2018年8月4日土曜日
Archistrial MM822-4
今回は、アーキストリアルのグラファイトロッド、MM822-4、8フィート2インチ、2番、4ピースを紹介します。
1980年代に月刊フィッシングやアングリングを読んでフライフィッシングに憧れていた私にとって、アーキストリアルはオービスと並んで憧れの存在でした。中でもフィッシング誌に掲載された、アーキストリアルの代表でありロッドデザイナーの羽田氏のラス・ピークの工房訪問記は、当時中学生だった私に強烈な印象を残し、何度も何度も読み返したものです。
この竿は最近になってインターネットでアーキストリアルのウェブサイトを見つけ、今でも羽田氏がフライロッドを作製されているのを知り、2013年に注文したものです。ネット上では羽田氏に関し、様々な噂が囁かれていましたので、本当に竿を作ってもらえるのか一抹の不安がありましたが、その心配には及ばず、2カ月ほどでシアトルから送られてきたのがこの竿です。
この竿は、マルチモデュラスモデルと呼ばれており、4ピースの各セクション毎に異なるモデュラスのグラファイト素材が使用されています。具体的には、ティップセクションにはローモデュラス、バットに向かうほどハイモデュラスの素材が使用されています。
羽田氏は、1980年にアーキストリアルの最初のモデルの発売時から、このコンセプトをロッドデザインに取り入れており、当時のモデルはグラファイトとグラスのコンポジット素材を使用したものでした。
以前紹介したラス・ピークのZenith PGGは、この竿とは正反対にティップセクションにハイモデュラスのグラファイト、バットセクションにローモデュラスのグラス素材が使用されています。これは、ラス・ピークのロッドデザインがプログレッシブなパラボリックアクションであるのに対し、アーキストリアルではプログレッシブなティップアクションであるためです。
ティップ側ほどローモデュラスの素材を使用しているこの竿では、キャスティング時にティップが曲がる速度、復元する速度が遅いため、ロッドを止めた際にティップが振動しにくく、スラックが入りにくいという利点を感じます。また、不思議なことにグラファイトロッドなのに、バンブーロッドに近いロッドスピードを持ち、良く出来たバンブーロッドを振っているような心地よい感覚があります。
2番という低ライン番手の竿ですが、短いストロークで力を入れずに軽く竿を振ってやると、ラインの軽さを感じさせない力強いラインがタイトループで真っすぐ、グングンと伸びていきます。
4つのセクションのジョイントは、ティップと2番目間がオーバーフェルール、それ以外にはスピゴッドフェルールが用いられています。各フェルールは、他のグラファイト、グラスロッドではありえない精度ですり合わせがされており、バンブーロッドの良く出来たメタルフェルールのように、フェルールを抜いた際に「ピコッ」という小気味良い音がします。
羽田氏は、このMM822-4が最もお気に入りのモデルで、この竿一本あれば、日本の渓流からアメリカのスプリングクリークの釣りまでカバーできるとメールに書いておられましたが、私は渓流では7フィート前後のバンブーロッドで釣りをするのが好きなので、残念ながらこの竿は未だ湯原温泉の虹鱒釣り場でのミッジの釣りにしか使用していません。
この竿は、ラス・ピークの竿と同様に、化学素材を使った竿でもバンブーロッドのような素晴らしい竿が作れることを証明していると思います。価格はバンブーロッドなみに高価なのですが、その価格に十分値する性能と、キャスティング、釣りの楽しさ、所有する喜びを備えていると思います。
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