前回、前々回のお気に入りの本の紹介で、ダグ・スイッシャーとカール・リチャーズの「セレクティブ・トラウト」を紹介しましたが、今回はカール・リチャーズとボブ・ブランドルの共著の「カディス・スーパーハッチズ」を紹介します。
「セレクティブ・トラウト」がカゲロウをメインに書かれた本であったのに対し、この本はタイトル通りカディス(トビケラ)に特化して書かれた本になっています。
カディスの生態に始まり、ラーバ、ピューパ、アダルトそれぞれのフライ・パターンとタイイング、北米の地区毎にスーパーハッチが起こるカディスの種類とハッチの時期を示したハッチ・チャート、学術的な分類、最後にカディスの捕獲の仕方と同定方法が記述されています。
カディスに特化した書籍としては、以前紹介したゲーリー・ラフォンテーンの「カディスフライズ」が有名ですが、この本はページ数は「カディスフライズ」の半分以下ですが、1997年発行の比較的新しい本のためカラー写真が非常に多く掲載されており、読み易く分かり易い本になっています。
「セレクティブ・トラウト」の30周年記念版では、カディスに関する記述が大幅に加筆されていましたが、カディスの写真やハッチ・チャートは、この本と同じものが使用されています。
この本で紹介されているフライ・パターンについては、比較的新しい本なので、CDCやジーロンなどのシンセティック・マテリアルを使ったモダンなパターンも多いのですが、人間の目から見たリアルさを追求したようなパターンも多く、個人的にはあまり好きではありません。スペント・パターンやイマージャー・パターンは参考になると思います。
アメリカの水生昆虫やフライの本を読んで参考になるのかと思う方もいらしゃるでしょうが、カゲロウもトビケラも、日本とアメリカで学術的な分類でいうと同じ属名のものがほとんどですし、同じ属であれば生態は同じで、外観も非常によく似ていますので、フライ・フィッシャーマンによる水生昆虫の研究が古くから進んでおり、書籍も圧倒的に多く出版されているアメリカの本は、水生昆虫についてより理解を深めたい日本のフライ・フォッシャーマンにとって、やはり大変参考になると思います。
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