2019年8月31日土曜日

Hardy The Featherweight(その1)


 フライリール紹介の第1回目は、ハーディーのフェザーウェイトです。

 このリールは、私が紹介するまでもなく、オービスのCFO、ハーディーのマーキスと並ぶ定番中の定番で、持っている、持っていたという方は非常に多いと思います。
 ハーディーのライトウェイトシリーズの中で2番目に小さいリールで、1960年発売のようですのでその歴史は古く、限定モデルも含めていくつかのバリエーションがあり、現在も販売されています。

 フェザーウェイトは、ラインキャパシティが渓流で使用する3番、4番ラインにぴったりなので、私は気が付くと年代やモデル違いで5個も所有していました。
 フローティングラインは、ダブルテーパーであれば4番まで、ウェイトフォワードであれば5番まで巻けますが、私はラインの巻き癖をなるべくつけないために、バッキングラインを巻いて、ダブルテーパーの3番、ウェイトフォワードの4番に使用しています。

 フェザーウェイトはバンブーロッドからグラファイトロッドまで、どんな竿でも似合うシンプルで優れたデザインだと思います。標準モデルで約100gと軽量であることも利点の1つです。

 発売当初のモデル以外は、簡単に巻き手を左右変更できるのも利点です。
 ちなみに私は右利きで、フライリールの巻き手はすべて左巻きです。フライフィッシングでは、余分なラインを巻き取る作業が多いため、右利きの人であればリールは左巻きだとリトリーブの度に竿を持ち変えなくてすみます。大物を掛けてリールでやりとりをする際も、竿を持ち変えずに余ったラインを巻き取れますので、いざという時に役に立ちます。
 ずっと右巻きなので、左巻きは違和感があるとおっしゃる方も多いですが、家でテレビでも見ながら30分も左手でカリカリやっていれば、すぐに慣れます。私も最初は右巻きでしたが、すぐに慣れました。慣れてしまえば釣り場で圧倒的に便利なので、騙されたと思って一度試されることをお勧めします。

 次回からは、私が所有しているそれぞれのフェザーウェイトについて、詳しく紹介したいと思います。

2019年8月24日土曜日

Fly reels


 今回から、私がこれまでに購入してきて現在も所有しているリールについて紹介したいと思います。今回はその第1回目ということで、私のフライリールに対するいる考え方をイントロダクションとして書きたいと思います。

 フライロッドは、キャスティング、フライのドリフト、フッキング、魚を掛けた後のやりとりといった、フライフィッシングの一連の動作のすべてにおいて、様々な機能を要求されます。キャスティング1つをとっても、フライを狙った場所に正確に届けるだけでなく、ループ幅のコントロールや、ラインスピードのコントロール、様々なトリックキャストなど、多くのことを要求されます。
 一方、フライリールはスピニングリールやベイトキャスティングリールとは異なり、その機能はキャスティングに全く寄与しませんし、魚とのやり取りにおいても、特に渓流でヤマメやイワナを釣る場合は、それほど重要な役割を果たしません。
 渓流用のフライリールは、極端な言い方をすれば、機能的には使用するラインを収納できるキャパシティと、使用する竿とバランスの取れた適切な重量を持ち、釣り場で故障しない信頼性と少々ぶつけても壊れない耐久性があれば良いとも言えます。

 以上のことから、私はフライリールに対しては、フライロッドほどの拘りはありませんし、拘る必要もないと感じています。

 しかし、振り返ってみると、私は手放したものも含め、随分多くのフライリールを所有してきました。
 その理由の1つは竿との重量バランスであり、竿に装着した時の見た目のバランスです。また、私は機械が専門ではありませんが、技術者として、機能的にはあまり重要でないクリックやドラグの機構といったメカニカルな部分に興味を惹かれるのも理由の1つだと思います。
 さらに、フライリールは機能的に単純であるにも関わらず、また逆にそれ故に様々なデザインのものが世の中に存在し、メーカーの大量生産品、個人製作者の製作品にかかわらず、それぞれに個性的で魅力があることも、理由の1つかもしれません。

