2018年10月6日土曜日

Bjarne Fries(その5)The Mahagonny


 久しぶりにビヤーネ・フリースのバンブーロッドを紹介します。今回は、マハゴニー、8フィート、4、5番です。

 このマハゴニーという竿は、フリースの竿の中でも日本で人気のあるモデルで、その独特のアクションに虜になっている方も多いようです。
 マハゴニーは、フリースのラインナップの中でも比較的古くからあるモデルですが、私が2012年にフリースの工房を訪問した際、直接本人から聞いた話によると、この竿の独特のアクションは偶然の産物だそうです。この竿ができるまでのフリースのラインナップは、5番以上で7フィート台の硬い短い竿ばかりだったため、ミッジの釣り用に繊細で長めの竿が欲しいと思いデザインしたそうですが、フリース自身も最初はこの竿を良く理解できなかったそうです。


 この竿は、それ以前のフリースのモデルと同様に、ギャリソンのセミパラボリックアクションをベースにティップを繊細にしたものですが、4、5番指定の竿としては全体にかなり細めのテーパーです。そのため、ロッドアクションはスローで、ティップからミドルにかけて、かなり深く曲がります。バットはギャリソンの竿のように緩くて長いスウェルバットになっており、これは古くからあるモデルに共通の特徴です。


 スローでかなり柔らかい竿なので、この手の竿に慣れていない人がキャスティングすると、竿を振りすぎてしまい、激しくテーリングを起こしたり、ひどい場合は、思うように伸びないラインを伸ばそうと竿にさらに大きく振って、しっちゃかめっちゃかになってしまいます。
 しかし、竿の特性を理解し、竿の持つリズムに合わせて力を入れずにゆっくりと必要最小限のストロークで竿を動かすことができれば、スローで力のあるループが魔法の様に伸びてゆきます。この竿のキャスティングのリズムには独特な心地よさがあり、これがこの竿が多くの人を魅了する理由の一つだと思います。
 また、8フィート、4、5番竿の指定のバンブーロッドとしては、非常に軽量なことも魅力の一つです。

 フリースは、この竿は最初は5番、この竿を理解してきたら好みによって4番を使っても良いと言っていましたが、私は5番の方が好みです。


 この竿はミッジ用の竿として紹介されていましたが、適切なリーダー、ティペットを用いれば、空気抵抗の大きな大きめのドライフライにも充分使えます。私は#10のホワイトウルフを使ったりしていました。また、ウェットフライにも向いていると思います。
 釣り上がりのドライフライの釣りには、あまり向いていません。私は日中はKatana 704で支流を釣って、イブニングではこの竿に持ち替えて本流でライズを狙いような使い方をよくしていました。

 マハゴニーはフリースを代表する名竿として、過去に多くの方が紹介されていましたが、決して誰にでもお勧めできる竿ではないと思います。かなりバンブーロッドに慣れた人でないとこの竿を使いこなすことはできないと思いますし、スローな竿が嫌いな人には不向きです。
 もっとも、この竿に興味を抱くような方は、相当なマニアの方でしょうし、散々いろんなバンブーロッドを使ってきて、これまでにない個性的な竿が欲しいという方には、上手く好みに合えば手放せなくなる魅力的な竿です。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

毎週の更新を楽しみにしています。今回のマハゴニーの記事も面白いですね!フリースロッドでは、以前言及があったアンチグラビティや、コネッサーの記事もお待ちしております。

Yoshiharu Utsumi さんのコメント...

コメントありがとうございます。
コネッサーは所有していないので、ご紹介できないのですが、アンチグラビティは次々回紹介予定です。次週はマハゴニーからの流れで、日本で人気のあの竿について書かせていただきます。