2018年3月24日土曜日

Russ Peak(その3)Zenith PGG 7'10"


 ラス・ピークの第3回目は、Zenith PGG 7'10"を紹介します。

 Zenith PGGは、2ピースのティップセクションがグラファイト、バットセクションがグラスという非常に珍しい竿です。
 ティップセクションがグラス、バットセクションがグラファイト、もしくはマルチピースでティップセクションほど低弾性率のグラファイト、バットセクションほど高弾性率のグラファイトと、弾性率をバットほど高くした竿は、比較的良く目にすることができます。これは、グラファイトロッドで主流となっている、プログレッシブティップアクションの竿に良く見られ、ティップを低弾性率の素材にすることにより、ティップが良く動くことを狙ったものだと思われます。
 しかし、Zenith PGGでは、ティップセクションに高弾性率のグラファイト、バットセクションに低弾性率のグラスを使用しています。
 これは2つの理由が考えられます。1つはグラスロッドの弱点を解決するアプローチで、パラボリックアクションに設計した際に、重くて曲がりやすいティップセクションを軽くて曲がりにくいグラファイトにすることにより、持ち重りを解消し、よりシャープなアクションを狙った考え方です。
 もう1つはグラファイトの弱点を解決するアプローチで、硬くて曲がりにくいバットセクションをグラスにすることにより、曲がりやすくするというものです。
 あるいは、この両方を狙ったのかもしれません。


 グラファイトとグラスという異なる素材でできたセクションを接続するため、この竿はメタルフェルールが使用されています。グラスとグラファイトではティップセクションエンドとバットセクショントップで、当然竿の直径が大きく異なるわけですが、この竿はティップセクションエンドが大きくフレアしており、この直径の差の問題を解消しています。

 さて、ここまでお読みいただいた皆さんは、このような異なる素材でできたティップとバットを組み合わせてスムーズなアクションが得られるのかと、疑問に思われると思います。
 ところが、ラインを通してキャストすると、異なる素材を組み合わせた竿とは全く思えないスムーズな段差のないアクションで、気持ちの良いキャスティングができます。

 ラス・ピークのグラファイトロッドの多くは、3番手のライン番手指定を特徴としますが、この竿は竿にもロッドケースにもライン番手の記載がありません。私の知る範囲では、ラス・ピークのグラスロッドは番手の記載がないようで、竿のライン番手は注文者とラス・ピーク本人だけの密かな秘密なのかもしれません。
 私はWF-5が一番適していると思うのですが、7'10"というグラスバットの竿では比較的長めの竿ということもあり、ラインを長めに出して、ゆっくりとしたストロークでライズを狙うような釣りに最も適していると思います。


 この竿はラス・ピークのグラスロッドと同じラスピーク独自のブラウントーン・フィニッシュがブランク全体に施されており、ダークブラウンを基調にゴールド、カッパー、シルバーを組み合わせたガイドラッピングも、非常に美しく、凝ったものになっています。

 この竿は、フライフィッシングマニアの中では有名なAlchemy TackleのKさんから譲っていただいたものですが、私が所有しているラス・ピークロッドの中でもお気に入りの1本で、私の宝物でもあります。

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