく行く渓で使いやすい7フィート前後の竿を何本か選んで振らせていただき、KAKUHIRO RODの特徴であるしなやかで軽快な独特のキャスティングフィールに大変感銘を受け、やはり欲しくなってしまいました。後日改めて角宏さんの自宅を訪問し、いろいろなモデルを振らせていただいた結果、一番気に入ったB69を4番ライン用に特注で作製いただいたのがこの竿です。


 B69は角宏さんがセンターホールディングアクションと呼ぶ竿の中心部の一点が曲がる独自のテーパーデザインで、竿が自動的に大変力強いループを作ってくれるのが特徴です。竿の一点が曲がると言っても、ベンティング・カーブは竿の先端から徐々に深く曲がっているプログレッシブ・アクションで、ある程度以上のラインが出ている時のキャスティングでは、バットはほとんど曲がらず竿の中央のフェルールの少し下を中心に竿が曲がるイメージです。ループの力強さ、キャスティング・フィールは独特ですが、大変スムーズなアクションで竿自体に癖はありません。
 ショートリーダーで空気抵抗の大きなフライをスコーンとタック・キャスト気味にオーバーターンさせ、スラックを作ってピンポイントに落とすということが大変気持ち良くできるので、ショートリーダーでキャッツキル・パターンを多用する私の釣りのスタイルにぴったりの竿です。

 淡竹を使った中空ロッドなので、大変軽くしなやかです。バラしやすいヤマメ、アマゴの引きに対してもしやなかに追従してくれるので、極めてバラシが少ないです。

 今シーズンも何かと忙しく、残念ながら春先にこの竿が届いてからあまり使用することができなかったのですが、ホーム・リバーでの釣りには全てこの竿を使用し、すっかりお気に入りの竿です。

 次回はこの竿のディテールについて書きたいと思います。