Brightliverの松本さんのご依頼で作製したグラスフライロッドの試作品、6フィート3インチ、4番、3ピースを、松本さんの許可をもらって納品前に試し振りさせていただきました。
この竿はPaul Youngのバンブーロッドの名竿、Midge(6フィート3インチ、4番、2ピース)のアクションをグラスロッドで再現すべく試作されたものです。私はヤングのMidgeを所有していませんので、ヤングの元で働いていた
R.W.Summersの6フィート4インチ、4番のMidgeと比較してみました。2代目ヤングの竿の多くはサマーズが製作しており、R.W.Summersの竿はPaul Youngのアクションを継承したものと言われています。
写真は上からRuss Peak Zenith、Summers Midge、Brightliverの試作品です。
Brightliverの試作品は大変しなやかな竿で、3番ラインでも4番ラインでもキャスティング・ストローク中に竿全体が良く曲がり、力強いラインを投げることができます。楽々遠投ができ、この手の短い竿が苦手とする至近距離も問題ありません。これだけ短くてもしなやかな竿が作れるのは、グラス素材ならではの利点だと思います。
キャスティングが大変楽しい竿で、特にしなやかな竿を好まれる方にはぴったりの竿なので、このまま製品化しても良いように感じました。
ただ、この竿がバンブーのMidgeを再現したものかというと、全く別の竿と言わざるを得ません。トンキンケーンの竹竿はテーパーを相当細くしても、短い竿だとどうしても硬い竿になってしまいます。YoungやSummersの竿はバンブーロッドの中でも特にシャープな竿なので、SummersのMigdeはBrightliverの試作品と比べると非常に硬く、キャスティング・ストローク中に竿の曲がりをあまり感じることができません。しかし、4番ラインを乗せた時のラインの直進性、力強さはSummersのMidgeが勝り、タイトループも容易に作れます。
Russ Peakの6'3"は、Peakの竿とは思えないほどティップ径が細く全体にかなり細身にできているのですが、3本の中では一番硬く、ラインスピードも一番速くなります。
今回の試作品は他の2本に比べて大変しやなかなのは良いのですが、意識しないで振るとループが広くなりがちで、ループを狭くするにはわざと竿を曲げないように振る必要があり、その点については改良の余地がありそうです。
Midgeのような短い竿では、素材の特性が竿のアクションに与える影響が大きなことが、今回の比較で良く分かりました。松本さんとも意見を交わしましたが、バンブーのMidgeをグラスで再現することを目指すよりも、グラス素材の利点を活かして改良を加える方が良さそうです。
グラスロッドマニアの中には短い竿を好まれる方も多いと思いますので、Yoshiharu Rodsとしてもこのスペックのグラスロッドを近い将来ラインナップに加えたいと思っています。開発の進捗はこのブログでご紹介しますので、ご期待ください。