2018年6月10日日曜日

朝間ロッド(その2)7 1/2' #4


 前回ご紹介したT694には、同時期に作製された兄弟竿とも言える竿があり、それはAlckemy Tackleの川嵜さんがオーダーしたものでした。その竿はポール・ヤングの名竿、パーフェクショニスト、7フィート6インチ、5番を、日本の渓流に合わせて4番ライン用にパワーダウンしたもので、あまりの出来の良さにオリジナルの名前をもじって、「パーペキショニスト」と名付けられていました。
 ある日、川嵜さんと一緒に釣りをした際、パーペキショニストを短時間使わせていただき、すっかり気に入って同じものをオーダーして出来上がったのが、今回ご紹介する竿です。

 オリジナルのパーペキショニストには、何年間も寝かせた良質なトンキンケーンが使用されていましたが、この竿をオーダーした時、朝間さんは良質なトンキンの入手に苦労されており、同じテーパーでは同じアクションが再現できず、かなり試行錯誤されたようです。


 私はヤングのパーフェクショニストを振ったことがないのですが、この竿を使ってみると、パーフェクショニストが名竿と呼ばれる理由が理解できます。
 極限まで贅肉がそぎ落とされたテーパーにより、7フィート6インチという長さにも関わらず、持ち重りはなく非常に軽量で、シャープなアクションです。繊細なティップと太目のミドルは、近距離でティップだけを使った正確なキャストを可能にしており、細身のバットは見た目からは想像できないパワーを持ち、楽々と遠投が可能です。

 私が良く通う中国山地の渓流は、両岸から張り出した木々が上空を覆っている小規模な川が多く、7フィート以下の竿が使いやすいのですが、開けた渓流で釣りをするのであれば、この竿は正にパーフェクトで、至近距離から遠距離まで自由にラインをコントロールすることが可能です。


 朝間さんは様々なタイプの竹フェルールを作製されていますが、この竿にはフリースのFIBHと同じ構造のフェルールが用いられています。朝間さんのFIBHタイプのフェルールは、フリースのものと比べ雌フェルールが肉薄ですっきりとした仕上がりになっています。


 7フィート6インチ、4番のこの竿と、前回ご紹介した6フィート9インチ、4番の2本あれば、私が釣りに行く渓流のほとんどがカバーできてしまうのですが、この竿を入手後も、理想の竿を追い求める果てしなき旅は、まだ続くことになります。



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