2019年9月28日土曜日

Hardy The Featherweight(その4)DX Featherweight


 フェザーウェイトの4回目は、1999年に限定発売されたDXフェザーウェイトを紹介します。

 1990年代の終わりから2000年前半にかけて、ハーディー(ハウス・オブ・ハーディー)は、過去のモデルの復刻版や限定モデルを次々と発売しており、このリールもその1つでした。DXフェザーウェイトは、DXフライウェイトとともに、それぞれ1000台ずつの限定発売でした。ハウス・オブ・ハーディー時代の製品なので、リールケースは青ジップです。


 このリールも、前回紹介した110周年記念モデルと同じシャンパン・ゴールドカラーで、おそらく110周年記念モデルがベースとなっていると思われますが、いくつかディテールが異なります。

 まずハンドルノブが、110周年記念モデルでは通常モデルと同じ黒のプラスティックに対し、DXフェザーウェイトでは、アイボリー調の樹脂となっています。
 また、リールシート、ラッチカバーがDXフェザーウェイトでは、この当時のハウス・オブ・ハーディーの製品と同じつや消し仕上げのアルミパーツになっています。


 細かいところでは、チェック機構のリベットが、110周年記念モデルが通常のシルバーのパーツであるのに対し、DXフェザーウェイトではシャンパンゴールドになっています。

 110周年モデルは、ボディーに薄く切削痕が残っているのに対し、DXフェザーウェイトはサンドブラストをあてたような梨時仕上げになっているので、同じシャンパンゴールドのカラーでも全体の質感が若干異なります。


 フットの110周年モデルは、ハーディーブラザーズ時代の製品なのでかなり薄く、DXフェザーウェイトの方は厚めになっています。

 このリールは110周年モデルを入手するまでは、4番用として良く使用していました。

2019年9月21日土曜日

Hardy The Featherweight(その3)110 Anniversary


 今回はハーディーの110周年記念として1982年に発売された、フェザーウェイトの限定モデルを紹介します。

 このモデルは、カラーが上品なシャンパンカラーである以外は、通常のフェザーウェイトと全く同じです。1982年の製造なので、刻印は「Made by Hardy Bros Ltd England」、ケースは黒ジップケースです。


 このブログを書くために写真を撮影していて初めて気が付いたのですが、製造は「Hardy Bros」となっていますが、「110 Anniversary of The Hause of Hardy」と刻印されています。このリールが製造、販売された時期が、ちょうど、社名がハーディーブラザースから、ハウス・オブ・ハーディーへの移行期だったのかもしれません。
 

 このリールは、比較的最近になって中古で入手したものです。私がフライフィッシングを始めた頃に発売されたリールでその存在は当時の雑誌の広告で認識しており、いつか入手したいと思って探していたリールでした。

 シャンパン・ゴールドのカラーは、グラファイトからバンブーまで、どんな竿にも良く似合うので、4番ライン用として現在メインで使用しています。


2019年9月14日土曜日

Hardy The Featherweight(その2)


 フェザーウェイトの2回目は、年代の異なる2つのフェザーウェイトを紹介します。

 上の写真の左のラインの巻いていない方がおそらく1970年代前半のモデルで、右のラインの巻いてある方が、確か1993年に新品で購入した比較的新しいモデルです(以降の2つのリールを並べて撮影した写真はすべて左右をこの順番に並べています)。


 古い方のリールは、Patent No.刻印のない所謂ラージUシェイプと呼ばれるラインガードが装着されており、リールケースは青白のジップケースです。
 新しい方のリールは、スモールUシェイプと呼ばれるラインガードが装着されており、リールケースは青色ジップケースです。


 古い方のモデルは、1970年代なので当然社名はハーディー・ブラザーズ、新しい方はハウス・オブ・ハーディーです。


 この2つのリールは、一目見ただけで印象が随分と異なるのですが、その理由はスプールに開けられた穴の直径の違いです。同心円状に直径の異なる3種類の穴があけられていますが、一番外側と二番目の穴が数は同じですが、直径が異なり、古いリールの方が直径が大きくなっています。


 機能的には、どちらのリールもアジャスタブル・チェックと呼ばれる左右巻き手の変更が可能なクリック機構を用いている点は同じなのですが、問題はフットの厚みの違いです。ハーディー・ブラザーズ時代のフットは、ハウス・オブ・ハーディー時代のものに比べかなり薄くなっています。同じハウス・オブ・ハーディー時代のリールでも、写真の年代のフットは比較的薄いのですが、新しい年代のものは厚みが増しており、現在のハーディーのリールのフットは、かなり厚くなっているようです。

