2019年3月30日土曜日

ARTIST AFC-50L


 京都のロッドビルダーの北岡さんの影響もあり、不意に約30年ぶりにトップウォーターでバスを釣りたくなり、トップ用のベイトロッドを作製しました。

 ブランクはアーティストのグラスです。フローターでの使用を考慮して長さは5フィート、5/8ozクラスのプラグで釣りたかったのでライトアクションを選定しました。


 素振りした感触やベンディングカーブは、トップウォーターに適した典型的なスローテーパーのパラボリックアクションです。Sグラスと思われる肉厚のブランクは、私が知っているスピードスティック1-16HOBBや、スーパーストライクFO-60など、昔のグラスロッドに比べると張りがあります。


販売元のうらしま堂さんの標準ガイドは、FujiのMNガイドでしたが、少しでも軽く仕上げたかったので、ライトタイプのLNガイドにしました。


 トップガイドは、ラインが絡みにくい北岡さんお勧めのスーパーオーシャントップ(PMNST)にしました。

 ワン・ピースのベイトロッドは、グリップを削り出す必要がないですし、コーティングの手間も2ピースの半分、3ピースの1/3で済みますので、あっという間に完成しました。

2019年3月22日金曜日

Delaware Adams


 今回は、前回のヘンリービル・スペシャルの発展形ともいえるデラウェア・アダムスを紹介します。マーチ・ブラウン、ライト・ケイヒル、グレイ・フォックスなどのキャッツキル・パターンは、誰もがご存知だと思いますが、このフライを知っている方は、かなりのキャッツキル・パターン・フリークの方ではないでしょうか。

 デラウェア・アダムスは、キャッツキル地方の有名なフライ・タイヤ―であるウォルト・デット(Walt Dette)によって、ヘンリービル・スペシャルの改良版として、1970年代に開発されたそうです。ちなみにウォルト・デットの奥様のウィニー・デット(Winnie Dette)も有名なフライ・タイヤ―として知られています。


 このフライは、ヘンリービル・スペシャルのマラードクイルとウッド・ダックからなるダウン・ウィングが、アダムスと同じグリズリーのヘン・ハックル・ティップのアップライト・ウィングに変更されており、ヘンリービル・スペシャルの弱点であるウィングの耐久性が改善されています。また、水面に高く浮くため、視認性が良く、浮力も向上しています。
 実際のカディスには、このフライのようなテールはありませんが、これはフライの水面上での姿勢を安定させるためのと考えられます。

 人間の目には、ダウン・ウィングのヘンリービル・スペシャルの方がカディスっぽく見えますが、デラウェア・アダムスは、アップライトに取り付けられたウィングと、ボディ・ハックルとテールによって水面上に高く浮いている状態が、カディスがフラッタリングしている状態を良くイミテーションしていると思います。

 カディスのイミテーションとして優れたフライですが、浮力、視認性、耐久性が良いので、サーチング・フライとしても優れたフライだと思います。私はフックサイズ#14と#12を使用していますが、更に大きなサイズや小さなサイズがタイイングしやすいのも、このフライの優れた特徴の1つです。


2019年3月16日土曜日

Henryville Special


 今回は有名なトラディショナル・カディス・パターンのヘンリービル・スペシャルを紹介します。

 このフライは、これまで紹介してきたキャッツキル発祥のフライではなく、ペンシルバニアのハイラム・ボロブスト(Hiram Brobst)によって、1930年代に考案されたフライだそうです。
 マイク・ローソン(Mike Lawson)のヘミングウェイ・カディスや、もっと新しところでは、レネ・ハロップ(Rene Harrop)のヘンリーズフォーク・カディスも、このフライの発展形と言えると思います。

 ボディにパーマハックルを巻いて、ダウンウィングを取り付けるというのデザインは、現在最もポピュラーなカディス・パターンであるエルクヘア・カディスの原型とも言えるかもしれません。

 ヘンリービル・スペシャルは、ボディとフロントに巻かれたハックルにより、水面上に高く浮くので、意外と視認性が良いのも特徴の1つです。
 マラード・クイルのウィングは、鱒を1匹釣っただけでバラバラになってしまいますが、ウィングがバラけてしまっても釣果には影響はないようです。

