アーティストの2回目は、ロングリフター、7フィート6インチ、3、4番を紹介します。
ロングリフターシリーズは、現在のアーティストのラインナップの中で最も古くからあるモデルで、発売されたのが80年代の中頃でしたから、その歴史はかれこれ30年以上にもなります。長くフライフィッシングをされている方の中には、ロングリフターシリーズを所有されている方、以前所有されていた方も多いかと思います。
ロングリフターシリーズの中でも、この7フィート6インチの3、4番や8フィートの3番、4番は定番中の定番かと思います。
ロングリフターは、発売された当時はロングキャストが得意な竿との宣伝がされていましたが、当時の国産フライロッドのほとんどは、ベナベナなものか、ビンビンのもののどちらかしかなく、この竿は、現代の基準から見ると非常にしなやかで、正に日本の渓流でヤマメ(アマゴ)、イワナを釣るための竿です。
全体に非常に細身の竿で、比較的ローモデュラスのグラファイト素材を使ったブランクは、粘りがあります。ティップは極めて柔らかく、至近距離の正確なキャストを容易にしています。早過ぎず、遅すぎない適度なロッドスピードですので、至近距離から20ヤードくらいまで、少ない力で楽にキャストでき、ロッド全体がバランスよく仕事をしてくれるため、気持ちよくラインが伸び、キャスティングしていて心地の良い竿です。
私はウェイトフォワードの4番の方が好みですが、速いテンポのキャスティングを好まれる方には、ダブルテーパーの3番でも良いと思います。
外観は、先端巻き上げのシガータイプのグリップに、ブラックのラッピング、ホワイトのノンカラープリザーバースレッドのティッピングと、ロングリフターの定番の仕上げになっています。ブラックアルミのキャップ&リングのリールシート金具はトーマス&トーマスのものを見本に国内で作製されたものだそうです。
この竿は中古で入手したものですが、90年代に作製されたものと思われ、この頃の宮坂さんの竿は、ラッピングコートが非常に薄く均一に塗られており、隙間なく均一に巻かれたガイドラッピングと併せて、極めて美しく素晴らしい仕上がりです。
私は自分でロッドビルディングを行う際は、この竿の仕上げを目標にしています。
この竿をかつて使用されていた方の中には、今更ロングリフターと思われる方も多いと思いますが、もし今でも所有されていれば、久しぶりに釣り場に持ち出して使ってみることをお勧めします。
この竿は、適度なしなやかさを持った、極めて癖のないバランスの良い竿なので、日本の渓流用のスタンダードロッドといっても過言ではないと思います。これからフライフィッシングを始めてみたいと思われる方や、日本の渓流用にグラファイトで適度な価格の良い竿はないかと探しておられる方に、自信をもってお勧めできる竿です。もう少し短い竿が欲しいという方には、7フィートの3、4番、もう少し長い竿が欲しいという方には8フィートの3、4番があります。
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