2020年3月14日土曜日

SMITH Marryat MR(その1)


 今回から4回かけて、スミスのマリエットMRシリーズについて書きたいと思います。

 マリエットMRは1978年に発売された大変歴史のあるリールです。ハーディーのマーキスやオービスのCFOと同じくアウトスプールタイプの片軸受けタイプで、非常にスムースなディスクドラグ(ドラムドラグと言った方が正解かもしれませんが・・・)を装備したリールです。


 当時の国産フライリールは、ハーディーやオービスのリールをコピーしたものが多かったのですが、マリエットMRは同時期に発売されたサセックスのリールとともに、国産オリジナルフライリールの先駆けと言えます。特にマリエットMRはその美しいデザインと高い品質、オリジナルのディスクドラグ機構といった点で、ハーディーやオービスと肩を並べることができた国産で初めてのリールと言ってよいと思います。

 実際にこのリールは、かつてアメリカやイギリスのフライショップで発売されていましたし、トーマス&トーマスがカタログに掲載して販売していた時期もありました。


 発売当初は、スプールに穴が開いているタイプと開いていないタイプの2種類が発売されていましたが、長い歴史の中で穴が開いているタイプのみとなりました。また、発売当初のカラーは、ゴールドとブラウン(当時のカタログではブラックと呼ばれていました)でしたが、その後つや消しのブラックが追加されました。

 サイズは直径68mmのMR-7から82mmのMR-9までの5つがあり、渓流から湖、ソルトウォーターまで対応できる幅広いラインナップが揃っていました。


 マリエットMRは、ハーディーのライトウェイト・シリーズ、マーキス・シリーズ、オービスのCFOと同じく、歴史的な銘品といっても良いと私は思うのですが、ラージ・アーバー化の流れに勝てず、随分前に製造中止になってしまったようです。
 一時期、このリールがヤフオクや楽天、量販釣具店の店頭で、激安で在庫処分されていたのを記憶されている方も多いと思います。スミスのウェブ・サイトやカタログには未だ掲載されているのですが、どうも小売店とスミスの在庫のみとなっているようです。

 オービスのカタログからCFOの名前が消え、ハーディーのライトウェイトシリーズ、マーキスは、昔の面影は残っているもののオリジナルとは別物となり、長くフライフィッシングを愛好してきた者としては、少し寂しさを感じざるを得ません。


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