 オリジナルのヘンリービル・スペシャルのボディは、シルク・フロスですが、私はダビング材を使用しています。

 私はカディス・パターンとしては、このフライよりも機能性に優れたエルクヘア・カディスや次回紹介予定のデラウェア・アダムスを頻繁に使用しますが、このフライのいかにもカディスっぽい外観やトラディショナルな美しいスタイルが好きで、ときどき気分を変えるために使用します。
 また、フライを巻いていても楽しいフライです。



2019年3月9日土曜日

CASKET Hyper Breake HBB60MS


 カスケットの本流トラウト用ルアーロッド、ハイパー・ブレイク、6フィート、2ピースをベイト仕様で組みました。

 ハイパー・ブレイクの6フィートは、鳥取のとある河川の本流で40cmアップのヤマメをキャッチするために開発された竿で、本来はスピニングロッドです。
 今回の依頼者のオーダーは、まさしく同河川で40cmアップのヤマメを確実にキャッチするためのベイトロッドでした。そこで、私が弟に作ったサツキマス用のスピニングロッドなどを振ってもらったのですが、もっと強い竿が欲しいとのことで、選んだのがこの竿です。

 私は、カスケットのウェブ・サイトや以前のカタログを読んで、40cmのヤマメがかかっても大丈夫な竿を想像していたのですが、届いたブランクは40cmオーバーのヤマメしかターゲットにしていない、予想を遥かに超える剛竿でした。

 依頼者はこれまで何度も40cmオーバーのヤマメに竿をのされたことがあるそうで、このくらいの竿が理想と手渡されたのは、なんとソリッドティップのバスロッドでした。ハイパー・ブレイクはチューブラーの竿ですが、ティップ先端径が1.1mmと繊細で、バットは60cmオーバーのブラウンがかかってもびくともしないだろうと思うくらいしっかりしていますので、正に依頼者の要望にぴったりの竿でした。


 この竿の名前の綴りですが、私はすっかり「Hyper Break」だと信じて疑わず、竿にもそのように書いてしまったのですが、ブログを書くにあたって改めて調べてみると、「Hyper Breake」でした。


 グリップはオーダーに従って太目に、バットエンドは金属にして欲しいとのことでしたので、金属プレートを装着しました。


 リールシート・フィラーのウッドの種類も依頼者に選んでもらいました。


 ラッピング・スレッドは依頼者がオレンジ色が好きとのことでしたので、オレンジ(Sunburst)にゴールドの飾り巻きです。

 使ってもらえるのは、雪代が収まる4月下旬くらいからだと思いますが、40cmオーバーのヤマメを見事キャッチしてもらえるものと期待しています。


2019年3月2日土曜日

Ausable Wulff


 前回のホワイト・ウルフに引き続き、今回もウルフ・パターンの中からオーサブル・ウルフを紹介します。
 といっても、このフライ・パターンは、リー・ウルフ(Lee Wulff)ではなく、フラン・ベッターズ(Fran Betters)のオリジナルだそうです。

 このフライのネーミングの元になっているオーサブル川は、ニューヨーク州キャッツキル山地を流れる川で、日本の渓流によく似た渓相をしています。フラン・ベッターズは、急流のオーサブル川を釣るために、良く浮いて視認性の良いこのフライを開発したそうです。

 オリジナルのオーサブル・ウルフは、ソラックスと頭部が薄くオレンジがかった色調のカゲロウやカワゲラを模したフライで、そのためスレッドはオレンジ、ボディはラスティ・オレンジのファーで巻かれています。ランドール・カーフマン(Randall Calfman)のスティミュレーターでも同じ配色が使われています。

 日本では、このような色調のカゲロウやカワゲラはいないので、私はマーチ・ブラウンと同じ色調でこのフライを巻いています。良く浮いて良く見えて丈夫なので、北海道でフライをあまり交換せずに釣りを続けたいときなどに、12番サイズのこのフライを良く使用します。
 このフライをハッチ・マッチャーとして使用するのであれば、私はまとまったハッチに遭遇したことがないのですが、オオマダラカゲロウに良いのではないかと思います。

 こんなボリュームのあるフライで日本の繊細なヤマメが釣れるのかと思う方もおられるでしょうが、ご心配なく。ヤマメは大きな餌を食べる時は、思っている以上に大きく口を開けるようで、流石にフッキング率は悪くなりますが、12番のウルフ・フライで新子ヤマメでも釣れてしまいます。