2018年8月10日金曜日

SCOTT(その1)G905/4


 今回はスコットのグラファイト、G905/4、9フィート、5番、4ピースを紹介します。

 この竿は、1990年代の中頃、イナガキが代理店だった頃にイナガキから購入したもので、スコットの工場がコロラドに移転した頃の竿になります。

 アクションはプログレッシブなティップアクションで、スコットのGシリーズに共通する特徴として、ティップが他社のグラファイトロッドと比べてかなり柔らかく、バットは太くしっかりしています。そのため、素振りすると、ティップがひょこひょこと動きます。このようなロッドデザインですと、近距離以外はキャスティングが難しいように思いますが、柔らかいティップからミドル、バットにかけてのテーパーのバランスが良いためか、近距離から遠投まで違和感なくキャスティングが可能なようにデザインされています。
 バットは太く粘りがあり、50cmを超えるニジマスやブラウンを掛けても、余裕をもって対応できます。


 Gシリーズは、比較的ローモデュラスのグラファイト素材を用いているので、例えばセージなどのハイモデュラスのグラファイト素材を用いた竿と比べると、ロッドスピードは遅いのですが、キャスティングストロークのスピードからイメージするよりも、ラインスピードが速いという独特のキャスティング感覚があります。これはローモデュラスのグラファイトを用いながら、ファストテーパーのティップアクションにデザインされているからだと思います。

 確か1980年代後半の雑誌のインタビューで、当時のオービスの社長が、自社以外の竿で良いと思うメーカーはとの質問に対し、スコットと答えていたのを記憶していますが、オービスのウェスタンシリーズも、ローモデュラスのグラファイトを用いながら、ファーストテーパーにデザインされており、Gシリーズを意識して開発されたのではと推測しています。


 この頃までのスコットは、ガイドフットがダブルラップ(ガイドフットの根元にスレッドが二重にラッピングされている)になっており、手間をかけた凝った仕上げになっていました。
 また、スコットの特徴であるインターナルフェルールのラッピングも、メス側のフェルール部にガイドを乗せて、補強巻の上にガイドが巻きとめられており、オス側の補強巻も含め、頑丈に仕上げられています。


 Gシリーズというと、グリップとリールシートがコルク一体型のブラックのアルミのキャップ・アンド・リングのリールシートのイメージが強く、私もその仕様の竿が欲しかったのですが、残念ながら当時はそのような仕様はありませんでした。その後、代理店がマーヴェリックに代わってから、ブラックのキャップ・アンド・リングが復活します。

 コルクグリップも日本人の手には長すぎるのですが、竿が9フィートと長く、グラファイト素材も現代のものと比べると重いため、使ってみると見た目はともかく、バランスが取れているので、面白いものです。

 当時、日本のフライフィッシャーマンの間では海外釣行がブームで、私もこの竿を携えて、アイルランド、アメリカのビックホーンリバー、サンワンリバーと海外釣行を重ねました。
 9フィート、5番というスペックは、海外の大きな川でニジマス、ブラウンを相手にするには非常に便利で、特にこの竿は、ドライフライから大きなヤーンマーカーを付けたニンフまで1本でこなすことが可能です。ティップが繊細なので、7Xのティペットに#24のミッジフライの釣りも可能でした。


 海外釣行だけでなく、止水の管理釣り場や、ほとんどやらないのですが、フローティングラインにウェイテッドのウーリーバガーでブルーギルやブラックバスを釣ったりもしました。

 今では竿袋はところどころ穴が開き、メイプルのリールシートウッドはクリアの塗装が8月のビックホーンの暑さに耐えきれず溶けてしまい、見た目が相当にくたびれてしまいましたが、竿自体はまだまだ十分に使用可能で、私の宝物のうちの1本になっています。

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