2018年10月13日土曜日
Bjarne Fries(その6)The Noodle
今回は皆さんお待ちかね(?)のビヤーネ・フリースのヌードル、8フィート、2、3番を紹介します。
このヌードルは、フリースのラインナップの中でも日本では大変人気のあるモデルで、私が2012年にフリースの工房を訪れた時は、フリースが作製していた竿のうち、日本からの注文のほとんどがヌードルでした。
ただし、この竿は前回紹介したハマゴニーと比べても遥かにマニア向けの特殊な竿です。
フリースもこの竿をマハゴニーの2、3番と呼んでいたことがあるように、マハゴニーを2、3番用に繊細にしたようなアクションですが、これはもう素振りをすると竿が鞭のようにぐにゃぐなにしなる、これでキャスティングできるのかと思うほど、恐ろしく柔らかい竿です。
ところが、ラインを通すと不思議にしゃきっと張りが出て、3番ラインどころか4番ラインでも投げられる不思議な竿です。
羽舟さんや北岡さんの竿の中には、ヌードルよりもさらに極細のティップを持った竿もありますが、そのティップは極めて細く、バットまでスローテーパーな全体に細身のテーパーデザインです。スローテーパーといっても、パラボリックアクションではなく、プログレッシブに曲がりの起点がバットに移動するセミパラボリックアクションです。
この竿で上手くキャスティングするコツは、極端に言えば竿を振らないことです。竿を振らなくても竿が勝手に曲がってくれますので、竿に合わせて最小限のストロークで竿をゆっくりと動かすことです。
フリースはヌードルを使ってフルラインをキャストしますが、この竿で遠投するにはかなり特殊なキャスティングが必要です。私がフリースから指導してもらったヌードルの遠投方法については、以前フライの雑誌98号で紹介しましたが、簡潔に述べると以下のような方法です。
まずバックキャスト、フォワードキャストのストロークは極めて短く、バックキャストでは竿を12時の位置、フォワードキャストでは12時か11時の位置で止めます。そして竿を止めた後に、伸びてゆくラインに合わせてゆっくりと、腕全体を使って竿がほぼ水平になるまで、大きくドリフトします。ドリフトの際、体は捩じらず、グリップが直線移動するように移動させます。
竿を止めてからワンテンポおいてドリフトを開始すること、竿は振るのではなく、ラインの負荷を感じながら竿でラインを引っ張ることが重要です。
ヌードルを渓流での釣り上がりに使用される達人の方もおられますが、一般的には不向きかと思います。私はもっぱら湯原温泉でのミッジの釣りに使用していました。今しずかなブームのオイカワの釣りにも良いかもしれません。
ヌードルで大きな鱒をかけると、竿が極めて柔らかいため、ときどき不思議なことが起こります。ニンフだとフッキングしても根がかりしたかのように、しばらく鱒が動きません。かなりプレッシャーをかけて、ようやくゆっくりと動き出します。ドライフライを使っていても、まるで鱒が釣られていることに気が付いてないかのように、あまり抵抗しません。竿が柔らかいので、そもそも強引なやり取りはできないのですが、騙しだましやりとりすれば、不思議とすんなりランディングすることができます。
私には極めて使用用途の限られる竿ですが、ヌードルにはヌードルでしか味わえない特別な個性がありますので、これからも手放さずにたまに釣り場持ち出すことになると思います。
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2 件のコメント:
とうとう来ましたね、ヌードル。フライの雑誌はじめ、さまざまなメディアで取り上げられてきたこともあって、いつかは入手したいと思っていました。今回の記事を読んで、その思いがいっそう強くなりました。さて、1つ質問させてください。紹介されているどのロッドも、コルクグリップがたいへん綺麗です。そう保つ秘訣などがあるのでしょうか?よろしければ、ご教授ください。
コメントありがとうございます。
コルクグリップはコルクの劣化を防ぐため、なるべく洗わない方が良いという方もいますが(マリオ・ウジニッキからもなるべく洗うなと言われました)、私の場合は毎回釣りから帰るとその日のうちか次の日には、水に濡らしたティッシュで汚れをふき取るようにしています。汚れをふき取った後は、コルクが濡れたままにならないように、すぐに乾いたティシュで包んで水分を取り除き、良く陰干ししてから竿を仕舞うようにしています。
ペースト状のフロータントや魚のヌルがグリップに着くと、濡れたティッシュで拭くだけではとれませんので、指に着いたフロータントはグリップを握る前に拭き取ったり、ヌルが着いた手でそのままグリップを握らないように、釣りをしている最中もある程度気を配っています(基本的にリリースする魚のためにも魚体には触らないようにしていますが)。
釣りをしている最中に雨が降ってきてグリップが濡れてしまうのは仕方ないですが、写真を撮るときにグリップを水に漬けたり、川の水でグリップを洗ったり、濡れたままの竿をアルミケースにしまったりして、濡れた状態を長時間続けることを繰り返し行っていると、コルクが痩せやすくなるのではないかと思います。
毎回ティッシュで水拭きしていても、やはりグリップは徐々に汚れてきますので、何年かおきにグリップを中性洗剤やクリームクレンザーで洗うことになりますが、その際も洗い終わったらすぐにティッシュで包んで水分を取り除き、良く乾燥させてから竿をアルミケースにしまうようにしています。
竹竿の場合は、曲がり癖が付かないような取り扱い方法など、気を付けないといけないこともありますので、そのあたりはいつかブログで紹介したいと思います。
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