2019年9月7日土曜日

Marc Aroner-Winston 7'6" #3-4


 非常に珍しい竿を入手したので、紹介します。マーク・アロナーがRLウィンストンのグラファイトブランクを使って作製した、7フィート6インチ、3、4番ロッドです。

 この竿は、マーク・アロナー本人に確認したところ、1980年代の初めにバリー・ベックのフィッシング・クリーク・アウトフィッターズのために作製した12本のうちの1本だそうです。
 1980年の初めというと、アロナーがレナードから独立して大変苦労している時期ですので、こういう仕事も受けていたのだと想像します。


 ラッピング・スレッドの色は、ウィンストンのグラファイトと同じグリーンにレッドの飾り巻きです。ウィンストンとは違い、ガイド・ラップの全てにレッドのティッピングが施されています。
 ワインディング・チェックは、アロナーがバンブーロッドに使っているものと同じタイプです。


 リールシートはウォールナットと思われるフィラーに、黒染されたニッケルシルバーのキャップ&リングです。リールシート金具もアロナーがバンブーロッドに使っているものと同じですが、刻印はありません。


 フェルールはスピゴットで、オス、メスの両方にワインディング・チェックと同じデザインの金具が装着されています。

 1980年の初めだと、ウィンストンのIM6シリーズはまだ発売されていませんので、後にレギュラーグラファイトと呼ばれたブランクということになります。

 私の知っているウィンストンのグラファイトロッドは、単番手指定でカタログでは更にダブルテーパーが指定されていましたが、この竿のブランクに記されたスペックは、3、4番となっています。竿を振った感触では、もともとは3番のブランクだと思います。

 ウィンストンのグラファイトロッドは、当時のウィンストンのオーナーでグラファイトロッドの設計を行っていたトム・モーガンの好み、理想を反映した、ティップが繊細でバットがしっかりしたプログレッシブ・アクションです。
 一般にプログレッシブ・アクションの竿は、パラボリック・アクションの竿に比べ、使用できるライン番手の範囲が狭い(一番手しか使えない)ものが多いのですが、試してみたところ、この竿はDT-3、WF-4、DT-4のいずれのラインでも、どこにも破綻をきたすことなく投げることができました。
 どのラインでも至近距離から実際の釣りで多用する15mくらいまで、意識せずに投げてもスラックのないきれいなループを作ることができますし、竿を曲げるのに力を必要としません。
 どのラインを使用するか非常に悩ましいところですが、これから釣り場で試してみて決めたいと思います。


 ウィンストンのグラファイトは、トム・モーガン・フェイバリットなど何本か所有していましたが、私はもっとバットにラインが乗ってくるタイプのパラボリック・アクションの竿が好みなので、全て手放してしまいました。
 ウィンストンのグラファイトは、プログレッシブ・アクションながら、実際の釣りで多用する近距離のキャスティングを重視した設計になっており、非常に持ち重りが少ないのも特徴です。
 久しぶりにウィンストン(ブランク)の竿を振りましたが、改めてウィンストンの良さを見直ししました。この竿はレギュラー・グラファイトというのも理由かもしれませんが、非常にしなやかで、日本の渓流でヤマメ、イワナを釣るにも非常に良さそうです。

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