2022年8月6日土曜日

刈田敏「水生昆虫ファイル」

 


 今回は刈田敏さんの「水生昆虫ファイル」を紹介します。

 刈田敏さんはフライ関係ではつり人社の雑誌「フライフィッシャー」で活躍されている写真家で、この本もつり人社から発行されたものです。
 日本の河川、湖沼に生息する水生昆虫をオールカラーの写真で紹介したもので、カゲロウはニンフ、ダンの雄雌、スピナーの雄雌、トビケラはラーバとアダルト(一部ピューパも)の写真が掲載されています。掲載されている水生昆虫の数は、3冊合わせてカゲロウが63、トビケラが27、カワゲラが22、その他が8ですので、釣り場で目にする水生昆虫のほとんどが網羅されていると思います。
 各水生昆虫の生態や実物大の写真もありますので、釣り場で見かけた水生昆虫の名前を家に帰って来てから調べるのに便利です。また大型のポケットに入るサイズで少々水に濡れても大丈夫な作りになっていますので、釣り場に携帯することも可能です。さすがに3冊携帯するのは嵩張りますが、Iは冬から春にかけて羽化する水生昆虫、IIは春から初夏にかけて羽化する水生昆虫、IIIは初夏から秋にかけて羽化する水生昆虫をメインにIとIIで収録し切れなかったものが収録されていますので、季節毎に1冊携帯すれば良いようになっています。各水生昆虫の紹介には、それぞれFly Fishingメモという釣りの参考になるような記述もあります。

 この本は釣り場で見かけた水生昆虫の同定に使用するのに非常に便利なのですが、水生昆虫の写真が屋内(スタジオ?)で撮影されたものなので、残念ながら実際に釣り場で目にするものとは色調の印象が異なるものもあります。各水生昆虫を模したフライを巻く際のインスピレーションを得るという点では、以前紹介した島崎憲司郎さんの「水生昆虫アルバム」の方が圧倒的に情報の質と量共に優れていると思います。

 この本は残念ながら絶版となっているようで、中古でしか入手することができなくなっていますが、これだけの種類の水生昆虫のカラー写真が掲載された本は他にないと思いますので、水生昆虫に興味のあるフライ・フィッシャーマンには非常に価値のある本だと思います。

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