2018年12月22日土曜日

Catskill Style Dry Flies(その3)


 今回は、キャッツキル・スタイル・ドライ・フライのタイイングについて、述べたいと思います。

 前回述べたように、このタイプのフライのメリットを最大限に活かすには、フライを高く浮かせる必要がありますので、フライのプロポーションが非常に重要です。上の写真のように、ハックルの先端とフックベンド、テールの先端の3か所で水面に接するようにフライを巻く必要があります。

 最近の日本の雑誌に掲載されているキャッツキル・スタイル・フライの写真を見ると、ハックルが短すぎるものが多いようです。ホワイティングを代表とするジェネティックハックルは、ハックルファイバーが短いものが多く、#14や#12サイズのキャッツキル・スタイル・フライに適したハックルがほとんど生えていないものが多いことが原因の1つと思われますが、最も大きな原因は、多くのフライ・フィッシャーマンが、このタイプのフライを使わなくなったためだと推測します。私は雑誌でこのように巻かれたフライを見るたびに、このフライを巻いた人はこのフライ使ったことがないのだろうなと思います。


 ハックルの長さとテールの長さが適切でないと、3か所で水面に接することができず、フライは高く浮かないばかりか、沈みやすくなってしまいます。

 昔のフライタイイングの教科書や雑誌には、キャッツキル・スタイル・フライの適切なプロポーション(各部の長さ)が必ず載っていたものですが、最近はあまり見かけることがありません。
 標準的は各部の長さは、テール、ウィングがシャンクと同じ、ハックルはゲイプの幅の1.5~2倍です。
 フライを巻く際に、ハックルケープからハックルを選んで抜きますが、標準的なハックルサイズに対し、選んだハックルが長めだったり、短めだったりする場合は、テールの長さを微調整します。逆にテールを取り付けた際にテールが長めだったり、短めだったりした場合は、とりつけるハックルファイバーの長さを微調整します。具体的には、ハックルが長めの場合は、テールを短め、ハックルが短めの場合は、テールを長めにします。

 ハックルはできるだけ短い範囲に、密に巻くことが重要です。私は得に浮力の持続性を重視するウルフパターンやハンピーでは、ハックルを3枚巻きますが、キャッツキル・スタイル・フライでもしっかり浮かすためには、2枚は巻く必要があります。
 1枚のハックルに対して、ウィングの前後で最低4回転ずつ、2枚のハックルで合計16回転は巻きます。
 ハックルが多すぎると、フッキングが悪くなるのではと考える人もいるかもしれませんが、心配無用です。フッキングしないのは、ドリフトの問題です。

 テールはフライをしっかり支えるため、たっぷりした本数をとりつける必要があります。ちょっと多すぎるかなというくらいが適量です。

 適切な量のマテリアルを使用し、適切なバランスで巻かれたキャッツキル・スタイルのフライは、水面に高く浮くため、大変視認性が良く、浮力が持続し、しかも高い耐久性を持ちます。

 エルクヘアカディスなどに比べると、フライを巻くのに格段に時間がかかるので、釣り場でフライを背後の木などに引っ掛けてロストした際のショックは大きいのですが、浮力が持続するため、フライを頻繁に交換する必要がなく、ストレスなく釣りができますし、美しく巻かれたフライで美しい鱒を釣るのは、より大きな喜びと満足感を与えてくれます。

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