2020年10月31日土曜日

Steffen Brothers(その8)


 前回に引き続き、ステファン・ブラザーズ、8フィート、5、6番、3ピースのロッドビルディングです。グリップの成型の次はラッピングです。
 


 ラッピングスレッドの色は、私の竿と同じダークブラウンで後はお任せとのことでしたので、メインをグデブロッドのNo.396 ダークブラウン、飾り巻きをプロラップのNo.9120 ゴールデン・ロッドで巻きます。バットの飾り巻きは、Yoshiharu Rodsでは定番のラス・ピークを参考にした3本のピンライン、グリップ先端はワインディング・チェックを使用せず、スレッドを巻き上げます。ブラウンのブランクに、ダークブラウンのスレッド、ゴールドのピンラインは、ラス・ピークのゼニス、グラスロッドのカラーです。



 ラッピングの完成です。コーティング前の段階ではスレッドの色がそのまま出ていますが、カラープリザーバーを使用しませんので、コーティング後はダークブラウンのスレッドが透けて、ブランクの色よりも濃い色になります。


2020年10月24日土曜日

Steffen Brothers(その7)

 


 ステファン・ブラザーズ8フィート、5、6番、3ピースを組み立てています。

 まずはいつものようにグリップのコルクリングの接着です。リングを1個ずつ接着し、クランプで圧着します。



 接着剤が充分に硬化したら、グリップの削り出しです。木工ヤスリを使ってセンターを出し、サンダーとサンドペーパーを使ってグリップを成型してゆきます。依頼者からのリクエストは、オールド・トーマス&トーマスのような形状で、グリップエンドの径はリールシートの径に合わせ、長さは145mm前後とのリクエストでしたので、写真を参考にしながら仕上げてゆきます。



 リールシートは依頼者からの持ち込みのベリンジャーのオール・ニッケルシルバーのダウン・ロックタイプです。クラシックな雰囲気に仕上がりました。グリップ長は6番ロッドということで、少し長めのコルク12個分、依頼よりも少し長めの151mmとしました。






2020年10月17日土曜日

Steffen Brothers(その6)



 マーク・ステファンから注文していたグラスロッドのブランクが届きました。今回依頼を受けて注文したのは、8フィート、#5、6と7フィート3インチ、#2、3の2本、どちらもスリーピースです。今回は注文時の回答納期4、5ヵ月に対して、ちょうど5ヵ月でブランク完成のメールが届きました。



 8フィート、#5、6は、グラファイトほどビンビンではないですが、非常に張りがあり、ステファンの低番手のショートロッドに比べて、よりバットがしっかりしたプログレッシブ・アクションになっています。グラスの8フィート、#5、6とは思えないくらい軽量です。

 7フィート3インチ、#2、3は、私が使っている同じ長さの#3、4に比べ、ティップが一回り細く、全体によりしなやかですが、張りがあり、日本の渓流でヤマメ、イワナを釣るのにぴったりの竿です。私は空気抵抗の大きな大き目のフライを使うので、#3、4がちょうど良いのですが、多くの方はより繊細なこちらの竿を好まれると思います。



 マーク・ステファンはそろそろ引退を考えているそうで、引退後は趣味で少量のブランクを作ると言っていましたので、今後ステファン・ブラザーズのロッドは益々入手困難になると思います。

 ステファン・ブラザーズ・ブランクのカスタム・ロッドにご興味のある方は、yoshiharu.rod@gmail.comまでお気軽にお問合せください。グリップ形状、リールシート、スレッドの色など、お好みに応じてカスタム・ビルディング致します。


2020年10月10日土曜日

Hardy reproduction reels(その1)

 


 前回紹介したセント・ジョージ3インチも、ハーディの往年の銘機の限定復刻版ですが、1998年にハーディ125周年を記念して発売されたブラスパーフェクトを皮切りに、2003年にかけて当時のハウス・オブ・ハーディ社から毎年のように限定復刻版が発売されました。

