2019年1月5日土曜日

Catskill Style Dry Flies(その5)


 今回は、キャッツキル・スタイル・ドライ・フライを使った釣りについて述べたいと思います。と言っても、これから述べることの多くは、基本的に渓流でのショート・リーダーを使ったドライ・フライの釣りに共通することです。

 キャッツキル・フライではショート・リーダーを使用しますので、長いドリフトには向きません。ショート・リーダーでは、キャスティングの前に、鱒が定位しているであろう場所、フィーディングレーンをしっかり見極め、短いドリフトで鱒にフライを食わせることが重要です。適当にキャストして、だらだらと長い距離をドリフトするのではなく、ここに落として、ここでフライを食わせるというイメージをもってプレゼンテーションすることが重要です。

 次にプレゼンテーションですが、短いドリフトでもキャストしたフライライン、リーダー、ティペットがフライまで伸びきっていては、フライが水面に落ちた直後からドラッグがかかりますので、適度にスラックを作る必要があります。
 ピンポイントアキュラシーを落とさずに、ティペット、リーダーにスラックを作る一番簡単な方法は、プレゼンテーションでロッドティップを高い位置で止め、フライを空中で完全にターン・オーバーさせてから、フライを水面に落下させる方法です。スラックの大きさは、フライをターン・オーバーさせる高さで調整できます。ターン・オーバーさせる高さが低ければスラックは小さくなり、高ければスラックは大きくなります。高い位置でターン・オーバーさせるキャスティングは、バウンス・キャストと呼ばれる方法です。
 アップストリームで釣る場合は、この方法でほぼ対応できますが、アップクロスやクロス、ダウンクロスで流心をまたぐ場合などは、サイドキャストでターン・オーバーする前にラインを水面に落下させるU字キャストや、スリークウォーターでフライをターン・オーバーさせずにフライを落とす方法も使います。

 空気抵抗の大きなキャッツキル・フライをキャストするためにも、フライを狙ったピンポイントにキャストするためにも、ラインスピードはできるだけ遅い方が有効です。しかし、ラインスピードを遅くすればするほど、風の影響を受けやすくなります。
 そこで、空気抵抗の少ないタイトループが有効になります。
 強い向かい風の時は、ラインスピードを上げるよりも、ループを狭くしてサイドキャストする方が有効です。

 プレゼンテーション毎に、鱒が定位している場所、フィーディング・レーンを読んで、ピンポイントに正確にキャストし、短いドリフトで鱒をドライ・フライに食いつかせる釣り方は、大変集中力が必要ですが、狙った通りにフライに鱒が出た時は、非常に満足感が得られます。

 今回、私が紹介した釣り方は、そのほとんどが昔のフライ・フィッシングの教科書に当たり前に書かれていたものです。90年代に入ってからでしょうか、ロング・リーダー・ティペットの釣りがブームになり、リーダーの長さは異常なまでにどんどん長くなっていきました。ロング・リーダー・ティペットを使った釣りは、ティペットのトラブルも多く、空気抵抗の小さなフライしか使用できないので、使えるフライの種類も限定されます。そして何より、狙ったピンポイントにフライを1回でプレゼンテーションするのが、非常に難しいと思います。
 ショート・リーダーを使った釣りは、トラブルも少なく、ピンポイントにフライをプレゼンテーションするのが容易で、ライン、リーダー、その先のフライまでコントロールしているダイレクト感を味わうことができます。
 空気抵抗の大きなフライも使用できるので、良く見えるフライが使えます。私も釣り場や状況によっては、7Xのティペットに#20以下のドライフライを使った釣りもしますが、渓流の釣り上がりの釣りでは、#14、#12のキャッツキル・フライで十分、ヤマメやイワナは釣れます。#12のフライに4Xのティペットだと、バックキャストでフライを木に引っ掛けても、かなりの確率でフライを回収できます。

 今時、私のように7フィート6インチのリーダーで釣りをしている人はめったにいないので、私と初めて一緒に釣りをした方は、私のリーダー、フライを見て驚かれます。フライボックスにぎっしり詰まったキャッツキル・スタイルのドライフライを見て、自分も久しぶりに巻いてみようかなとおっしゃる人も多いです。
 でも、昔は短いリーダーで釣りをされていたベテランの方でも、リーダーを短くするのは、かなり勇気が必要なようです。

 釣り方の好みやスタイルは人それぞれですので、私もこの釣り方を決して強制したりはしませんが、もしこれまでのブログを読んで、興味を持たれた方がおられれば、一度騙されたと思って、ショート・リーダーにキャッツキル・スタイルのドライフライを使った釣りを試されることをお勧めします。
 仮に今までに比べ、釣れる鱒の数が減ったとしても(私はそうなるとは思いませんが)、きっと、なんと快適で楽しい釣りだと実感されることと思います。

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

友達に勧められてこのサイトに来ました。10番の
アダムスのパラシュートでイワナを釣るのを至上の喜びとするものです。9feet5xのリーダーに6xをスコシ足すのが私のシステムです。ロングリーダーではないので記事はとても勉強になります。
仙台市 内田政朗

Yoshiharu Utsumi さんのコメント...

内田様

コメントありがとうございます。
10番のパラシュートですと私なら3Xにティペットを使います。6Xに10番だと狙ったところに落とすのが難しいと思いますが、いかがでしょうか?