2024年12月21日土曜日

Brightliver訪問(その2)

 

 前回のブログに引き続き、Brightliver訪問について記します。

 今回のBrightliver訪問の目的の1つが、松本さんからロッド製作のご依頼のあったBrightliverの6フィート3インチ、4番、3ピースのグラスロッドの納品でした。納品のついでに私が所有しているほぼ同じスペックの竿、R.W.Summersの6フィート4インチ、4番のMidgeRuss Peakの6フィート3インチ、3、4番のZenithと振り比べてもらいました。


 松本さんの意見も私が3本を事前に振り比べた時の感想と同じで、Brightliverの試作品は大変しなやかでこのまま製品として販売しても問題ないくらいに良い竿ですが、バンブーロッドのMigdeと比べるとやはり別物という感想でした。


 この日はこの3本以外にも私が持ってきたRuss PeakのZenith PGGを振ってもらったり、Brightliverの超低弾性カーボンを使ったバスバグロッドの試作品を振らせていただいたりしました。
 超低弾性カーボンはSグラスよりも少し弾性率の高い素材で、Sグラスに似たフィーリングなのですが、それ以外にSグラスよりも軽いというメリットもあります。そのためグラスでは少し重くなったり、ダルなアクションになってしまう長めの竿を作るのに良いと感じました。

 Yoshiharu Rodsへのご質問やカスタムメイドロッド製作のご依頼は、Yoshiharu Rodsのウェブサイトのお問い合わせから、もしくはyoshiharu.rod@gmail.comまでご連絡ください。Brightliverのブランクを使ったカスタムオーダーも可能です。
 海外からのご依頼にも対応します。I accept orders abroad.

2024年12月14日土曜日

Brightliver訪問(その1)

 

 大阪府摂津市のBrightliverを訪問してきました。

 来年3月1日にオープンする「繁盛ルアーフライエイア」のPRを含め、いくつかの目的があって訪問させていただいたのですが、その中の一つはカスタムロッド製作のご依頼を受けているフライロッドのブランクの引き取りです。


 こちらはBrightliver松本さんからご依頼いただいた7フィート、1番、3ピースの2回目の試作品。


 こちらはBrightliverのバスバグ用ロッド、Hipster 1702Sです。


 あと2本のブランクを持って帰る予定だったのですが、上の写真の通りオフィスには製品用も含めて数えきれないくらい沢山のブランクが至る所に溢れている状況で、残念ながらこの日は見つけ出すことができませんでした。


 Brightliverはご存知の通りトップウォーターバスフィッシング専門のメーカーで、フライロッドはバスバグ用のグラスロッドのみを販売されています。しかし、松本さんはグラスロッドを中心に大変な数のフライロッドもコレクションされており、良いと思った往年の竿についてはバスバグ用のロッドのみならず、トラウト用の低番手ロッドからソルトウォーター用の高番手ロッドまで、片っ端から試作品を作られています。
 それらの試作品は、数多くのオリジナルのトップウォーター用ロッドを開発してきた松本さんの経験と試作ブランクを製作する天龍の開発者の技術力により、どれも大変素晴らしいものになっています。
 Brightliverはバス用の竿が本業であり、松本さん1人で会社の全てをこなされている状況で、バスバグ用以外のフライロッドを製品として販売する余力はありません。しかし、製品化されずに試作品としてBrightliverのオフィスに眠らせておくには勿体無いブランクが、本当に沢山あります。

 私としても、これらのブランクを少しでも多くカスタムロッドとして完成させて、必要とする人の元にお届けしたいと思います。このメーカーのこの竿を再現したブランクはないか、あるいはこんな用途に使うこんなスペックのこんなアクションのブランクはないか、といったご相談があれば、是非Yoshiharu Rodsのウェブサイトのお問い合わせからか、yoshiharu.rod@gmail.comまでお問い合わせください。I accept orders abroad.

2024年12月7日土曜日

Brightliver 6'3" #4(その3)

 

 Brightliverの松本さんのご依頼で作製したグラスフライロッドの試作品、6フィート3インチ、4番、3ピースを、松本さんの許可をもらって納品前に試し振りさせていただきました。

 この竿はPaul Youngのバンブーロッドの名竿、Midge(6フィート3インチ、4番、2ピース)のアクションをグラスロッドで再現すべく試作されたものです。私はヤングのMidgeを所有していませんので、ヤングの元で働いていたR.W.Summersの6フィート4インチ、4番のMidgeと比較してみました。2代目ヤングの竿の多くはサマーズが製作しており、R.W.Summersの竿はPaul Youngのアクションを継承したものと言われています。
 さらに同じスペックのRuss Peakのグラファイトロッド、Zenith、6フィート3インチ、3、4番も振り比べてみました。
 写真は上からRuss Peak Zenith、Summers Midge、Brightliverの試作品です。

 Brightliverの試作品は大変しなやかな竿で、3番ラインでも4番ラインでもキャスティング・ストローク中に竿全体が良く曲がり、力強いラインを投げることができます。楽々遠投ができ、この手の短い竿が苦手とする至近距離も問題ありません。これだけ短くてもしなやかな竿が作れるのは、グラス素材ならではの利点だと思います。
 キャスティングが大変楽しい竿で、特にしなやかな竿を好まれる方にはぴったりの竿なので、このまま製品化しても良いように感じました。

 ただ、この竿がバンブーのMidgeを再現したものかというと、全く別の竿と言わざるを得ません。トンキンケーンの竹竿はテーパーを相当細くしても、短い竿だとどうしても硬い竿になってしまいます。YoungやSummersの竿はバンブーロッドの中でも特にシャープな竿なので、SummersのMigdeはBrightliverの試作品と比べると非常に硬く、キャスティング・ストローク中に竿の曲がりをあまり感じることができません。しかし、4番ラインを乗せた時のラインの直進性、力強さはSummersのMidgeが勝り、タイトループも容易に作れます。

 Russ Peakの6'3"は、Peakの竿とは思えないほどティップ径が細く全体にかなり細身にできているのですが、3本の中では一番硬く、ラインスピードも一番速くなります。

 今回の試作品は他の2本に比べて大変しやなかなのは良いのですが、意識しないで振るとループが広くなりがちで、ループを狭くするにはわざと竿を曲げないように振る必要があり、その点については改良の余地がありそうです。

 Midgeのような短い竿では、素材の特性が竿のアクションに与える影響が大きなことが、今回の比較で良く分かりました。松本さんとも意見を交わしましたが、バンブーのMidgeをグラスで再現することを目指すよりも、グラス素材の利点を活かして改良を加える方が良さそうです。
 グラスロッドマニアの中には短い竿を好まれる方も多いと思いますので、Yoshiharu Rodsとしてもこのスペックのグラスロッドを近い将来ラインナップに加えたいと思っています。開発の進捗はこのブログでご紹介しますので、ご期待ください。