今回は日本のフライフィッシングにおいて定番中の定番であるエルク・ヘア・カディスを紹介します。
このフライは皆さん良くご存じですので、今更紹介するまでもないのですが、私がフライを巻くときに注意していることや、使い方について述べたいと思います。
まずタイイングについてですが、このフライは単純な形状であるが故に、エルクヘアの種類や量、ハックルの長さなど、巻く人の個性が出るフライだと思います。
私の場合、フライがなるべく高く浮くように、また浮力が持続するように、エルクヘアの量は少なめに、ハックルはやや密に巻いています。
エルクヘアについては、最初はブリーチした太目のカウエルクを極々少ない本数取り付けていました。しかし、千切れやすく、数匹釣るとスカスカになってしまうため、いろいろ試した結果、今はカウエルクよりも細く、ナチュラルでも色が白に近いブルエルクを多めに取り付けています。ナチュラルのブルエルクはブリーチしたものに比べるとかなり強く、使っていて少々千切れたとしても本数が多いのでボリュームを保ってくれます。特に私は顆粒状のフロータントでフライをゴシゴシと揉みますので、エルクヘアの耐久性は重要なポイントです。
ボディ・ハックルは短すぎても長すぎてもフライの浮き方や浮力の持続性に影響しますが、キャッツキル・パターンに比べると許容範囲は広いです。
エルクヘア・カディスはダウン・ウィングに取り付けたエルクヘアがキャスティング時に空気を整流する効果があるので、ロング・リーダー・ティペットでもキャスティングしやすいフライですが、ショート・リーダーで使用する際は逆に注意する必要があります。向かい風以外の時は、投射性が良すぎてリーダー、ティペットが伸びきった状態で着水し、フライが着水したとたんにドラッグがかかりやすくなります。そのため、以前のブログで書いた空中でフライを完全にターンオーバーさせ、ティペットにスラックを入れてフライを着水させるプレゼンテーションを、より意識して行う必要があります。
エルクヘア・カディスは、カディス・アダルトの優れたイミテーションフライですが、ボディをピーコックハールで巻けば、テレストリアル・フライになりますし、ボディ、ハックルの色とフックサイズを変えれば、ミドリカワゲラやオナシカワゲラなどのストーンフライのイミテーションとしても使用できます。まだ20番以下のフックサイズに巻けば、ユスリカのイミテーションにもなります。
この汎用性は、裏を返せば鱒にとって「水面を流れる何某かの捕食できるもの」全般をイミテーションしていると言えますし、実際に釣り上がりのサーチング・パターンとして、季節や釣り場を問わず、良く釣れるフライです。極端な話ですが、エルクヘア・カディスを色違いで10番から20番までフライボックスに揃えておけば、日本の釣り場ですとシーズンを通じてたいていの場合は、困ることはないと思います。
キャッツキル・パターンは沈んでしまうと、鱒がフライを咥えることはまずありませんが、エルクヘア・カディスは、どういう訳かフライを沈めても釣れます。私はめったに行いませんが、例えば雨の日でドライフライがすぐに沈んでしまうような時に、エルクヘアカディスをウェットフライとして使うという裏技もあります。
0 件のコメント:
コメントを投稿