 ハウス・オブ・ハーディー時代までのフェザーウェイトは、英国製で鋳造で作られていましたが、その後韓国製(?)のバーストックからの削り出しとなり、スプールの本体側にも穴が空けられ、見た目の印象が大きく変わりました。スプールと本体、フレーム部との隙間も昔のものに比べると大きくなっているようです。
 話は脱線しますが、削り出しのリールの方が鋳造よりも精度が良くて高級というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、そうとは限りません。この話はまた別の機会に書きたいと思います。


 フェザーウェイトのチェック(クリック機構)は板バネを使ったシンプルなものですが、バックラッシュしにくく、高い信頼性と耐久性があります。
 クリック音は、同じハーディーのマーキスに比べると小さくて上品です。

 私は、ディスクドラグやラージアーバーの最新のリールやクラシックな両軸のフライリールも使用してきましたが、結局最後に戻ってくるのは、フェザーウェイトです。それだけ完成されたリールと言えると思います。

2019年9月7日土曜日

Marc Aroner-Winston 7'6" #3-4


 非常に珍しい竿を入手したので、紹介します。マーク・アロナーがRLウィンストンのグラファイトブランクを使って作製した、7フィート6インチ、3、4番ロッドです。

 この竿は、マーク・アロナー本人に確認したところ、1980年代の初めにバリー・ベックのフィッシング・クリーク・アウトフィッターズのために作製した12本のうちの1本だそうです。
 1980年の初めというと、アロナーがレナードから独立して大変苦労している時期ですので、こういう仕事も受けていたのだと想像します。


 ラッピング・スレッドの色は、ウィンストンのグラファイトと同じグリーンにレッドの飾り巻きです。ウィンストンとは違い、ガイド・ラップの全てにレッドのティッピングが施されています。
 ワインディング・チェックは、アロナーがバンブーロッドに使っているものと同じタイプです。


 リールシートはウォールナットと思われるフィラーに、黒染されたニッケルシルバーのキャップ&リングです。リールシート金具もアロナーがバンブーロッドに使っているものと同じですが、刻印はありません。


 フェルールはスピゴットで、オス、メスの両方にワインディング・チェックと同じデザインの金具が装着されています。

 1980年の初めだと、ウィンストンのIM6シリーズはまだ発売されていませんので、後にレギュラーグラファイトと呼ばれたブランクということになります。

 私の知っているウィンストンのグラファイトロッドは、単番手指定でカタログでは更にダブルテーパーが指定されていましたが、この竿のブランクに記されたスペックは、3、4番となっています。竿を振った感触では、もともとは3番のブランクだと思います。

 ウィンストンのグラファイトロッドは、当時のウィンストンのオーナーでグラファイトロッドの設計を行っていたトム・モーガンの好み、理想を反映した、ティップが繊細でバットがしっかりしたプログレッシブ・アクションです。
 一般にプログレッシブ・アクションの竿は、パラボリック・アクションの竿に比べ、使用できるライン番手の範囲が狭い(一番手しか使えない)ものが多いのですが、試してみたところ、この竿はDT-3、WF-4、DT-4のいずれのラインでも、どこにも破綻をきたすことなく投げることができました。
 どのラインでも至近距離から実際の釣りで多用する15mくらいまで、意識せずに投げてもスラックのないきれいなループを作ることができますし、竿を曲げるのに力を必要としません。
 どのラインを使用するか非常に悩ましいところですが、これから釣り場で試してみて決めたいと思います。


 ウィンストンのグラファイトは、トム・モーガン・フェイバリットなど何本か所有していましたが、私はもっとバットにラインが乗ってくるタイプのパラボリック・アクションの竿が好みなので、全て手放してしまいました。
 ウィンストンのグラファイトは、プログレッシブ・アクションながら、実際の釣りで多用する近距離のキャスティングを重視した設計になっており、非常に持ち重りが少ないのも特徴です。
 久しぶりにウィンストン(ブランク)の竿を振りましたが、改めてウィンストンの良さを見直ししました。この竿はレギュラー・グラファイトというのも理由かもしれませんが、非常にしなやかで、日本の渓流でヤマメ、イワナを釣るにも非常に良さそうです。