2022年4月29日金曜日

Jack Dennis 'Western Trout Fly Tying Manual'

 

 今回はジャック・デニスの「ウェスタン・トラウト・フライ・タイイング・マニュアル」を紹介します。

 この本は、フライ・パターン、フライ・タイイングの書籍として誰もが認める歴史的な名著です。発刊されたのは日本のフライフィッシングの聡明期である1974年で、当時私は未だ小学校に上がったばかりでしたので、この本の存在はおろかフライフィッシング自体知りませんでしたが、当時の日本のフライ・フィッシャーマンに大きな衝撃と影響を与えたようです。

 この本で紹介されているフライ・パターンは64本で、うち32本がドライ・フライです。クイル・ウィングやバンチ・ウイングのオーソドックスなキャッツキル・スタイルのドライ・フライも掲載されていますが、当時の日本フライ・フィッシャーマンに大きな影響を与えたのは、「Special Hair Fly Section」と題した5章で紹介されている所謂ウェスタン・ドライフライ・パターンの数々です。
 タイトルの通り、動物のヘアをウィングやボディ、テールに使った、ハンピー、ウルフ・パターン、イレジスティブル、ドライ・マドラーといった、今では誰もが知っている有名なフライですが、当時の日本では未だこれらのフライはほとんど知られていなかったようで、この本を通じてこれらのウェスタン・パターンが日本でポピュラーになったようです。
 浮力の高いヘアをマテリアルに使用し、ハックルをびっしり巻いた浮力の高いウェスタン・フライは、日本の渓流にぴったりなので、ウェスタン・パターンは当時の日本で瞬く間に広まったようです。

 私が持っている本は、1991年に発行されたセカンド・エディションです。私がフライ・フィッシングを始めたのは1980年代でしたので、既にウェスタン・パターンはポピュラーでしたが、この本を参考にハンピーやウルフ・パターンをよく巻きました。これらのフライは、今でも大好きなフライで、特にホワイト・ウルフを始めとするウルフ・パターンは、北海道の河川で釣りをするときに良く使っていました。

 現在、日本の渓流でキャッツキル・パターンやウェスタン・パターンを使用している人は稀だと思いますが、キャッツキル・パターンがそうであるように、ウェスタン・パターンは今でも大変使いやすく有効なフライです。ただし、ロング・リーダー・ティペットには当然不向きですが・・・

2022年4月23日土曜日

Woodstick 2022 04/30〜05/01


 次の土日、4月30日と5月1日に京都の広河原トラウトタウンで開催されるWoodstickにYoshiharu Rosのカスタムメイド・フライロッドを展示します。

 今回は以下のロッドを展示します。



(2)Graywolf Trout Smith 8' #4 4pc


(3)Steffen Brothers 7'3" #3/4 3pc


(4)McFarland Spruce Creek Parabolic 7'2" #4 4pc


 気になる竿があれば試し振りも可能です。

 上桂川での釣りのついでに寄り道していただくのも良いかと思います。新緑も眩しい気持ちの良い季節です。釣り以外にも女性の方やお子さんも楽しめるイベントですので、ご家族で参加されても楽しいと思います。




2022年4月16日土曜日

Ijuin-Rod Yomogi 7' #3(その3)


 Ijuin-Rod、Yomogi、7フィート、3番、3ピースが完成しました。


 リールシートはベリンジャーの旧タイプのニッケル・シルバー、キャップ&リングです。


 ラッピング・スレッドにはグデブロッドのSpring Greenを使用し、グリップ前のラッピングはグリップ先端を巻き上げ、blackのピン・ラインを1本入れています。ロッド・エンドから30.3cm(一尺)の位置にメジャリング・ラップ入りです。


 YomogiはIjuin-Rodを代表するモデルで、伊集院さん曰く「必要最小限のパワーを秘めたロッド」とのことですが、特にこの7フィート、3番は最もそのコンセプトが表れている竿です。
 比較的肉厚なブランクで素振りすると全体に深く曲がるかなり柔らかい竿なのですが、ラインを通して振ってみると決してベネベナの竿ではなく、適度なしなやかさを持った非常に素直なアクションのキャスティングしやすい竿です。ライトラインのショートロッドだからと言って、至近距離をちょこちょこと釣るための竿ではなく、中距離からロングキャストも充分こなします。近距離は勿論ですが、10mくらいラインを出して少し離れたところから釣るのが楽しいと思います。
 まだこの竿で釣りをしていませんが、ショート・リーダーで空気抵抗の大きなフライをキャストするよりも、どちらかというと空気抵抗の小さなフライをロング・リーダーでキャストする釣りの方が向いているように感じます。

 Ijuin-Rodのカスタム・ロッドにご興味のある方は、yoshiharu.rod@gmail.comまでお気軽にお問い合わせください。お好みの仕様にてカスタム・ロッドを作製させていただきます。


2022年4月9日土曜日

Ijuin-Rod Yomogi 7' #3(その2)

 

 Ijuin-Rod Yomogi、7フィート、3番、3ピースのロッド・ビルディングの2回目はエポキシ・コートです。


 1回目のエポキシ・コートをかけると上の写真のような状態になります。透過するナイロンスレッドでラッピングしていますので、エポキシをコートするとスレッドが透け、ブランクの色の影響を受けて濃い色になります。今回はスレッドが薄いグリーンでブランクが半透明のグリーンなので、ブランクとほぼ同色になっています。グリップ上部の巻き上げ部では、下地のコルクが透けて薄いグリーンになっています。

 エポキシ・コートは大手メーカーのプロダクション・ロッドのようなボテッとした仕上げでなく出来るだけ薄く仕上げたいので、1回目のコートでは、エポキシを塗った後に筆を使って拭き取っています。そのため、1回目のコート後は糸目が出た状態になります。


 インスクリプションは1回目のコート後に入れています。


 2回目のコート後が上の写真です。2回目のコートも薄くかけます。インスクリプションの上にも極薄くエポキシをかけます。
 スレッドの上にもう1回エポキシを塗って、リールシートを取り付ければ完成です。

 Ijuin-Rodのカスタム・ロッドにご興味のある方は、yoshiharu.rod@gmail.comまでお問い合わせください。お好みの仕様してカスタム・メイドいたします。

2022年4月2日土曜日

Ijuin-Rod Yomogi 7' #3(その1)

 

 鹿児島からIjuin-Rodのブランクが届いたので、デモロッドとして組み立てています。モデルはYomogi 7フィート、3番、3ピースです。


 コルクリングをブランクに1個ずつ接着し、削り出してゆきます。


 グリップ形状は先端近くにふくらみを持たせたシガータイプ。7フィート、3番のスペックに合わせて長さはコルク10個の128mm、最大径も22.4mmとやや小振りにしました。リールシートはベリンジャーの旧タイプのニッケルシルバー、キャップ&リングです。


 ラッピング・スレッドは、グデブロッドの105、Spring green。グリップ先端巻き上げで飾り巻きとしてblackのピンラインを入れました。ロッドエンドから30.3cm(1尺)の位置にメジャリング・ラップを入れています。

 次回はスレッドのコーティングです。