2020年1月11日土曜日

S.E.Bogdan Baby Trout Wide


 今回はS.E.ボグダンのベビー・トラウト・ワイドを紹介します。

 ボグダンはクラシック・タイプの両軸受リールの中でも大変人気のあるリールで、現在はメーカー自体がなくなってしまったのですが、メーカーが存在している間も中古市場では高額なプレミアがつくほどでした。

 ボグダンを有名にしたのは、強力なディスク・ブレーキを備えたサーモン、スチールヘッド用の大型リールですが、トラウト用の小型モデルも大変人気があります。また、ボグダンはオービスCFOをデザインしたことでも知られています(上の写真に写っている書籍に、ボグダンがデザインしたCFOのプロトタイプの写真が掲載されていますが、我々におなじみの市販モデルとは、随分と外観が異なります)。


 アメリカに古くからあったバンホフなどの両軸受けタイプのリールは、ベークライトのサイドプレートにニッケルシルバーのリム、ニッケルシルバーのピラーという独立したパーツを組み立てる方式で製作されていましたが、ボグダンは削りだしのアルミフレームにアルミのサイドプレートといった構成になっており、軽量に出来ています。私のベビー・トラウト・ワイドの重量実測値は119gであり、両軸受けリールとしては大変軽量になっています。
 ピアレス、サラシオーネのMkⅣ、ビル・バランといったアルミ一体型フレームを持つ両軸リールのオリジナルは、ボグダンです。


 サラシオーネのMkⅣなどは、おそらくマシニングセンターやNC旋盤などの自動加工機を使って部品を製作していると思われますが、ボグダンは手動の旋盤やフライス盤を使って製作されており、表面に旋削の加工筋目がはっきり見られます。そのため、大変手作り感溢れる味わい深い仕上がりになっています。


 このリールは、オークションで購入したものですが、ベビー・トラウト・ワイドが大変気に入り、5番ライン用にトラウトが欲しくなった私は、直接ボグダンにオーダーすれば、もっと安く購入できるのではと思い、ダメもとで手紙を書いてみました。
 すると、予想に反しすぐに返事が届き、封を切るまでは喜んでいたのですが、残念ながらアメリカ国外には発送しないとのことで、トラウト購入の夢は諦めました。
 当時、創始者のスタンリー・ボグダンに代わり息子のステファン・ボグダンが、リール製作を行っていましたが、その後しばらくしてそのステファンもリール製作を止めてしまいました。
 今となっては、ステファン・ボグダンからの手紙も、私の宝物です。


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