2019年6月22日土曜日

Orvis(その3) Yellowstone 7 1/2 #5


久しぶりにMy favorite rodsを再開したいと思います。再開第1回は、オービスのイエローストーン、7フィート6インチ、5番です。

 この竿は、数年前にオークションで入手したものです。未使用ということでグリップには収縮フィルムが着いたままだったのですが、製造が1982年の10月と流石に35年以上も経過しているので、コルクの油分が抜けてスカスカの状態になっていました。
 そこで、先日の岩手釣行に持参し、ノースカントリーアングラーの加藤さんにグリップの交換をお願いしました。上の写真が交換前のオリジナルで、下の写真が交換後になります。


 自分で交換してもよかったのですが、できる限りオリジナルに忠実にレストアしたかったので、それに関して卓越した技術と知識を持つ加藤さんにお願いしました。
 結果は予想通り、いや予想以上で、オリジナルを忠実に再現したうえでグリップのコルクだけが新品に生まれ変わりました。


 グリップを交換するには、バットセクションのガイドとフッキキーパーを取り外す必要があるのですが、付け直したガイドのスレッドの色、スレッドの巻幅はもちろんのこと、コーティングもオリジナルと同様の一液性のウレタンを使用し、オリジナルの糸目の出方と同じになるようにコーティングの厚みが調整されています。


 当時のオービスのグラファイトロッドは、グリップの上部の紙巻のロゴが特徴で、端が浮いていることが多いのですが、これも綺麗に補修されていました。
 この竿が販売されていた当時、私は高校生でしたが、月刊フィッシングにティムコが掲載しているオービスの広告を見ては、この紙巻のロゴに憧れたものです。私と同年代のフライフィッシャーマンは、この当時の紙巻ロゴと赤いラベルのアルミケースのオービスグラファイトに今でも特別な思いを抱いている方が多いのではないかと思います。

 オービスのイエローストーンシリーズは、オービスのグラファイトロッドの歴史の中でもちょっと珍しい竿です。1983年に発表されましたが、翌1984年には名前がウェスタンシリーズに変更になり、イエローストーンの名前を持つ竿は1年間しか作られませんでした。確かこの7フィート6インチ、5番の竿は、ウェスタンになった年にラインナップから外れたように記憶しています。

 イエローストーン(ウェスタン)シリーズは、それまでのオービスグラファイトがブラウンのスレッドでラッピングされていたのに対し、スカーレッドのスレッドでラッピングされています。イエローストーンの名前で発売されていた竿だけが、どういう訳かグリップ先端のスレッドの巻き上げの長さが長くなっています。

 イエローストーン発売前からあるオービスのグラファイトシリーズ(のちのスーパーファインシリーズ)は、ローモデュラスグラファイトを使用し、オービスがフルフレックスアクションと呼んでいた、ロッドが全体に弧を描くスローアクションが特徴ですが、このイエローストーン(ウェスタン)シリーズは、その名の通りアメリカ西部の川をターゲットにした、当時のオービスとしては初めてのティップアクションの竿です。
 ローモデュラスのグラファイト素材を使用している点は同じですが、ティップがやや細く、バットがやや太めのファストテーパー気味に設計されており、従来のオービスグラファイトよりも、やや強めでよりティップ側から曲がるようになっています。
 といっても、ローモデュラスグラファイトの肉厚のブランクなので、現在の超ハイモデュラスのグラファイトを使った竿や、当時のセージやフェンウィックの竿に比べると、スローでしなやかです。

 この竿は、アベレージサイズのヤマメやイワナを釣るには、やや強い竿ですが、北海道の中小規模の渓流でニジマスやブラウンを釣るのに非常に適していると思います。私の師匠の北海道の菊地さんも、この竿を所有しており、フリースの竿に出会うまでは、良く使用されていたようです。


2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

はじめまして。

私もこのロッドや当時のファーアンドファインを所有してるのですがこのロッドはファーアンドファインのティップを3インチ詰めたロッドと認識しております。したがってイエローストンのこのモデルのみ通常のオービスグラファイトよりパラボリック気味なはずです。

ご意見頂ければ幸いです。

Yoshiharu Utsumi さんのコメント...

コメントありがとうございます。
コメントいただいて、改めて私の持っているファー&ファインと比べてみましたが、やはりティップ径はファー&ファインよりもこの竿の方が細くなっていました。しかし、バットセクションは数か所ノギスで測ってみましたが、ほぼ同じ径で、ファー&ファインのティップセクションをイエローストーンのバットセクションに継ぐことが出来ましたし、その逆もできましたので、バットセクションは同じといっても良いと思います。ベンディングは、イエローストーンの方が曲がりの起点がティップよりでした。
もっとも、私のファー&ファインは、ブログで紹介したようにリールシートがココボロ+ブラックアルミ金具に変わってからのものですので、80年代初期のファー&ファインはご指摘のようなものだったのかもしれません。