 世の中には多くのフライリールマニアや収集家の方がおられ、特にハーディの製品やオービスのCFOなどは、その歴史や製造年によるディテールの違いなど、インターネット上で詳しく紹介されています。
 私は、そういったことにはあまり詳しくなく、それほど興味もありませんので、機能的な面や実際に使ってきた感想などを中心に、書いてゆきたいと思います。

2019年8月17日土曜日

Orvis(その6)SEVEN/THREE


 オービスの6回目は、グラファイト、セブン/スリーを紹介します。
 オービスのセブン/スリーと言うと、バンブーでも同じ名前の竿があり、こちらも名竿として有名です。バンブーのセブン/スリーが、7フィート、3番であるのに対し、グラファイトは7フィート3インチ、3番です。


 この竿は1985年製造ですが、この年は確かブランクのオービスのロゴが紙巻からプリントに変更になった年で、この年だけ「Graphite」の文字が大きくなっています。また、この頃のラッピングはバーニッシュの種類が変更になったせいか退色しやすく、もともとブラウンだったスレッドがオレンジ色に近い色に変色しています。


 この年のリールシートは、まだアルミのリング&リングで、アルミのロッドケースもシルバーに赤いラベルのものです。オービス・グラファイト・シリーズは1988年に仕様が大きく変わり、低番手の竿ではグリップが先端巻き上げのフィッシュテール(リバースド・ハーフウェル)、リールシートが金具がブラックでウッドがココボロのアップロックに変わり、ロッドケースもブラスヘッドの黒色のものに変わります。

 肝心のアクションですが、オービス・グラファイト・シリーズの中では比較的ティップ側から曲がり始める竿で、3番ロッドとしては少し固めであることと合わせて、非常にキャスティングしやすい竿になっています。キャスティング時に竿全体がうまく仕事をしており、力強いラインが伸びてゆきます。至近距離でも小さなストロークでピンポイントを狙いやすい竿です。
 3番ロッドは#12以上のウルフ・パターンなど、空気抵抗の大きなフライを使いたい時や、風が吹いている時、遠投が必要な時に、どうしてもラインが軽すぎるので、私は4番ロッドの方が好きなのですが、このセブン/スリーは3番ロッドながら、そんなに遠投を必要としない釣り場であれば使いやすい竿だと思います。逆に3番ロッドにしなやかさを期待する人にとっては、硬く感じるかもしれません。

 セブン/スリーは、オービス・グラファイト・シリーズの中では、セブン/イレブン、ファー&ファインと並んで、名竿の1つだと思います。


2019年8月10日土曜日

Orvis(その5)HLS One Ounce 7ft #4


 オービスの5回目は、HLSグラファイト・シリーズのワン・オンス、7フィート、4番を紹介します。

 HLSグラファイト・シリーズは、ブランクにオービス初のハイモデュラス・グラファイトを使用したファスト・アクションの竿です。ハイモデュラスといっても、IM6程度の弾性率なので、最新のグラファイト素材の竿ほどビンビンの竿ではありません。


 ワン・オンスという竿は、オービス・グラファイト・シリーズ(当時はすでにスーパーファイン・シリーズ?)にもありましたが、こちらは6フィート6インチの2番と異なるスペックでした。HLSのワン・オンスは、7フィート、4番と、私が良く釣りをする小渓流に最適なスペックです。


 この竿は、名前がワン・オンスですので、とにかく徹底的な軽量化が図られています。
 リールシート金具は、専用の極細のアルミ製リング&リングです。バットエンドプレートもついていません。トップガイドのスレッドもごく短い幅で巻かれています。


 ストリッピング・ガイドには、SiCリングのワンフットのものが使用されています。オーバー・フェルールも長さが短く、スレッドも短い幅で巻かれています。


 当時のオービス・グラファイト・シリーズやHLSシリーズのスネーク・ガイドのスレッドは、どうしてこんなに広いのかと思うほど広い巻幅で巻かれていましたが、このワン・オンスでは最小限の巻幅で巻かれています。


