2021年6月5日土曜日

E. F. Payne Co. Reproduction Catalogs 1931-1951-1975

 

 前回のブログでは、ポール・ヤングの復刻版カタログを紹介しましたが、今回はペインの復刻版カタログを紹介します。
 このカタログも、ヤングの復刻版カタログと同じCentennial Publicationsから発行されたもので、確か同時に購入した記憶がありますので、同じ時期に発行されたものと思われます。

 この本には、1931年、1951年、1975年のカタログが収録されており、各年代のよるラインナップの違いや、各モデルのスペックの違いなどが分かるようになっています。
 3つのカタログの中で最も内容が充実しているのが、1951年のカタログで、竿のスペック、価格のページ以外に、エドワード・ヒューイット、ジョージ・ラブランシェ、ジョン・オールデン・ナイト等、著名なフライ・フィッシャーマンの寄稿文や、ペインの竿の解説に多くのページが割かれており、読みものとして非常に面白いものになっています。

 これらの中で私が注目するのは、アメリカでのパラボリック・ロッドの誕生に大きな役割を果たしたと言われるジョン・オールデン・ナイトのペインのパラボリック・ロッドに関する寄稿文です。この中で、リッツがパラボリック・アクションを偶然発見するきっかけとなった自転車事故の話に始まり、1936年のリッツの渡米とペイン社の訪問、ペインのパラボリック・ロッドの誕生が述べられており、ペインのパラボリック・ロッドを含む現在のパラボリック・アクションの竿は、平均的な釣り人にはキャスティングのタイミングが取りにくく扱いにくい真正パラボリック・アクション(true parabolic action)ではなく、セミパラボリック・アクション(semi-prabolic action)であると記しています。

 ギャリソンも自身のバンブーロッドのアクションをセミパラボリック・アクションと呼んでおり、私はペインのパラボリック・アクションの竿は振ったことはありませんが、ギャリソンの本やペインのカタログの記述から推測するに、ギャリソンのセミパラボリック・アクションとペインのそれはおそらく異なるものであると思っています。

 ちなみに、ここでジョン・オールデン・ナイトが述べているリッツの自転車事故のエピソードは、リッツのインタビュー記事と細かい部分が異なっています。また、アーネスト・シュイバードが伝えているものも、細かい部分が違っていたり、そもそもこの逸話自体が作り話であるというスペース・グレイ・ハックルの説もあったりして面白いのですが、これらについては、以前ブログで紹介した錦織則政氏の「ヒストリー・オブ・バンブーフライロッド」に詳しく述べられています。

 この本も絶版ですので、今入手しようと思うとかなりの高額になってしまっていますが、バンブーロッドの歴史を知る上で貴重な本だと思います。

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