2019年2月23日土曜日

White Wulff


 今回はホワイト・ウルフを紹介します。

 ホワイト・ウルフは、リー・ウルフ(Lee Wulff)が考案した所謂ウルフ・パターンの1つで、ロイヤル・ウルフ、グレイ・ウルフと並んで、世界的に最も有名なフライの1つです。リー・ウルフもキャッツキル・レジェンド(キャッツキル地方で活躍した伝説的なフライ・タイヤ―、フライ・フィッシャーマン)の一人ですので、ウルフ・パターンもキャッツキル・パターンの1種と言えると思います。

 ウルフ・パターンの特徴は、それまで鳥の羽(フェザー)を使用していたキャッツキル・パターンのウィングとテールに、獣毛を使用していることで、その結果浮力と耐久性がより優れています。
 ホワイト・ウルフには、ウィングとテールにカーフ・テイルが使用されています。


 このフライは、日本ではかつてイブニング・ライズ用のフライとして定番でしたので、70年代、80年代からこの釣りをされている方には、懐かしく思われる方も多いと思います。私は#10あるいは#12のフックの巻いたホワイト・ウルフを、いまでもイブニング・ライズ用のフライとして使用しています。特に北海道のニジマスの川では、イブニング・ライズの釣りではこのフライしか使用しません。

 イブニング・ライズの釣りでは、ライズが始まってから暗くなってフライが見えなくなるまでの短時間、だいだい20分から30分くらいが勝負ですので、その間にいかに効率よく鱒をキャッチするかが重要です。そのため、フライには浮力が持続すること、鱒をキャッチした後に浮力が回復しやすいことが求められます。また暗い中でフライを結びかえるのは大変ですし、その時間も惜しいので、たとえフライを後ろの木に引っ掛けたとしてもフライを回収できる、大きなフライと太いティペットが有利です。そして何よりも重要なのは、薄暗い中でもフライが見えることです。
 ホワイト・ウルフは、これらのイブニング・ライズの釣りでフライに求められる要素を高次元で満たしたフライです。

 ホワイト・ウルフは、ヒゲナガのハッチに有効と良く言われますが、私の経験では、これは虹鱒に限ったことかもしれませんが、イブニング・ライズでは鱒がどんな虫を食べている場合でも、たいていの場合ホワイト・ウルフで十分釣りになると思います。鱒が食べている虫に合わせて見えないフライを投げるよりも、よく見えるフライを使ってフィーディングレーンに正確にキャストし、ナチュラル・ドリフトした方が、効果的なようです。


2019年2月16日土曜日

Rare Blank


 6フィート6インチ、4番、2ピースのレアなブランクを2本入手しました。
 1本はダイヤモンドバックのグラファイト、もう1本はスコットのグラスです。購入先は、バンブーロッド・マニアの間で有名な浮間舟渡の平野釣具です。


 ダイヤモンドバックは、レナードのゴールデン・シャドーに使用されていたものと同じ、おなじみのガラガラヘビ模様のブランクです。ゴールデン・シャドーにこのスペックはなかったようですが、ブランクのカラーはゴールデンシャドーと同じです。

 お店の表示は4番となっていましたが、ダイヤモンドバックの6フィート6インチの2ピースは2番手表示でしたので、おそらくメーカースペックは4、5番、実際は4番の方が適しているものと思います。


 もう1本のスコットですが、これはかなりレアなもののようです。ブランクの色はチャコールグレーなので、最初お店で見つけた時は90年代のファイバータッチかなと思ったのですが、ノリエがスコットの代理店になるより更に前に、佐々野釣具の佐々野さんが直接サンフランシスコにあったスコットの工房で買い付けてきたものだそうです。
 番手表示は3、4番となっていますが、4番の方が合ってそうです。

 この2本の竿は、どちらもパラボリック・アクションという点では共通ですが、素材の違い以外にも設計コンセプトが異なります。
 ダイヤモンドバックは、このシリーズに共通のスローテーパーで肉厚のブランクで、全体的に硬めのパラボリック・アクションです。
 一方スコットは、肉薄のブランクでグラスということを差し引いても太目でファストテーパーになっています。ティップ径はグラスであるスコットの方がむしろ細いくらいです。こちらは、素材が昔のフェノールかポリエステルのレジンを使ったE-glassなので、大変しなやかなブランクです。

 同じスペックのパラボリック・アクションの竿でも、両者は全く異なる正反対のコンセプトで設計され、正確も異なるものとなっており、このあたりがフライロッドの面白いところでもあります。

2019年2月9日土曜日

Light Cahill


 今回も、キャッツキル・パターンの中からライト・ケイヒルを紹介します。

 ライト・ケイヒルもマーチ・ブラウンやグレイ・フォックス同様に、キャッツキル地方ではヒラタカゲロウやタニガワカゲロウの仲間を模したフライのようです。
 このフライを日本の渓流でハッチ・マッチャーとして使用する場合は、#12をエルモンヒラタカゲロウの雌のイミテーションとして、#16、#18をコカゲロウとして使用するのが良いと思います。

 私はマーチ・ブラウンとグレイ・フォックスは、汎用的なフライとして使用しますが、ライト・ケイヒルは限定的な使い方をしています。代表的な使い方としては、#12をイブニングライズの釣りで良く使用します。全体的にライトジンジャーの明るい色調なので、光量の落ちたイブニングでも良く見えます。
 もう一つは、4月末から5月初め頃、ミドリカワゲラが沢山ハッチしている時に、#14を使用します。


 このフライも、私はボディをグース・バイオットに変更したものを使用しています。グース・バイオットをボディに巻く際は、タイイングを始める前にあらかじめ水に浸しておくと、柔らかくなって巻きやすくなります。また、グース・バイオットを巻く箇所に少量のヘッド・セメントを塗ってから巻いています。グース・バイオットを巻いた上からヘッド・セメントでコーティングしなくても、十分な強度が得られます。

 ライト・ケイヒルは、私が中学生の頃、まだフライ・フィッシングを始める前に雑誌で目にし、その美しさにあこがれを抱いていたフライで、フライ・フィッシングを始めて一番最初に巻いた思い出のフライです。


2019年2月2日土曜日

Matagi TR60 Super Trout-2


 本流でフローティング・バルサ・ミノーで釣りをするためのスピニング・ロッドを作製しました。ブランクは、大阪にあるロッド・ビルディング・ショップ、マタギのオリジナルブランク、TR60 Super Trout-2、6フィート、2ピースです。

 このブランクは、ティップ径が1.08mm、バット径が6.2mmと非常に繊細で、重量が14.4gしかありません。指定ルアー・ウェイトは1.5~3.5gです。私は本流でのアマゴ、イワナ釣りには、ブラウニーの7cm、2.5gをメインで使用するので、ちょうど良さそうです。
 ブランクの素材は、かなり高弾性率のグラファイトを使用しているようです。このような極細でティップで超軽量のブランクが作れるのですから、日本のブランクの製造技術は本当にたいしたものだと感心させられます(国産かどうかは不明ですが・・・)。


 非常にしなやかなティップですが、バットは意外とパワーがありそうです。ただし、太い流れで尺クラスを掛けると、かなりスリリングではないかと予想します。




 今回は、PurpleのスレッドにSunburstの飾り巻きにしてみました。

 ホーム・リバーは、昨年2回ほど大増水でかなり荒れてしまったので、今年はかなり心配ですが、後日ブログでインプレッションで紹介したいと思います。