2022年6月19日日曜日

McFarland Spruce Creek Parabolic 7'2" #4(その7)

 

 Yoshiharu RodsオリジナルMcFarland Spruce Creek Parabolic 7'2" #4のカスタム・ロッド製作の続きです。
 1本目はグリップが標準のラス・ピークタイプ(細め)でしたが、スレッドも標準のSunburstです。Honey/Yellowカラーのブランクは、Sunburst以外ではGolden rodやSpring greenも良く似合うと思います。あと2回エポキシを塗れば完成です。


 もう1本は透明なラッピングとのお客様のリクエストでしたので、極細のシルク・スレッドを巻きます。ティッピングのシルバーもお客様の指定です。


 エポキシを塗るとほぼ透明になります。ワインディング・チェックと珍しい形のフック・キーパーはお客様の持ち込みです。


 メノウリングのストリッピング・ガイドもお客様の持ち込みです。

 極細の絹糸による透明ラッピングとオール・ティッピングは別途追加料金をいただきます。標準仕様のナイロンAサイズのスレッドでも、McFarlandのHoney/Yellowのブランクであれば、グデブロッドのGolden rodを巻けば、ほぼブランクと同じ色になります。

2022年6月18日土曜日

McFarland Spruce Creek Parabolic 7'2" #4(その6)

 

 Yoshiharu RodsオリジナルのMcFarland Spruce Creek Parabolic 7'2" #4のブランクを使ったカスタムメイドロッドを作製開始しました。


 1本目は標準仕様のラス・ピークタイプのグリップにRECのギャリソンタイプのニッケルシルバー、ポケット&リングの組み合わせです。グリップの全長は標準のコルク17個、約215mm。最大径はお客様のリクエストにより細めの22mmです。細めのグリップはキャスティング時にパラボリック・アクション独特のバットの曲がりをより感じ易くなります。


 リールはCFOを使用されるということで、リールシート部のコルク径をCFOに合わせて削ります。



 もう1本はお客様のリクエストにより、昔のウィンストンのようなハーフ・ウェルズタイプのグリップにお客様持ち込みのStrubleのD1の組み合わせです。Strubleは一度倒産後に復活しましたがD1やU1は未だ製造していません。シンプルで美しいD1、U1の復刻が待ち望まれます。


 Hatchのリールを使用されるとのことですが、私は持ってないのでフットの厚みが似ているというダニエルソンのリールを装着すると上の写真のようなイメージです。D1のリールシートは全長が長いので、リクエストによりウッド・フィラーを5mmカットしています。


2022年6月12日日曜日

ダグ・スイッシャー、カール・リチャーズ「フライ・フィッシングの戦術」

 


 ダグ・スイッシャーとカール・リチャーズの水生昆虫の本の紹介が続きましたので、今回はこの二人の共著で、フライ・フィッシング全般について書かれた「フライ・フィッシングの戦術」を紹介します。
 この書籍がアメリカで出版されたのが1975年ですので、「セレクティブ・トラウト」の数年後になります。日本では1980年に日本語翻訳版がティムコから発売されていますので、昔からフライ・フィッシングをされている方には懐かしい本だと思います。

 この本の序章に「セレクティブ・トラウトがやり残した所から始まっている」と筆者が書いているように、ライズしている鱒を釣るためのプレゼンテーションを中心に、実践的なフライ・フィッシングのテクニックが紹介されています。その内容は、フライキャスティングの理論とテクニックから始まり、ナチュラル・ドリフトのための各種トリック・キャスト、ライズがない時の釣り、ライズを狙った釣り、スチールヘッド、サーモンの釣り、湖の釣り、海の釣り、フライ・タイイングの新しいテクニックなど、フライ・フッシング全般に渡り網羅されています。

 古い本ですが、プレゼンテーションに関しては、スラックライン・キャスト、リーチ・キャスト、カーブ・キャストといった今でもライズ狙いの釣りで欠かせないテクニックが網羅されていますし、ライズを狙った釣りに関しては、マスキング・ハッチ、ミミッキング・ハッチ、複合多重ハッチといった状況が既に紹介されており、今読んでも十分役に立つ内容です。

 私が持っている本は1996年に発行された第3刷ですが、残念ながら現在は絶版となっているようです。この本の存在を知らない最近フライ・フィッシングを始めた方、未来のフライ・フィッシャーマンの方にも読んでもらいたい名著だと思いますので、ティムコには今後も10年に1回でも結構ですので、是非とも再版を望みます。

2022年6月4日土曜日

Carl Richards and Bob Braendle 'CADDIS SUPER HATCHES'

 


 前回、前々回のお気に入りの本の紹介で、ダグ・スイッシャーとカール・リチャーズの「セレクティブ・トラウト」を紹介しましたが、今回はカール・リチャーズとボブ・ブランドルの共著の「カディス・スーパーハッチズ」を紹介します。

 「セレクティブ・トラウト」がカゲロウをメインに書かれた本であったのに対し、この本はタイトル通りカディス(トビケラ)に特化して書かれた本になっています。
 カディスの生態に始まり、ラーバ、ピューパ、アダルトそれぞれのフライ・パターンとタイイング、北米の地区毎にスーパーハッチが起こるカディスの種類とハッチの時期を示したハッチ・チャート、学術的な分類、最後にカディスの捕獲の仕方と同定方法が記述されています。

 カディスに特化した書籍としては、以前紹介したゲーリー・ラフォンテーンの「カディスフライズ」が有名ですが、この本はページ数は「カディスフライズ」の半分以下ですが、1997年発行の比較的新しい本のためカラー写真が非常に多く掲載されており、読み易く分かり易い本になっています。

 「セレクティブ・トラウト」の30周年記念版では、カディスに関する記述が大幅に加筆されていましたが、カディスの写真やハッチ・チャートは、この本と同じものが使用されています。

 この本で紹介されているフライ・パターンについては、比較的新しい本なので、CDCやジーロンなどのシンセティック・マテリアルを使ったモダンなパターンも多いのですが、人間の目から見たリアルさを追求したようなパターンも多く、個人的にはあまり好きではありません。スペント・パターンやイマージャー・パターンは参考になると思います。

 アメリカの水生昆虫やフライの本を読んで参考になるのかと思う方もいらしゃるでしょうが、カゲロウもトビケラも、日本とアメリカで学術的な分類でいうと同じ属名のものがほとんどですし、同じ属であれば生態は同じで、外観も非常によく似ていますので、フライ・フィッシャーマンによる水生昆虫の研究が古くから進んでおり、書籍も圧倒的に多く出版されているアメリカの本は、水生昆虫についてより理解を深めたい日本のフライ・フォッシャーマンにとって、やはり大変参考になると思います。