2022年1月22日土曜日

沢田賢一郎「ウェットフライフィッシング」

 

 今回紹介する書籍は、沢田賢一郎氏の「ウェットフライフィッシング」です。

 沢田氏といえば、フライ・キャスティングと並んでウェット・フライで有名ですが、この本は何冊か出版された沢田氏のウェット・フライに関する書籍の中で、基礎編、入門編として書かれたものです。基礎編といっても、沢田氏のウェット・フライに関する長年の知識と経験が1冊にまとめられており、非常に中身の濃い本になっています。

 内容は、ウェット・フライとはそもそも何なのかに始まり、ウェット・フライの釣り方、タックル、最後に沢田氏自身がタイイングしたものと思われる美しい24のフライ・パターンがカラー写真で紹介されています。この本ではこれらのフライ・パターンのマテリアルや巻き方は紹介されていないのですが、それらについては別の書籍が発刊されていますので、そちらを参考にということでしょう。

 ウェット・フライのプレゼンテーション、ドリフト、アワセ、季節やコンディションなどに応じた釣り方など、ウェット・フライの釣りのテクニックが非常に詳細に説明されているのはもちろんですが、この本が面白いのは「ウェットフライをマスターする近道」と題した部があり、ドライ・フライ経験者がウェット・フライを始めるにあたりどうすれば良いかや、なぜウェット・フライで大物が釣れるのかといった内容が書かれているところです。
 この本で沢田氏は、ドライ経験者がウェット・フライを始める場合は、ライズを見つけたらウェット・フライを投げてみること、河川タイプの管理釣り場で練習することを推奨しています。
 私はずっとドライ・フライで釣りをしてきて、ウェット・フライだと増水時でも釣りになったり、大きな魚が釣りやすかったりするのではないかと考え、この本を買ったわけですが、ここに書かれていることを実践できず、渓流で少し試してみて釣れないのでドライ・フライに戻ってしまうという、この本で沢田氏が書いている通りの失敗に陥ることとなり、今に至っています。

 この本はDVD版も発売されていました。DVD版は視覚的にウェット・フライの釣り方が理解しやすいというメリットがあり、また実際にイワナを釣るシーンもあって面白いのですが、内容の濃さは書籍に軍配が上がります。
 DVD版ではいくつかのフライ・パターンのタイイングが収録されているので、その点は非常に参考になります。

 残念ながらこの本の発行所である株式会社サワダ自身が数年前に廃業してしまいましたので、この本を新品で購入することはできませんが、ウェット・フライの釣りをする方、これから始める方は必読の書だと思います。

 先に述べたように、私はウェット・フライを脱落した人間ですが、ウェット・フライの書籍は何冊か所有していますので、次回以降にそれらについて紹介したいと思います。

2 件のコメント:

hide さんのコメント...

見解が分かれる処ですね。僕は第一次ウエット世代で国分寺卿の薫陶を受けました。
自身が住む北海道ではウエットフライの方が多数派だと思います。というのも簡単に良型が釣れてしまうからに他なりません。あまり大きな声で言えませんが遡上御禁制鱒に至っては安易に何匹も釣れすぎ飽きてしまうくらい。しかしながら気づいてない方少なくないかと思いますがウエットは流速を選ぶ釣り。自然とウエットで釣り易い流れに立ちこんでいるのが遠くから見ても容易に分かります。
小難しく自らのメソッドを語るむきもいらっしゃいますが要は毛鉤を魚が咥え易いスピードで流せば良いかと思います。ダウンに向かってターンさせる或いは真っ直なラインを岸まで流し込む....いずれにせよ魚が毛鉤を咥え易い速度にラインコントロールする事はドライでも餌釣りでも結局は同じ事かなと感じております。
ただしストレートアップストリームキャストでのウエットはかなりな技術と釣り感を要すると思います。これが出来たら卿曰く達人の域でしょうな?

Yoshiharu Utsumi さんのコメント...

hideさん、コメントありがとうございます。
私は道南しか知りませんので、北海道もドライ中心だと思っていましたが、違うのですね。
ダウン&アクロスのウェットの釣りは、子供の頃のオイカワの毛針釣りくらいですが、毛針を流すスピードが大事でしたね。