筆者のデイブ・ヒューズはアメリカの著名なアウトドア・ライターですが、日本では昔からフライ・フィッシングをされている方であれば、「アングリング」や「フライの雑誌」に記事を書かれていた谷昌子さんの旦那様として記憶されている方が多いのではないかと思います。日本にゆかりの深いかたなので、日本の渓流でも何回も釣りをされています。
この本は副題が「The Tier's Reference」となっているように、500本近くの鱒用のフライの写真とマテリアルが紹介されています。470ページにもおよぶ大作です。
フライの紹介は、鱒が何を食べているのか分からない、あるいはその日の鱒の着いているポイントを探す場合に用いる「Searching Flies for Trout」と、特定の水生昆虫や捕食対象物を模した「Flies for Trout Food Forms」の2つの章に分かれています。
それぞれの章では、代表的なフライのタイイング手順に加えそのフライのバリエーションが紹介されていますので、ある程度フライ・タイイングの経験のある人であれば、紹介されている全てのフライを巻くことができるようになっています。
フライは全て筆者のデイブ・ヒューズが巻いたもので、有名なプロフェッショナル・タイヤ―が巻いたフライに比べると、美しさの点では劣りますが、いかにも実践派のフライ・フィッシャーが巻いたフライといった雰囲気が漂っています。
流石にこれだけのフライを巻くのは大変だったようで、確か「フライの雑誌」の連載だったかと思いますが、筆者がこの本を完成されるのに大変な労力を払ったことを谷昌子さんが書かれていたのを読んだ記憶があります。
アメリカで使われているポピュラーなトラウト・フライが、ドライフライだけでなく、ニンフ、ウェットフライ、ミッジ、ドラゴンフライ、テレストリアル、スカッド、リーチまで網羅されていますので、新しい釣り場や自分の持っているフライでどうにもならなかった時など、フライのバリエーションを増やしたい場合に、辞書のように使える本です。
日本では最新のフライ・パターンばかりが重視され、昔からあるフライ・パターンは軽視される傾向がありますが、この本ではモダンなフライ・パターンも掲載されていますが、どちらかというと昔からあるフライ・パターンが中心です。おそらくこれがアメリカのフライ・フィッシングの実情なのだと思いますし、日本でも昔からあるフライ・パターンの実力にもっと目を向けるべきだと思います。
この本は1999年に発行されたものですが、Amazonで今でも購入できます。
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