2019年8月10日土曜日
Orvis(その5)HLS One Ounce 7ft #4
オービスの5回目は、HLSグラファイト・シリーズのワン・オンス、7フィート、4番を紹介します。
HLSグラファイト・シリーズは、ブランクにオービス初のハイモデュラス・グラファイトを使用したファスト・アクションの竿です。ハイモデュラスといっても、IM6程度の弾性率なので、最新のグラファイト素材の竿ほどビンビンの竿ではありません。
ワン・オンスという竿は、オービス・グラファイト・シリーズ(当時はすでにスーパーファイン・シリーズ?)にもありましたが、こちらは6フィート6インチの2番と異なるスペックでした。HLSのワン・オンスは、7フィート、4番と、私が良く釣りをする小渓流に最適なスペックです。
この竿は、名前がワン・オンスですので、とにかく徹底的な軽量化が図られています。
リールシート金具は、専用の極細のアルミ製リング&リングです。バットエンドプレートもついていません。トップガイドのスレッドもごく短い幅で巻かれています。
ストリッピング・ガイドには、SiCリングのワンフットのものが使用されています。オーバー・フェルールも長さが短く、スレッドも短い幅で巻かれています。
当時のオービス・グラファイト・シリーズやHLSシリーズのスネーク・ガイドのスレッドは、どうしてこんなに広いのかと思うほど広い巻幅で巻かれていましたが、このワン・オンスでは最小限の巻幅で巻かれています。
コルク・グリップ上部の巻き上げも狭くなっています。他のモデルでは装着されているフック・キーパーもついていません。
グリップは、リールシートも合わせた全長が約20cmで、インデックス・フィンガーで握るとリールシートまで手で隠れてしまうほど小さくて細いものが装着されています。
これらの徹底した軽量化へのこだわりは、初代ヤングの竿にも通じるものがあります。
さて、問題はこの竿の重量が名前の通り1オンス(=28.3g)かということですが、測定の結果は29.7gと、わずかに重量オーバーですが、ほぼ1オンスでした。
この竿は、それまでのオービスの竿からは想像できないほどティップ径が細く、バットがやや太目のファストテーパーにデザインされており、それまでのオービスの竿の中ではかなりティップから曲がり始めるプログレッシブ・アクションになっています。また、従来のオービスのグラファイトロッドよりもハイモデュラスの素材が使用されていますので、よりロッドスピードが速い竿になっています。
そのため、至近距離から遠距離まで、意識せずに振ってもきれいなタイトループができます。7フィートの短い竿ですが、遠投力も優れています。
キャッツキル・パターンやウルフ・パターンなどを使うには、ややロッドスピードが速いですが、エルクヘア・カディスやパラシュート・パターンなどを使用して、軽快に釣り上がっていくのに適したアクションです。
素振りしたり、キャスティングした印象は強い(硬い)竿なのですが、ティップが繊細なので、意外と20cmくらいのヤマメやイワナでも楽しめます。ただ、竹竿やグラス、オービス・グラファイト・シリーズに比べると、ややバラシが多いように感じます。そういう意味では、やはりニジマスやブラウンのための竿なのかもしれません。
私の好みのアクションとは少し異なるのですが、その徹底した軽量化へのこだわりが魅力的な個性的な竿です。HLSのワン・オンスは、スーパーファインのワン・オンスに比べると短い期間しか製造されなかったので、少し珍しい竿とも言えます。
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