2021年8月28日土曜日

The Custom Ghoster(その2)

 

 渓流ベイト・ロッドのカスタム製作のご依頼を受けて作製していた「The Custom Ghoster」、4フィート6インチのグラス・ロッドが完成しました。(写真のグリップは撮影のために自分のものを装着しています。)


 バット・エンドの飾り巻きは、レッドにゴールドのピン・ラインを3本です。レッドのスレッドはノン・カラー・プリザーバー・タイプではない通常のナイロンですので、エポキシのバーニッシュをコーティングすると下地の色が透けるのですが、ブランクが乳白色なので綺麗に発色しています。白色や黄色のような淡色のブランクはスレッドそのままの色が出やすいので、淡色のスレッドが使えるというメリットがあります。


 ガイドは軽くしたかったので、価格は少々高くなりますが、チタンフレームのSiCリング・ガイドにしました。一番バット寄りのガイドのみダブル・フットのLKWガイドです。


 トップガイド以外の残りのガイドはシングル・フットのKTガイドです。


 この竿は、ティップから曲がり始めるプログレッシブ・アクションであることに加え、ソリッド・グラスなのでティップがより柔軟に曲がりますので、渓流で多用するフリップ・キャストが大変行いやすいと思います。
 加えてブランクの自重で竿が曲がりやすいので軽量なルアーもキャストしやすく、逆にソリッドの特性で少々重いルアーも扱えると思います。
 ソリッド・グラスを選択したのは正解でしたし、ブランクのテーパー設計自体も思っていた以上に渓流ベイトに最適なものとなっていましたので、依頼者の方にもきっと満足していただけるのではないかと思います。

 フライ・ロッド以外にも、渓流ベイト、渓流スピニング、トップ・ウォーター用ベイトのカスタムオーダーも受け付けておりますので、ご興味のある方は、yoshiharu.rod@gmail.comまでお問い合わせください。

2021年8月21日土曜日

The Custom Ghoster(その1)

 


 カスタム・メイドの依頼を受け、渓流ベイトを組みました。

 渓流ベイトというと、グラファイトと竹竿を何本か振らせてもらったことがありますが、ルアーの重量が軽いためタイミングがとり辛く、投げやすい竿を作るのは難しいと感じていました。
 依頼は4フィート6インチのグラス・ロッドとのことでしたので、渡辺つり具店のソリッド・グラス・ブランク、The Custom GhosterのSG-50UL、5フィートのバットを6インチカットして、4フィート6インチにしました。


 ソリッド・グラスだとブランクの自重があるので、バンブー・ロッドのようにゆっくり曲がってゆっくり反発しますので、タイミングが取りやすく、また自重でブランクが曲がりますので軽量ルアーでも投げやすいと考えたのですが、想像以上に良い感じです。
 このシリーズは元々バスのトップ・ウォーター用に開発されたブランクですが、プログレッシブ・アクションですので、渓流ベイトで多用されるフリップ・キャストもしやすそうです。



2021年8月14日土曜日

McFarland Spruce Creek Parabolic 7'2" #4(その1)

 

 Mike McFarlandに特注していたオリジナル・スペックのグラス・ロッド・ブランクがようやく届きました。7フィート2インチ、4番、4ピースのパラボリック・アクション・ロッドです。

 これとほぼ同じスペックのパラボリック・アクションのグラス・ロッドとしては、マリオ・ウジニッキの217P4、7フィート3インチ、4番、3ピースのロッドが有名で、私のお気に入りの竿でもあります。


 217P4は、マリオ自身が「True Parabolic Action」と呼んでいるとおり、ティップが太くバット・セクションがリバースド・テーパーになっている典型的なパラボリック・アクションの竿ですが、私の特注のブランクはポール・ヤングやボブ・サマーズのパラボリック・アクションを狙ったもので、217P4よりも繊細なティップを持っています。


 私の大好きなボブ・サマーズのバンブー・ロッド、Model 735を4番にしたようなグラス・ロッドが目標でしたが、ベンディング・カーブやテーパーを見る限りでは、かなり良いものに仕上がっていると思います。
 竿を組んでフィールド・テストの結果、納得できるものになっていれば、カスタム・メイドでオーダーを受け付けたいと思います。






2021年8月7日土曜日

Paul Schmookler & Ingrid V. Sils 'FORGOTTEN FLIES'

 

 前回に引き続き、シュムクラー&シルズの「FORGOTTEN FLIES」を紹介します。

 この書籍は「Rare and Unusual Fly Tying Materials」の2冊に続く、シュムクラー&シルズの著作で、1999年の発行です。前2作とは異なり、レイ・バーグマン(Ray Bergman)、プレストン・ジェニングス(Preston Jennings)、メアリー・オービス(Mary Orvis)、キャリー・スティーブンス(Carrie Stevens)といったアメリカの往年の著名なフライ・タイヤーとそのフライ・パターンが紹介されています。
 紹介されているフライ・パターンの数は実に1,049本であり、フライの写真と共にマテリアルも記載れています。そのほとんどはウェット・フライやストリーマーですが、プレストン・ジェニングの章ではキャッツキル・スタイルのドライ・フライも多く掲載されています。

 前回紹介した「Rare and Unusual Fly Tying Materials」と同じサイズの大型本ですが、この本の方が548ページと分厚く大変重たい本です。重量を測ってみたら、なんと5.0kgもありました。

 この本も「Rare and Unusual Fly Tying Materials」の2冊と同様に、フライ・フッシングの歴史に残る大変貴重な書籍だと思います。私のようにほとんどドライ・フライの釣りしかしない釣り人にとっては、宝の持腐れと言いますか、フライ・タイイングの参考にあまりならないのですが、ページをめくってその美しいフライの数々を眺めているだけでも豊かな気持ちになります。

 この本は「Rare and Unusual Fly Tying Materials」以上にプレミア価格になっているので、これから入手したいと考えている方には大変な出費が必要ですが、おそらく将来的に益々価値の高まっていく本だと思います。