2019年7月27日土曜日

Campranella Super Light c4804SL


 今回はカムパネラのグラファイト・ロッド、スーパーライトシリーズのc4804SL、8フィート、4番、4ピースを紹介します。

 カムパネラは皆さんよくご存じの通り、岩手にあるフライロッド専業の小さなメーカーで、自社でブランクの製造から行っています。今年工房を移転されましたが、私も数年前に以前の工房にお邪魔して、竿を振らせていただいたり、いろんなお話を聞かせていただいたことがあります。

 スーパーライトシリーズは数年前にモデルチェンジしましたが、今回紹介する竿はモデルチェンジ前の旧モデルです。


 この竿はカスタム・メイドで作製してもらったので、グリップはリールシート一体型のパンプキン、リールシートはオリジナルのアルミのポケット&リング、ガイドはストリッピングがチタンフレームでトップとスネークがライトワイヤーの軽量仕様、スレッドはブルーにノンカラープリザーバーのホワイトのティッピングとなっています。


 この竿はハイモデュラス・グラファイトを用いた名前の通り非常に軽量で細身の竿です。繊細なティップを持つかなり極端なティップ・アクションの竿で、素振りだとティップだけが曲がる反発力の強い竿なのですが、ラインを通してキャスティングすると印象が一変します。

 近距離ではティップを使ったキャストができるのは、素振りした印象の通りですが、ラインを伸ばしてゆくと思ったほどロッド・スピード(キャスティングのテンポ)は速くなく、ラインの負荷をしっかり竿に感じることができ、遠投時にはバットを曲げこんでキャストすることも可能です。バットを使ったキャストにより、少ない力で楽に遠投することができます。
 これはおそらく、ハイモデュラス・グラファイトを使った薄肉のブランクを使い、かつミドルからバットにかけて径を細く設計しているためだと思います。

 ハイモデュラス・グラファイトを用いたティップ・アクションの竿は、普通はバットがかなり強く、ロッドスピードも速すぎるものが多く、私の好みではないのですが、この竿はティップ・アクションながら、キャスティングしていて非常に気持ちの良い竿です。


 旧スーパーライトシリーズは、すべて8フィートでしたが、現在は6フィート6インチ3番から8フィー8インチ4/5番まで、幅広いラインナップとなっており、釣り場や対象魚に応じて竿を選べるようになっています。
 現行のスーパーライトシリーズは振ったことがないのですが、旧モデルの良さはそのままに、より軽量でより優れた竿になっているものと思います。

 カムパネラの竿は、バンブーの宇田ロッド、7フィート2インチ、4番も以前所有していました。この竿は、ヤングのパーフェクショニストを中空にしたような、非常に良い竿でしたので、手放してしまったことが悔やまれます。
 カムパネラは最近バンブーロッドの販売を終了してしまい、非常に残念に思いますが、近々新たにグラスロッドを発売されるそうなので、楽しみです。


2019年7月20日土曜日

SRTEAM DESIGNS THE DEEPWADER VEST


 先月の岩手釣行の際、朝から雨で時間を潰すために立ち寄ったフライショップで、懐かしいストリームデザインズのベストを見つけました。店主曰く、昔仕入れたものの売れ残りとのこと。
 その時はあまり持ち合わせもなかったこともあり、購入しなかったのですが、自宅に戻ってからどうしても気になり、値段も手ごろだったので通販で購入してしまいました。


 ストリーム・デザインズのベストは、私が中学生の頃はティムコが販売していた記憶があるのですが、ネットで調べてみるとその後ウォルトンが販売していたようです。

 私が購入したものは、中国製の後年のモデルなので、アメリカ製の初期のもののようなコレクション的な価値はないのかもしれませんが、綿/ポリエステル混紡の生地とシンプルなデザインはなかなか味があります。


 ストリーム・デザインズのベストは、年代によって多くのモデルが存在したようですが、私が購入したモデルはディープウェーダー・ベストというショート丈のモデルです。

 私は普段フライボックスを2個しか持っていきませんし、あまり多くのものを持ち歩かないので、表面はこれくらいシンプルなもので十分なのですが、裏面のポケットはやたらと細かく仕切られており、それぞれが小さいので少し使いにくそうです。
 私は肩が凝りやすいので、使用するうえではそのあたりが最も気になるところです。


