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2018年9月22日土曜日

Artist(その2)Long Lifter LGF7634


 アーティストの2回目は、ロングリフター、7フィート6インチ、3、4番を紹介します。

 ロングリフターシリーズは、現在のアーティストのラインナップの中で最も古くからあるモデルで、発売されたのが80年代の中頃でしたから、その歴史はかれこれ30年以上にもなります。長くフライフィッシングをされている方の中には、ロングリフターシリーズを所有されている方、以前所有されていた方も多いかと思います。
 ロングリフターシリーズの中でも、この7フィート6インチの3、4番や8フィートの3番、4番は定番中の定番かと思います。


 ロングリフターは、発売された当時はロングキャストが得意な竿との宣伝がされていましたが、当時の国産フライロッドのほとんどは、ベナベナなものか、ビンビンのもののどちらかしかなく、この竿は、現代の基準から見ると非常にしなやかで、正に日本の渓流でヤマメ(アマゴ)、イワナを釣るための竿です。

 全体に非常に細身の竿で、比較的ローモデュラスのグラファイト素材を使ったブランクは、粘りがあります。ティップは極めて柔らかく、至近距離の正確なキャストを容易にしています。早過ぎず、遅すぎない適度なロッドスピードですので、至近距離から20ヤードくらいまで、少ない力で楽にキャストでき、ロッド全体がバランスよく仕事をしてくれるため、気持ちよくラインが伸び、キャスティングしていて心地の良い竿です。
 私はウェイトフォワードの4番の方が好みですが、速いテンポのキャスティングを好まれる方には、ダブルテーパーの3番でも良いと思います。


 外観は、先端巻き上げのシガータイプのグリップに、ブラックのラッピング、ホワイトのノンカラープリザーバースレッドのティッピングと、ロングリフターの定番の仕上げになっています。ブラックアルミのキャップ&リングのリールシート金具はトーマス&トーマスのものを見本に国内で作製されたものだそうです。

 この竿は中古で入手したものですが、90年代に作製されたものと思われ、この頃の宮坂さんの竿は、ラッピングコートが非常に薄く均一に塗られており、隙間なく均一に巻かれたガイドラッピングと併せて、極めて美しく素晴らしい仕上がりです。
 私は自分でロッドビルディングを行う際は、この竿の仕上げを目標にしています。


 この竿をかつて使用されていた方の中には、今更ロングリフターと思われる方も多いと思いますが、もし今でも所有されていれば、久しぶりに釣り場に持ち出して使ってみることをお勧めします。

 この竿は、適度なしなやかさを持った、極めて癖のないバランスの良い竿なので、日本の渓流用のスタンダードロッドといっても過言ではないと思います。これからフライフィッシングを始めてみたいと思われる方や、日本の渓流用にグラファイトで適度な価格の良い竿はないかと探しておられる方に、自信をもってお勧めできる竿です。もう少し短い竿が欲しいという方には、7フィートの3、4番、もう少し長い竿が欲しいという方には8フィートの3、4番があります。

2018年9月15日土曜日

Artist(その1)NANAHAN


 今回はアーティストのグラファイトロッド、NANAHAN、7フィート6インチ、5番、3ピースを紹介します。

 アーティストは、東京のカスタムフライロッドメーカー、マッキーズクリークのオリジナルブランドです。マッキーズクリークのオーナー兼ビルダーである宮坂さんが、東京の新富町にお店をオープンしたのが1980年。お店は何度か移転しましたが、以来40年近くカスタムメイドのフライロッドを作り続けておられます。世界的にも最高齢のロッドビルダーに数えられるのではないかと思います。


 このNANAHANは、アーティストの竿の中では比較的最近のモデルで、宮坂さんによると、大川、湖、管理釣り場で短竿でロングキャストして釣るための竿です。私は北海道の渓流のオールマイティなドライフライロッドをイメージして購入しました。

 アクションは繊細なティップを持つプログレッシブアクションですが、アメリカのウィンストンやセージの竿に比べると、全体に細身でしなやかで、小さな負荷でも意外と深くまで曲がります。20cmくらいのヤマメ、イワナでも、それなりに楽しめる竿です。
 バットにラインの負荷が乗っているのを感じやすく、比較的少ない力でバットを曲げこむことが可能ですので、少ない力で遠投が可能ですが、ティップが繊細なので、至近距離でも正確なキャストが可能です。

 オービスのファー&ファインに近いアクションですが、ローモデュラス・グラファイトを使ったファー&ファインが粘りのあるアクションに対し、こちらはよりハイモデュラスの素材を使用しているため、パリッとした張りのあるアクションです。非常に軽量な竿でもあります。


 この竿は、宮坂さんのお店を訪問して、グリップの形状、リールシート、ラッピングの色などを指定して作製してもらいました。リールシートは、REC社のニッケルシルバー製ギャリソンタイプのポケット&リング、ラッピングは赤紫にゴールドのティッピングです。ティップ、グリップの前、フェルールのラッピングにのみカラープリザーバーを使用し、スレッドの色がそのまま出るようにした仕上げは、もう10年以上前から宮坂さんの定番のデザインになっています。


 宮坂さんは、元デザイナーだけあって、ラッピングの配色や全体の外観のセンスは流石に素晴らしいものがあります。私はアーティスト別の竿で、ラッピングの色をアーティストの定番色でないものを敢て指定して作ってもらい、少し残念な仕上がりになってしまった経験があります。宮坂さんにオーダーメイドで竿を作ってもらう際は、アーティストのウェブサイトやお店に置いてあるストックの中から、ラッピングの色を選ぶのが、やはり確実かと思います。