今回はアルケミー・タックルのモデル50を紹介します。
アルケミー・タックルは、バンブーロッド・マニアの間では知る人ぞ知る川嵜明彦さんが代表を務められているフライ・タックルメーカーで、現在はリールではなく、オリジナルのグラス・ロッドの製造、販売をされています。
私がこのリールを入手したのは10年ほど前ですが、当時はこのモデル50の他に、一回り小型のモデル44とレナードのバイメタルをモデルにしたリールの3種類を販売されていました。
このモデル50は、レナード・ミルズのモデル50がモデルとなっています。レナード・ミルズのモデル50というと、かつてレナードの副社長であったロン・クーシーが自らのブランドで復刻、販売していたものがありましたが、最初のものは、日本のキネヤさんが製造していました。アルケミータックルのモデル50も、部品の製造はキネヤさんで、ロン・クーシーのモデル50の欠点であった、クリック機構を改善したものになっているようです。
両軸受け型のクラシックタイプのリールは、私もサラシオーネ、テッド・ゴドフリー、ロビショー、日本のトラッタなど、いくつか所有していましたが、クリック機構に難点があるものが多く、バックラッシュしやすかったり、バネが強すぎたりするのが欠点でした。このモデル50は、そのあたりが非常に上手く設計されており、ギアの枚数とバネの強さが絶妙で、乱暴にラインを引き出したり、細いティペットで大物とリールでやりとりしても、全く問題ありません。
また、ほとんどの両軸受け型のリールは、精密ドライバーがないとリールをばらせないので、本体とスプールの隙間にティペットが巻き込まれてしまうと、釣り場で大変困るのですが、このリールはクリアランスが非常に狭くティペットを巻き込みにくくなっています。
このリールは、両軸受け型リールの中でも、所謂レイズド・ピラータイプと呼ばれるピラーが飛び出した形状になっています。レイズド・ピラータイプのリールは、リールの外径に対しスプール径を大きくできるので、コンパクトなサイズでライン・キャパシティを大きくすることができるのが利点です。このリールはウェイト・フォワードなら5番まで巻くことができると思います。私はWF-4に十分なバッキングを巻いて使用しています。
このリールは、他の両軸型リールと同様に、少々重量がありますので、7フィート6インチ以上のバンブーロッドと組み合わせて使用するのがバランス的に適していると思います。
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