 コルク・グリップ上部の巻き上げも狭くなっています。他のモデルでは装着されているフック・キーパーもついていません。


 グリップは、リールシートも合わせた全長が約20cmで、インデックス・フィンガーで握るとリールシートまで手で隠れてしまうほど小さくて細いものが装着されています。

 これらの徹底した軽量化へのこだわりは、初代ヤングの竿にも通じるものがあります。


 さて、問題はこの竿の重量が名前の通り1オンス(=28.3g)かということですが、測定の結果は29.7gと、わずかに重量オーバーですが、ほぼ1オンスでした。

 この竿は、それまでのオービスの竿からは想像できないほどティップ径が細く、バットがやや太目のファストテーパーにデザインされており、それまでのオービスの竿の中ではかなりティップから曲がり始めるプログレッシブ・アクションになっています。また、従来のオービスのグラファイトロッドよりもハイモデュラスの素材が使用されていますので、よりロッドスピードが速い竿になっています。
 そのため、至近距離から遠距離まで、意識せずに振ってもきれいなタイトループができます。7フィートの短い竿ですが、遠投力も優れています。

 キャッツキル・パターンやウルフ・パターンなどを使うには、ややロッドスピードが速いですが、エルクヘア・カディスやパラシュート・パターンなどを使用して、軽快に釣り上がっていくのに適したアクションです。

 素振りしたり、キャスティングした印象は強い(硬い)竿なのですが、ティップが繊細なので、意外と20cmくらいのヤマメやイワナでも楽しめます。ただ、竹竿やグラス、オービス・グラファイト・シリーズに比べると、ややバラシが多いように感じます。そういう意味では、やはりニジマスやブラウンのための竿なのかもしれません。

 私の好みのアクションとは少し異なるのですが、その徹底した軽量化へのこだわりが魅力的な個性的な竿です。HLSのワン・オンスは、スーパーファインのワン・オンスに比べると短い期間しか製造されなかったので、少し珍しい竿とも言えます。


2019年8月3日土曜日

Orvis(その4)Western Midge 8ft #4



 今回は、オービスのウェスタン・シリーズ、ウェスタン・ミッジ、8フィート、4番を紹介します。

 ウェスタン・シリーズは、以前紹介したイエローストーン・シリーズが僅か1年で名称変更されたもので、従来のオービス・グラファイト・シリーズ(のちのスーパーファイン・シリーズ)と同じローモデュラス・グラファイトを用いながら、より繊細なティップと強靭なバットを持たせたファスト・アクションの竿です。
 このウェスタン・ミッジは、ウェスタン・シリーズに改名されてから追加されたモデルで、スペックは日本の渓流で使いやすい8フィート、4番です。実際に日本でもこのモデルは良く売れたようでで、今でも時々オークションに出品されているのを目にします。


 私の竿は87年の製造なので、オービスのロゴが紙巻ではなく、プリントになっています。イエローストーン・シリーズの竿は、コルクグリップ上部の巻き上げ部のスレッドの色が透けて、鮮やかなスカーレットになっていますが、ウェスタンになってからは、同じ色のスレッドですが、ブランク部と同じ暗い色調になっています。


 リールシート金具は、オービス・グラファイト・シリーズの4ピースのタイトループで使用されていたものと同じですが、ウェスタン・シリーズはつや消しのアルマイト処理されたものが使用されています。


 ウェスタン・シリーズも、6番くらいになるとかなり硬い竿になるのですが、このミッジは、同じスペックのセブン・イレブンに比べると硬いですが、20cmくらいのヤマメやイワナでも充分楽しめるしなやかさを持っています。
 セブン・イレブンよりも更にティップから曲がり始めるので、タイト・ループのコントロールは容易です。ローモデュラス・グラファイトを使った肉厚のブランクなので、ロッドスピードはそれほど速くありません。初心者の人にも使いやすいアクションだと思います。

 ビンビンの速い竿は苦手だが、セブン・イレブンやタイトループよりももう少しティップアクションで、ロッドスピードが速い竿を探しているという方にも最適な竿だと思います。