前回、リッツの「ア・フライフィッシャーズ・ライフ」を紹介しましたので、今回はリッツとも親交のあったフランク・ソーヤ―の「伝説の鱒釣り師 フランク・ソーヤ―の生涯」を紹介します。
この本の原題は「Man of the Riverside」で1984年に発行されたようです。邦題のとおり、イギリスのエイボン川のリバー・キーパーに生涯をささげたソーヤーの少年期から亡くなるまでを、ソーヤーの著作物を中心にS.ヴァインズがまとめたものです。「ア・フライフィッシャーズ・ライフ」から引用されたリッツの文章も含まれています。
ニンフ・フィッシングやソーヤー・ニンフのタイイングについても収録されていますが、川辺の生き物やリバー・キーパーとしての活動に多くのページが割かれており、ソーヤーが少年時代から優れた観察眼を持っていたことや、水生昆虫や魚類の研究者としても大変優れていたことが大変よく分かります。
BBCで釣りを生中継した時の面白い話も収録も収録されています。
ソーヤーの著作物は、同じく日本語訳が発行されていた「イギリスの鱒釣り師」も読みましたが、今回紹介した本の方が内容的にも面白く、日本語訳も読みやすいと思います。
私は渓流では基本的にドライ・フライの釣りしかしませんが、この本を読んでソーヤー流のサイト・ニンフ・フィッシングを試していた時期があります。この釣りは鱒が流れに定位しているのを目視できないと釣りにならないので、釣り場や状況は制限されるのですが、ニンフがフィーディング・レーンに乗るように、ニンフの沈下速度を計算に入れてキャスティングし、鱒の動きを見て合わせる釣りは、上手くフッキングまで持ちこめた時の喜びはひとしおです。
フェザント・テールを始めとするソーヤー・ニンフは、モデルとする水生昆虫の形状と生態を的確にとらえてディフォルメしているとともに、機能的にもネザーエイボンスタイルと呼ばれるソーヤーのニンフ・フィッシングに最も使いやすいようにデザインされています。
私が所有している本は文庫本版で、こちらは絶版になっているようですが、単行本は今でも入手可能なようです。フライフィッシングの本としてだけでなく、読み物としてもお勧めの本です。
0 件のコメント:
コメントを投稿