2018年5月12日土曜日
北岡ロッド 7'3"、4番
今回は、中村羽舟さんつながりということで、羽舟さんのお弟子さんでもある、京都在住の北岡勝博さんの竿をご紹介します。
北岡さんとの出会いは、私がフリースの工房訪問記を投稿したフライの雑誌98号(2012年季刊冬号)に、島崎憲司郎さんが北岡さんの竿を紹介されていたのがきっかけでした。羽舟さんのお弟子さんということで興味を持ち、羽舟さんに電話して北岡さんの連絡先を教えていただき、コンタクトさせていただきました。
そして、すぐに北岡さんの工房を訪問し、工房にある様々な竿を振らせていただき、長さとライン番手を指定して注文したのが、この真竹、7フィート3インチ、4番の竿です。
北岡さんは基本的に真竹を使って竿を作られており、羽舟さんの真竹の竿と同様に、非常に軽量であるのが特徴の一つです。
アクションは、相対的に強めのミドルと低負荷から曲がりやすいバットを持つパラボリックアクションで、近距離から遠距離までテーリングが発生しにくく、きれいなループが形成できるのも北岡ロッドに共通した特徴です。
おそらく多くの方は、素振りした感覚では、指定番手が一般的な竹竿に比べて1、2番手重い(指定番手に対し、竿が柔らかい)と感じると思いますが、ラインを通してキャストしてみると、不思議と
指定番手ぴったりです。これは羽舟さんの竿にも共通の特徴ですが、北岡さんの竿はパラボリックアクションなので、特にその傾向を強く感じます。
トンキンでこのような竿を作製すると、素材の重さからボテボテの持ち重りのする竿になりがちですが、真竹はその素材の軽さから、柳のようにしなやかなのに、張りのある軽量な竿になります。北岡さんは、このような真竹の特性を活かして、トンキンでは難しい5フィート代の超ショートロッドから、8フィート以上の低番手ロッド、バス用の高番手ロッドなど、さまざまな竿を作製しています。
北岡ロッドは、羽舟竿よりも更に極細のティップを持つ、一般的な釣り人には扱いきれないような超マニアックなアクションの竿が多いのですが、私の竿は、北岡さんに私の所有する竿を何本も振ってもらったり、一緒に釣りをしたりして、私がどのような竿が好みなのか、どのような釣りをするのか、理解した上で作製していただいたので、北岡ロッドのパラボリックアクションはそのままに、北岡ロッドの中でも比較的ティップが太めで、扱いやすい竿になっています。
北岡さんは羽舟さん同様、リールシート金具以外、ガイドも含めてすべてを手作りされており、その外観は、どこか羽舟竿やフリース竿を彷彿させる雰囲気ながら、非常に繊細さを感じるものになっています。
フェルールは、オス側が六角のブランクのそのまま使ったもの、メス側がブランクと同じ真竹で作った別パーツを組付けたものとなっており、フリースのFIBHと羽舟さんの竹フェルールの両者の利点を組み合わせてものになっています。
北岡さんは、芸大出身で、文化財の修復をされていたという異色のバックグランドをお持ちのため、伝統や継承を重んじる保守的なバンブーロッドの世界にあって、既成概念に囚われない竿作りをされており、島崎憲司郎さんとタッグを組んで、フラットグリップ(フライの雑誌100号参照)、Pバラスト(フライの雑誌99号参照)、逆ワン・アンド・ハーフ等の新しい試みを次々と試されています。
先日キャスティングさせてもらった、未だ北岡さん以外誰もキャスティングしていないという7フィート9インチ、5番の最新作は、ティップ対面幅1mm未満、3番ライン相当のテーパーデザインにも関わらず、異形断面形状(詳細は秘密とさせてください)を始めとする、独自の斬新なアイデアにより、真竹とは思えないパワフルなぶっ飛び竿に仕上がっており、そのアクションは、これまでの北岡ロッドと異なるだけでなく、古今東西のどのバンブーロッドとも異なると思われる新しいものに進化を遂げていました。
北岡ロッドは、あまりにも斬新過ぎて、今のところ超マニアの方からのみ注目を浴びているようですが、今後、常識を覆すどんなとんでもない竿を生み出すのか、本当に楽しみです。
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