2019年7月13日土曜日

Sweetgrass Rods Graphite 7'6" #4


 今回はちょっと珍しいスウィートグラスのグラファイトロッド、7フィート6インチ、4番を紹介します。

 スウィートグラスというと、ウィンストンを辞めたグラン・ブラケットらが自分たちのオリジナルロッドを製造するために設立した会社です。現在はバンブーロッドしか製造していませんが、以前はグラファイトロッドとグラスロッドも製造していました。
 グラファイトロッドとグラスロッドは、ウィンストンでグラファイトロッドの設計、製造を行っていたサム・ドラクマンが手掛けていました。


 この竿は群馬のフライショップがスウィートグラスに特注したもので、標準のラインナップにはないスペックです。グリップは竿のスペックに合わせて小ぶりなものが装着されており、アクションはパラボリックです。


 私はこの竿がパラボリック・アクションであることに興味を持ち、店主に何度もメールで質問をしたうえで購入しましたが、手元に届いた竿は想像以上に素晴らしい竿でした。
 パラボリック・アクションといっても、バットが比較的小さい負荷から曲がり始めるものの、負荷に応じて曲がりの起点が移動するプログレッシブ・アクションで、ティップは非常に繊細です。バンブーロッドですと、ポール・ヤングのアクションに似ており、私はグラファイト版のパーフェクショニストのような竿だと思っています。

 繊細なティップは、至近距離でも容易にタイトループを作ることが可能で、曲がりやすいバットとスローなロッドスピードは、空気抵抗の大きなキャッツキル・パターンを容易にターン・オーバーさせることができます。
 比較的ハイモデュラスのグラファイト素材を使用していると思われ、シャープな竿なのですが、細身のバットがスローなロッド・スピードとバットの曲がりやすさを実現しています。
 至近距離から遠投まで対応でき、パラボリック・アクションなので、キャスティングしていて気持ちの良い竿です。20cm程度のヤマメやイワナでも充分楽しめるしなやかさも持っています。


 トップガイドは、「sushi」デザインと呼ばれるチューブを斜めにカットしたオリジナルのものが装着されていますが、ほとんど軽量化には寄与していないと思います。

 サム・ドラクマン自身の手によると思われる仕上げは非常に丁寧で、大変美しい竿です。ラス・ピークのゼニス・フィニッシュやギャリソンのバンブーロッドのように、ガイドラッピング後にブランクに全塗装がされています。

 昨年入手し、まだ数回しか使用していませんが、自分の腕の延長のように非常に使いやすく、また釣りが楽しくなる竿なので、既にすっかりお気に入りの竿になっています。

2019年7月6日土曜日

ARUMAKAN RODS Bolero


 今回はARUMAKAN RODSのグラスロッド、Bolero、7フィート6インチ、4番を紹介します。

 ARUMAKN RODSは九州の中村さんが個人が作っておられた竿で、この竿を購入した当時は、バンブーロッドとグラスロッドを作っておられました。ちなみにARUMAKANという謎の単語は、作者の中村さんのお名前のローマ字表記をさかさまにしたものです。
 この竿を中村さんに作っていただいたのは、かれこれ10年近く前になりますが、現在中村さんは竿作りを休止されているようです。

 7フィート6インチ、4番というスペックは、一般的な日本の渓流で最も使いやすい仕様ですが、この竿は比較的スローなロッドスピードを持つ、プログレッシブ・アクションなので、近距離をブラインドで釣り上がる釣りよりも、ある程度距離をとってライズをじっくりと狙う釣りに適していると思います。
 私はフライロッドの評価基準として、キャスティングして楽しいかどうかを重視しますが、この竿はループが伸びていく様子やターン・オーバーを竿を通じてしっかり感じ取ることができるので、キャスティングが楽しい竿です。


 竿の仕上げは非常に丁寧に作られており、オリジナルのリールシートは、リングに穴を空けることによってリールの脱着時に指が滑らないように工夫されており、シンプルながら機能性と意匠性を持たせたものになっています。


 この竿は竿おろしに湯原温泉の自然鱒釣り場に持参し、いきなり50cmオーバーの虹鱒をキャッチすることができた、私にとって非常に縁起の良いです。