 当時私は独身であったこともあり、これらのリールの多くを購入しましたが、重量が重すぎる、あるいは右巻き専用であるといった原因で、一度も使用することがなく、セント・ジョージ1台を残して手放してしまいました。そのため、これから数回に渡って紹介するリールは、私のお気に入りに成り得なかったリールではありますが、これらのリールも150年近い歴史を誇るハーディの歴史の一部ですし、記録としてブログに残しておきたいと思います。

 以前ブログで紹介したシルバー・マーキスやマーキス・シルバーリム、DXフェザーウェイトも、上記の年代に限定発売された復刻版でしたが、マーキスやフェザーウェイトは当時現役で発売されていたリールでしたので、これから紹介するリールは、往年のモデルの復刻版に限らせていただきます。

 1998年から2003年にかけて日本で正規輸入された限定復刻版を古い順に記載すると以下のようになります。

<1998年>

 ・125周年記念 ブラスパーフェクト

 ・125周年記念 ボーグル

<1999年>

 ・セント・ジョージJr

<2001年>

 ・カスカペディア 4/0

 ・ブランズウィック・カスカペディア 1/0

<2002年>

 ・1912 ワイドスプール・パーフェクト スピットファイアー・サーモン

 ・1902 ワイドスプール・パーフェクト トラウト

<2003年>

 ・パーフェクト・スペシャルモデル スピットファイアー

 ・セント・ジョージJr.

 これらのリールが発売された1990年代の終わりから2000年代の初めにかけては、ちょうどハーディの転換期にあたり、ハーディがラージ・アーバーのモダンなニューモデルのリールを発売し始めた頃でした。それと並行して、往年の名機を現代に蘇らせることによって、歴史あるハーディのブランド力の強化を図ったものと想像されます。

 次回からは、上記のうち私がかつて所有してリールを発売年代の古い順に紹介していきたいと思います。


2020年10月3日土曜日

Hardy ST GEORGE Limited Edition 3"

 


 今回はハーディーのセント・ジョージ 3インチの復刻版を紹介します。

 このリールは2003年に2 9/16インチの所謂セント・ジョージJrサイズと同時に限定発売されたものです。Jrサイズは当時ハウス・オブ・ハーディ社の輸入代理店であったイナガキが販売していましたが、3インチはなぜか日本では正規販売されず、私のリールは群馬の某フライショップが独自に並行輸入したものです。同梱されていた取扱い説明書によると、2 9/16インチは右巻きのみ、3インチは右巻きと左巻きが製造されたようです。私のリールは左巻きです。

 1998年から2003年にかけて、ハウス・オブ・ハーディ社からは往年のモデルの復刻版が数多く復刻されました(これについては次回以降のブログで書きたいと思います)。このリールもその中の一つです。

 セント・ジョージ3インチ復刻版は、Jrサイズと合わせて数年前にもブラックとスピットファイア―の2つもモデルが販売されていましたが、2003年モデルとはディテールが異なります。



 2003年モデルはリールフットがブラスのリブ・フットですが、数年前に発売されたモデルはアルミのスムースフットになっていました。また、ハンドル・ノブの材質は2003年モデルがオリジナルと同じ黒の樹脂であるのに対し、アイボリー調の樹脂になっていました。ラッチカバーのディテールも異なります。



 ラインガードは天然の瑪瑙リングです。


 チェック(クリック)機構は、Duplicated MkⅡ Checkです。シリアルナンバーの刻印から、500台限定であったと思われます。

 私がこのリールを入手してから17年が経ちますが、実は未だ一度も使ったことがなく、ラインさえも巻いていません。セント・ジョージはパーフェクトほど重くありませんし、3インチサイズは4番あるいは5番ラインを巻いてバンブーロッドで使用するのにもってこいのサイズと重量です。フリースのKatana 735やAntigravity #5あたりに合わせて使おうと思って購入しましたが、使用機会のないまま月日が流れてしまいました。未使用ではありますが、手放すことができない、お気に入りのリールの1つです。